「ボール盤のこと」

 嬉しいことに「カトウ・ヒトヒコ」(推定60歳)という男性生徒が、小欄におけるトークスを一本無料で執筆してくれました。なので、さっそく本日はその「カトウ版トークス」をお目にかけることにいたします。
 —–以下カトウ文。(原文のまま)。

 先日、私の生徒の一人からメールで次のような質問を受けた。
「穴あけについて質問があります。今まではピンバイスを使って手もみで穴を開けていました。これだと中々時間がかかるうえ、穴を開けるものが木材の場合は良いのですが、真鍮などの金属の場合は時間をかけても開かない場合があったり、真っすぐ開かなかったりして困っていました。そこで、これらの問題を解決しようと先生がご使用になられているのと同じキラのボール盤を購入しました。これで容易に穴あけができると思っていたのですが、0.3mmや0.5mmの穴あけをする場合に、やはりなかなか穴あけが出来ず(ドリルは回転しているのですが、入っていきません。ドリルは新品で、切削油も使用しています。)、挙句のはてにドリルがすぐに折れてしまいます。先生の作業を拝見しているといとも簡単に穴あけができているのですが、なにかコツがあるのでしょうか?それとも私のやり方にどこか間違いがあるのでしょうか?教えていただけると助かります。」
 このメールを読んでピンときた。ボール盤で穴あけをする場合は、まず穴あけにあたっての意識が重要なのだ。ボール盤を使っているのだから穴が開いて当たり前、早く穴が開けられて当たり前と思って作業をすると失敗する。特に細い径のドリルを使用する場合、ドリルは折れるものだという意識を持って最新の注意を払ってドリルと相手の材料との感触を確かめながら慎重に進めていく必要がある。この生徒はたぶんボール盤だからといってドリルは折れないもの、穴は早く開くものという意識でグイグイ進めているに違いない。
 そこで次に会ったときに私のアトリエで実際に細い径の穴あけをしながらその旨説明した。それからは何も言ってこないのでたぶん順調に穴あけができているのだろう。

写真は私が使用しているボール盤です。周りに色々な径のドリルを張り付けてすぐに使えるようにしています。ボール盤は使用にあたっての心構えさえ間違わなければこれほど便利な機械はありません。工作をされる方は中古でよいので準備することをお勧めします。(と、以上は、すべてカトウさんが書いた一文でした。カトウさんありがとう!)