ゆうさんの鍍金工場

 ねじ式美術部芳賀一洋チームについて前回書いた。そして、うちのクラブ(渋谷クラフト倶楽部)のヤマジュン会長がチームの一員としてでっかいSLを完成させ、納入したことも書いた。そのはなしを聞いて非常にあせったもうひとりのチーム員がいる。ゆうさんだ。
 ゆうさんはヤマジュン会長のSLとほぼ同時期に、つまり半年前に、実は小さな鍍金工場をつくりはじめている。それからというもの寝る間も惜しみ、家族サービスも棒に振り、ときには会社を休んでまで、狂ったように制作にはげんだ。その間、仲間のチーム員たち、例えば練馬のシゲちゃんはさっさと「熊のドクロ」を完成させるし、小生の「大石天狗堂」や、テッシーの「DC-3」や、そしてとうとうヤマジュンのSLまでもが完成してしまった。ところが彼の工場だけはいまだに仕上がっていないのだ。
 そんな折、「途中経過を一度拝見したい」というメールが、ねじ式総監督の側から届いた。
 「うわあ、たいへんだ〜!」
 ってんで、ゆうさんは先週の土曜日に、つくっていた作品を大至急分解して車に積み込み、自宅のある沼津からここ駒込のスタジオまでぶっ飛んできた。そして日曜日に、才谷ねじ式監督らがやってきて、ふたたび組み立てられた作品を、彼らは穴のあくほど覗き込んだ。(下の写真)。
 明らかに検査である。
 翌月曜日、才谷監督は自身のフェイスブックページに、ゆうさんの作品を写真入りで掲載し〝予想以上の出来〟と感想を述べた。
 「ヤッター!!!」
 どうにか検査には合格したらしい。
 だが作品(鍍金工場)はまだ完成しておらず、ゆうさんのあせりは当分つづくことになる。

ゆうさん作による「鍍金工場」を覗き込む黄色いジヤンバーの才谷監督、手前の女性は建築士の赤ちゃん/3月28日駒込スタジオで。撮影はゆうさん、彼はぼくの教室の現役生徒である。なお映画のシーンでは、この建物の正面入り口付近だけしか映らないため、屋根や、地面など、余分なものはつくりません。縮尺1/7。