「ミニチュアショウのこと」

   イーゼルに乗った状態のアートインボックスの模型(12分の1)をいっぱい持っている。それらをFacebookに掲載したところ予想以上のいいねがついたので驚いた。ある方からは「なにに使うんですか?」などとたずねられ「アートイベントや催事に出場するときに、机上での展示プランを考えるときに使う道具です」とお答えした。
   そうなんです。
   いままさに、今週末から開催される「第24回ドールハウスミニチュアショウ」におけるHagaコーナーのディスプレープランを考えている最中だ。
   で、結局、下のようにならべるつもり。
   下の写真における縮尺率はちゃんと合っている。すると若干ゆるい(スカスカ)のではないかと心配だったが、主催者がこの模型をご覧になり「これで良い」とおっしゃったので、これに決定。
   ブース自体は彼ら(主催者)が施工するので、詳しいことはわからないが、壁がグレーで、黒い布の天井が付くという。写真では手前がオープンだが、実際は壁で覆われるようだ。したがって客は手前側の壁の右側から入り、左側から出る、むかしの見せ物小屋のような構造になるらしい。
   だがそのへん、どうなんだろうか?
   密になる懸念もあり、手前の壁はいらないんじゃないかと思うのだが…。
   ま、当日の朝、現場で考えます。
  ——7月9日昼の12時オープン!
    https://www.dollshouse.co.jp/dollhouseshow/

第24回/東京ドールハウスミニチュアショウは7月9日土曜日の12:00〜17:00までと、7月10日の日曜日10:00〜16:00までの両日、東京浅草にある東京都立産業貿易センター台東館の7Fで開催されます。入場料1,500円。ぜひご来場ください!
 

「休館のお知らせ」

    お暑うございます。
 来週の月曜日(7/4日)以降しばらくのあいだペライベートギャラリー「Gallery ICHIYOH」をお休みいたします。
 以前、当欄でお伝えしましたように、7月9日と10日の両日、東京浅草でドールハウスのミニチュアショウがありますので、所蔵作品の多くをそちらの会場に展示せねばならず、一時期ギャラリーが空っぽになるからです。
 よろしくご理解のほどお願いいたします。
    ショウの詳細: https://www.dollshouse.co.jp/dollhouseshow/
    再オープンがいつになるのかは追ってまたお知らせいたします。

ですから来週は、作品を片付けて箱詰めし、浅草に搬入し、二日間展示して、そのあと搬出し、戻ってきた作品を再びまた片付けるなど、この暑いのに大変です。なお3日の日曜日まで、ギャラリーは通常営業いたしておりますので、よろしければそれまでにお出かけください。

「ExtrART」のこと

   2月の有楽町展の折「アトリエサード」という出版社のS氏が初日にご来場し、バチバチたくさん写真を撮って帰った。翌日、その日に撮った写真の一枚を、自分のインスタグラムに掲載し、われわれの展を宣伝してくれた。それは作品「ワンス・アポン・ア・タイム」を中心にした、何気ない会場風景だったが、構図が抜群で、目を釘付けにする力があった。ただちにS氏に電話し、当該写真の使用許可を得て、わたしのインスタにもおんなじ写真を掲載したところ、な、なんと12,167件ものいいねがついた。いいねの1万超えなんてはじめてである。
   そのS氏が、6月28日に発売する「ExtrART」という雑誌の誌上で、この日に有楽町で撮った写真をふんだんに使い、そのインスタ写真もふくめて、計12ページにもわたる拙展拙作紹介の記事を書いてくれた。
   ぜひお買い求めください。
   アマゾンで買えます。
   https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4883754715/atelierthirho-22

 
「ExtrART」誌33号(アトリエサード/刊)
上の雑誌とは別にアトリエサードが刊行している「トーキングヘッズ叢書」という雑誌に、わたしは「立体画家・はがいちようの世界」と題する連載コーナーを、過去33回にわたって担当させていただくなど、S氏には日頃からたいへんお世話になっている。
 
 

「トキワ荘制作記」

   2001年に最初のトキワ荘をつくったときには苦労した。石巻市のマンガミュージアム・石ノ森漫画館からの制作依頼だったので、ちゃんとしたものをつくらねばならなかったが、すでにトキワ荘は取り壊され、図面もなく、つくるべき正確なかたちがわからなかったからだ。マンガ家たちが描いた絵や、いくらかの写真が残されてはいたものの、どれも決定的ではなかった。写真といっても建物全体を捉えたものはなく、部分部分がバラバラに撮られたものばっかりで、しかもまったく写っていない箇所もあり、いまいち全体像がつかめなかった。
   そんな中、当時このアパートにお住まいになっていた女流マンガ家・水野英子先生からの貴重な証言を得たり、トキワ荘の元大家だった天野喜秀氏から直接ご説明を受けたりしながらの、試行錯誤の末に、同年5月、なんとか完成に漕ぎつけることができた。
   その年の暮れ、わたしはこのときの苦労ばなしを綴った「メイキング・モデル・オブ・ザ・トキワ荘」という制作記を、雑誌「DDD」への連載を目的に執筆した。
   その後その苦労談を和綴本に仕上げた同名の制作記を、うちのクラブの「ままや」さんにつくってもらい、拙展会場や、イエサブなどで販売した。しかし一冊ずつ手で綴じた本なのでどうしても高価にならざるを得ず、(税込み一冊3,300円)、あんまり売れなかった。
   それから20年経った去年の暮れ、今度は沼津のゆうさん編集によるかっこいいデザインの、新「トキワ荘制作記」が、リバイバルリリースされることになった。(下の写真)。こちらは税込み2,640円と、和綴本よりはちょっとは安くなっている。
   購入希望はご連絡ください。
   いまのところアマゾンではかえませんので。

 
上の本は、赤い表紙の和綴本「メイキング・モデル・オブ・ザ・トキワ荘」と内容がほぼおんなじです。
20年前、その和綴本を読んだという小学館の編集員の方(残念ながら名前は失念)から丁寧な手紙が届いた。開封すると「ぜひ弊社から出版したい」と書いてあり、当人は元藤子不二雄担当の記者だという。トキワ荘の時代のことがとても懐かしいとも述べてあったので、わたしは大喜びし、ワクワクしながら待機していたところ、後日届いた手紙には「編集会議でボツになり大変申し訳ない」とあり、大落胆した。だがどうしても最初の手紙を捨てられず、ずっととってあった。
本日これを書くにあたって、その方の名前を調べるために、必死でその手紙を探したが、残念ながら見つからなかった。そのとき、もしこの本が出版されていたら、わたしはその後「伊東屋制作記」や「石の家制作記」なども書くことになったかも知れず、その後の人生が少しは違っていたかもしれないのだがm2zu%x)qMQSHUbTTdm)&nUOR。
 

「しかしトラックは何処へ?」

   大作「風に吹かれて」の電信柱が折れてしまったことを以前ここに書いた。(5/17日付け当欄)。その修理のため、作品はその後ずっとわたしの目の前に置いてあり、正直言ってジャマでしょうがなかった。一刻もはやくどかしたい一心で懸命に修理したところ、ご覧のようにほぼ元通りに直すことができた。(下の写真)。さっそく搬入のプロである山ちゃんに頼んで2トン車を手配し、箱に収納して倉庫へと運んだ。
   しかしなにしろ作品がデカイので一番奥にしまわなけりゃならず、まずは手前にある箱をいったんぜんぶどけた。大小あわせて箱は50個もあり、どけるったってたいへんだ。
   そんな作業のついでと言っちゃあなんだが、この際ついでに、もうひとつの大作「ワンス・アポン・ア・タイム」の箱を、おっかなびっくり開けてみることにした。この作品の地面にはダイキャスト製のトラックが一台置いてあり、2月の有楽町展のときには確かに置いてあった。だが無接着のため撤収時には地面から外して、作品とは別のパーツボックスにしまうことになっている。ところがそのトラックが、ここ数ヶ月、行方不明なのである。もしかしたらしまい忘れて作品と一緒に箱の中にあり、暴れて、日の見やぐらや電線をぶっ壊しているのではないか、などと考えると背筋が凍る。あまりにも恐ろしく、覗きたくてものぞけなかったその箱を、とうとう開けてみたのだ。(小生腰痛につき山ちゃんが開けた)。
  「先生、どこも壊れてないですよ‥」
   パアーッと明るいLEDライトを片手に、箱の隅々まで照らしながら、のん気な声で山ちゃんがそう言った。
  「トラックは?」
  「どこにもありません」
   と、山ちゃん。
   どうも「ワンス・アポン・ア・タイム」は壊れていなかったようである。
   そして「風に吹かれて」も元通りの姿になった。
   めでたし。めでたし。

5月の中旬から修理をはじめて、終わったのは5月末だった。考え考え、少しずつ、慎重に進めていたので、延日数として、どのぐらいかかったのか、よくわからない。最初に破損を見たとき「修理は無理」と思ったが、なんとか元通りにすることができて、正直ほっとしている。

「お知らせ」

    ちょっと先のはなしですが7月9日と10日の両日、東京浅草で「ドールハウス・ミニチュアショウ」が開催されます。この催しに毎回わたしはお付き合い的に1〜2点の作品を展示してきましたが、今回はわざわざ「はがいちようゾーン」的なブースを設営し、大小合わせて10点近くの拙作を展示する予定です。

   タイトル: 第24回・東京ドールハウス・ミニチュアショウ
   会場: 東京都立産業貿易センター・台東館7階
    ——都営浅草線浅草駅から歩8分
   日程: 2022年7月9日(土)12:00〜17:00
                        7月10日(日)10:00〜16:00
   入場料: 1,500円(一般入場券)
   主催: 東京ドールハウス・ミニチュアショウ実行委員会
   問合せ: 03-3816-6977(ドールハウスギャラリーミシール)
   https://www.dollshouse.co.jp/dollhouseshow/

   ドールハウスのショウに、こんなにたくさんの拙作をならべるのは1999年に開催された第1回目の東京ショウ以来のことになりますので、ちょっと早いのですか、お知らせいたしました。
 無料の招待券(下)も届いています。欲しい方がいらっしゃれば差し上げますので、ご連絡ください。ただし先着順です。

このショウ、最初は米トム・ビショップと岩瀬勝彦氏の共同主催で1999年にスタートし、その後「日本ドールハウス協会」が主催者となり、そして現在は「東京ドールハウス・ミニチュアショウ実行委員会」が主催している。

「Aさんのこと」

   前回の続き。
   わたしの倉庫から「風に吹かれて」を持ち出した美術監督のA氏は、元フジテレビの社員で、15年くらい前にひょんなことから知り合った。当時はホリエモンブームだったので、若いIT経営者を主人公にしたドラマが企画され、その番組にわたしの作品をディスプレーしたいと言ってくれたのがA氏だった。作品貸し出しの期間や、貸し出し料などが決まり、やる気満々でいたところ突如ホリエモンが逮捕され、企画がボツになった。
   その後A氏は、キムタク主演の「HERO」に拙作を使ってくれた。テレ朝の昼ドラマ「やすらぎの郷」や、「やすらぎの刻」にも使ってくれた。そして今回は、AbemaTV配信の「ANIMALS」というドラマに使う予定で、倉庫から3点の作品を、箱に入った状態で持ち出したのだった。
   現場ではまず作品(風に吹かれて)を箱出しし、セットの中央に配置して、壁ぎわにアートインボックスを配するというA氏のプラン通り、わたしも立ち合ってディスプレーした。
   しかしその翌朝ドラマの監督がやってきて拙作3点は不要と言い出したため、作品はテレコムセンターの倉庫へ移されることになった。
   わたしが常々「箱に収納する際は立ち合わせてください」とお願いしていたからか、作品は箱には入れず、むき出しの状態で倉庫へと運ばれ、到着後段ボールのカバーで覆われた。
   電柱はこの運搬の過程で折れたと推定する。
   このたびの破損について彼らは重々詫びてくれた。修理代を負担するとも言ってくれた。しかし作品は、撮影には使われなかったので、貸し出し料を値引きしてほしいとも言われた。
   ともあれ、今般の支払いに関して、わたしはかなりアブナイ局面に立たされた。使われなかった上に壊されてしまったのだから容易じゃない。トラブルになっても不思議じゃない状況である。
   暗澹たる気持ちで過ごしていると、A氏からうれしいメールが届いた。内容は、ほぼわたし(芳賀)の原案通りの請求書(リース料&修理代)をテレビ局宛に提出せよという指示書であった。彼がテレビ局とのあいだに何らかのはなしをつけてくれたのだろう。
   Aさんありがとう!
   これを読んでいるかもしれぬA氏に御礼を申し上げます。
   ——あとは修理をがんばります。

上はつい先日の毎日新聞に掲載されたA氏紹介の記事です。2022年5月7日(土)付けの夕刊だが、読めるかなあ〜。