火の見やぐら

 最初に火の見やぐらをつくったのは1996年だった。ある晩、10時か11時ごろに、半端な時間が空いてしまったことがあって、それをきっかけにつくりはじめた。資料はなにもなく、当時はパソコンもない。ただ記憶だけをたよりに突き進んだところ、朝までにはだいたいの骨格ができていた。ぐっと足を開いた、まるで東京タワーのような塔だったが、ヘンだとは、そのときには感じていなかった。この火の見は「夕暮れの村はずれ」(作品ギャラリーに掲載中)という作品に仕上げて、その少しあとに仙台で開催された個展会場に並べた。
 そして1998年、「ワンス・アポン・ア・タイム」(作品ギャラリーに掲載中)という作品のために、再度、おなじような火の見やぐらをつくった。足の開き具合はだいぶん修正したが、まだまだ過剰で、識者が見れば十分にヘンなかたちだろう。だがこの一作は、当時のわたしのアイコンのような作品となった。多くの雑誌や新聞で掲載され、個展のパンフレットにもなり、だんだんと見慣れてくると、はが風の足広火の見も、決して悪いものでもないと考えるようになった。
 以後、この火の見は、我がクラフト教室での課題作としても取り上げるようになり、最初から数えると、なんと11個もの火の見の塔をつくった。うち、ちゃんとした作品に仕上げたのが過去に4作あった。「夕暮れの村はずれ」(売れました)「ワンス・アポン・ア・タイム」(売れてません)「第弐防災管轄區」(売れました)「第弐防災管轄區②」(売れてません)の4作だ。
 そして、ジャーン!!! 人生5作目になる火の見やぐら作品が、ついに、きのう、また、完成したーっっ!!! 題して「村の消防署」(下の写真)。
「なーんだ、イエサブに置いてあるのと、おんなじじゃん」
 なんて言わないでね。
 ちょっと違うんだから‥。

近日イエサブへ持っていきます!


2018年4月1日