トキワ荘贈呈式

 西暦2000年ごろ。
 「先生、ホームページをつくりましょうよ、ぼくがヤリますから‥」
 と、当時渋谷にあったわたしの工作教室で、茶色い髪のマッキー(生徒・日本人)からそう持ちかけられた。それから20年、マッキー氏によってつくられたわたしのホームページは、2019年の12月4日まで、ずっと彼がボランティアで管理運営してくれた。そのことの労に報いるため、今月の2日、最新の拙作トキワ荘一個(1/50)をプレゼントするために、代官山にあるマッキーのオフィスへと向かった。(ブツがデカいので愚生ひとりでは容易に運べず、当日はおじさん生徒一名にご同行をいただいた)。
 要件はあらかじめ伝えてあったので、贈呈式(?)自体は瞬時に終了。(下の写真)。このあと、ほんとうは「カンパーイ!」のセレモニーがあればよかったが、こちとらなにしろ車なので、早々に引き上げた。
 ——マッキーさん、長いことほんとうにありがとう!!!
(マッキーが去った去年の12月以降は、今度はテルミーという女性が当サイトの管理運営を、やはりボランティアでやってくれている)。

 右がマッキー氏。確か彼は1999年から2007年まで、われわれの工作教室に参加していた。本業は会社社長(音楽関係)だが、クラフト工作にかける執念はすさまじく、そのむかし「東屋」を見事完成させた実績がある。

宮島さんからのメール

 鎌倉の宮島豊さんからフェイスブック宛にメールが届いた。
 芳賀さんこんにちは。
 渋谷パルコで初めてお会いしてから25年以上経ちましたが、お元気そうでなによりです。この度は友達申請を受けていただき誠にありがとうございます。
 よろしくご指導下さい。
 二年前の有楽町交通会館展でもお会いして立ち話をさせて頂きました。
 芳賀さんの教本を元にシブイ機関庫を作りました。(下の写真)。
 25年前に渋谷のパルコで、この機関庫を見てから俄然制作意欲が湧き、今日に至っています。以下略———-。
 宮島さんメールをありがとう!
 そうなんです。25年前(1996年)の春に、渋谷パルコの地下一階、洋書売り場に併設した「ロゴスギャラリー」というところで「80分の1の世界/木造機関庫たち」と題する拙展を開催したことがありました。宮島さんはそれを見たのですね。それだけでも驚きなのに、さらに彼は、会場で売っていた拙著(木造機関庫制作記)を買い、その本を元に、わたしのよりもよっぽどシブい機関庫を、いともあっさりとつくってしまったのですね。
 いや〜宮島さんはすごいひとです。
 そして彼は、もっと驚くものまでつくっていた。
 それは次回‥。

上の写真は宮島さんがつくった機関庫(1/80)です。
文中で彼が「教本」と言っているのは1995年にわたしが書いた「80分の一木造機関庫制作記」という紙の本のことだが、これとまったくおなじ内容の本「しぶ〜い木造機関庫をつくる」が、電子書籍としてネットで読むことができます。たったの660円ですので、よかったらぜひお読みください
https://ebookjapan.yahoo.co.jp/books/100330/A000001084/

バシリジさんありがとう!

 フェイスブックのメッセンジャーに、スイスのバシリジ(Vasiliji)さん(男性)からメールがあった。彼とはすでにフェイスブックフレンドになっているらしいが、なにかをやりとりした記憶はない。メールには怪しげなリンクが貼ってあり「あなたにお目を通していただければたいへん光栄です」と書いてあった。
 ふつうこういうリンクは絶対に開かない。
 だから2〜3日ほうっておいた。しかしバシリジさんのプロフィール写真がなんだかいい奴っぽいムードを醸しているので、ある日彼のウォールを覗いてみた。するとだんだんと彼が悪い奴とは思えなくなり、思い切ってリンクを開いた。そしたらそこに当方のメアドを記入する欄があり、記入するとこんどはPC宛に長いメールが届いた。届いたメールにお返事すると、今度はインタビューのメールが届き、それに答えるとその次は、そしたら又その次は‥という具合に、次々と対応せざる得ない、とてもめんどうくさいプロセスを経て、下の、非常にかっこいい記事が出来あがった。
 全文英語ですがどうぞご覧ください。
 https://bit.ly/334dsdG
 もしかすると翻訳機能を使ってバシリジさんもこれを読んでいるかもしれない。まずはバシリジさんにお礼を述べます。バシリジさんありがとう。けれどかなりめんどかったです。次はもっと簡単にお願いしますね。
 バイバイ!!

 受けたインタビューのひとつに、お気に入りの模型屋を写真付きで紹介してほしいという項目があり、困った。好きな模型屋の写真は持ってなく、模型屋といえば現在絶交中の「ワム」(モデル・ワム)の写真しかない。仕方なく「ワム」を「My favorite hobby shop」とする虚偽の事実を掲載してしまった。どうかおゆるしください。

小さなペンギン作品

 写真の作品は、ぼくの教室の生徒でも見たことのないひとが多いだろう。
 ひさしぶりに小さなペンギン作品(1/12)が戻ってきたので、いまあちこちを修理している。修理が終わったらペンギンギャラリー(そういう店が実在する)の社長がやってきて持ち帰ってしまうので、その前に、チラッと写真を撮った。
 つくったのは確か2004年だった。おなじ年に、ひとまわり大きい、つまりふつうの大きさの「ペンギンギャラリー」という作品(作品ギャラリーに掲載あり)もつくり、更にその9年後に「ペンギン兵が立つ酒場」という作品(これも作品ギャラリーに掲載がある)もつくった(2013年)。それら一連のペンギン作品のはしりになったのが本作である。小さいが、明るくのびのびとした、とてもよい作品だとおもう。
 あとでちゃんと写真を撮って作品ギャラリーに掲載する予定。

ちなみにいま「ペンギン兵が立つ酒場・制作教室」を開催中だが、コロナ禍がはじまって以降、もう長いこと、一回も開かれていない。

DC-3はNGだった

 (10/23日付記事の続きです)
 マンガ「ねじ式」のファーストシーン上空には真っ黒に描かれた大きな飛行機が飛んでいる。その黒い絵から機種を特定してほしいといわれ、わたしは東京ソリッドモデルクラブのテッシー氏に連絡した。ほどなくそれが米軍のダグラスDC-3だとわかり、さいわいプラモデルが市販されているので、つくるのはそうむずかしくないとのこと。その旨を才谷監督の右腕であるA氏に報告すると「ぜひつくって下さい。プラモでOKです。原作通りの絵にしたいので、飛行機のディティールはほとんど見えませんので」とおっしゃった。
 結局テッシーがプラモをつくり、できあがった飛行機(1/72)を持って、先日阿佐ヶ谷の監督の事務所にお邪魔した。
 到着後ただちにテッシーを紹介すると彼はさっそく飛行機の説明をはじめた。そのとたんに場の空気が一変。ブツを見るなり監督からビシバシとスルドイ突っ込みが入り、あっというまに持参したダグラスDC-3は見事NGの海に沈んでしまったのである。監督曰く「50年前の特撮ゴジラの飛行機みたいだ」。曰く「ミッドウェイ(今年公開された映画)と比べ見劣りがする」等々、NGワードのオンパレードである。また「カメラはできるだけ機窓に寄り、中に乗っている人の気配までを感じさせたい」や、「おなじ飛行機がベトナムに飛び、ナパーム弾を打ち、人を殺す」など、など。
 な〜んだよ、A氏の言ったことと、まったく違うじゃん!
 つくったテッシーが怒り出すんじゃないかと心配したが、ぜんぜんそんなことはなかった。けっきょく説明(監督演説?)は2時間以上におよび、そのあと全員で近所のホルモン焼き屋へと移動。大量のNG砲が飛び交った割には、なぜかテッシーと才谷氏の相性はすこぶる良く、次の飲み会(映画会?)の約束まで交わしていた。ならちょうどよい。
 「飛行機のことはお互いに直接連絡をとり合って、あとは勝手に進めてくださいね」
 と、飲み屋の出口で、おふたりに告げ、わたしはもう飛行機のことは考えないでもよいことになった。
 あーよかった。

ホルモン焼き屋@阿佐ヶ谷。左列奥が才谷監督、左列手前が右腕A氏、右列奥がHAGA、右列手前がT氏。

募集を締め切りました

   10/17日付けの当欄で参加者を募集した「ブーランジェリー制作教室」ですが、おかげさまで定員の7名に達しましたので、すでに募集を締め切らせていただきました。ほんとうはもっと大勢の方々にご参加いただき、超・密な講座をやりたかったのですが、このコロナ禍ではそうもいきません。
  ——新メンバーは以下の7名です。
  *有名女生徒のM.I.さん(女性)
  *同ご令嬢 N.F.さん(女性)
  *模型の鬼 S.M.さん(男性)
  *ネイルの達人 M.K.さん(女性)
  *神楽坂のオジン H.K.さん(男性)
  *愛媛姫のF.K.さん(女性)
  *ミニバスケット王のK.T.さん(女性)

   ちなみにブーランジェリーとはパン屋のことです。この20年のあいだに少なくても5回以上、この小さなブーランジェリーの制作講座を開催してまいりました。いつになるかわかりませんが、そのうちまたはじめるつもりです。今回おしくも選にもれた方々は次回ぜひご参加ください。

写真は2019年のブーランジェリー教室のようす。募集をかけるとたちまちいっぱいになってしまう講座です。いつになるかわかりませんが、次回開催時の予約を受け付けますので、希望者は、参加可能な曜日をお知らせの上、お申し出ください。次回確実にご案内することができますので。

熊の髑髏(どくろ)ができた!

  できたといってもわたしがつくったわけではない。練馬のS.U氏(通称シゲちゃん)がつくったクマのドクロである。(以下つげ義春のマンガ「ねじ式」の映画化にまつわるなしです。8/8日、10/10日付けの当欄に先行記事がありますので、そちらから先にお読みください)。
  「ねじ式」冒頭からふたコマ目に、下のようなドクロが、写真とおなじように、流木に引っかかった状態で晒されている絵がある。ところがマンガに描かれたそのドクロは、顎(あご)から下の部分が欠落した「不完全なドクロ」なのだそうだ。なのでシゲちゃんは欠落部分を復活させた、顎や歯や牙もついた状態での「完全なドクロ」を、最初はつくっていた。
 わたしが見に行った時点では確かに顎がついていた。
 しかし原作の絵に顎はない。
 「顎はいらないよ‥」
 彼のスタジオで作品を見るなりわたしはそう言った。そのときシゲちゃんの心がキレたのかもしれない。わたしが帰ったあと、顎つきのドクロはコナゴナにたたき壊され(ツイッターに映像あり)、その一週間後に、今度は顎のない、マンガとおなじ「不完全なドクロ」が完成した。
 さっそく監督(才谷氏)の元へ送ったところ「監督的にはOKのようです!」という、悪くないコメントを頂戴した。
 これにてねじ式一号作品の終了だ。
 次は「ダグラスDC-3」である。

ウエノ・シゲユキ氏作「骨と枝」(1/7)。ドクロは、真鍮製骨組みの上にエポキシ系樹脂を盛り、さらにその上に樹脂粘土(スカルピー)を盛って整形した。枝は本物の枝を利用して整形し、着色した。なおシゲちゃんは20年前からずっと「渋谷クラフト倶楽部」の会員です。