人形のための鬘(かつら)屋

 古い店の写真をモデルにした、新しいアートインボックス作品をつくっていると書いたことがある。
 その写真には空があり、店頭には「FABRIQUE de PERRUQUES pour POUPEES」という看板がかかっている。辞書を引くと「人形のためのかつら屋」という意味のようだ。だから11月のギルドショーで、人形や、人形のためのかつらを大量に買ったこと、空の部分には〝ルネマグリット風な〟絵画的な雲を描き、雲間に数羽の鳥を飛ばすつもりだということ、などを、以前ここに書いたのだった。(2015/10/25日&11月14日付当欄)。だがそれが一体どんな作品に仕上がったのか、写真はまだ見せていなかった。
 実はこの作品、なかなか進まなくて往生していた。
 人形やかつらなど、くにゃくにゃフワフワしたものを、作品としていかに見せて、どう並べたらよいのか、その辺のアイデアが一向に湧いてこず、仕方がないので本作はいったん迷宮入りとして、しばらくは別の仕事にでもかかろうかと思っていた。そんな矢先、最後のあがきとして、年末年始に再度集中して本作に取り組んだところ、少しずつ難問が解けてきて、現段階では下のようになっている。
 年が明けたとたん、いきなり完成が見えてきたのだ。めでたし、めでたし。

肝心のかつらはまだ並べていません


2016年1月9日