「自習の薦め」

   このごろ教室でつくる作品は12分の1スケールのものばっかりになり、(むかしは80分の1の方が多かったのだが)、すると、かなりぶ厚い木材を切らねばならず、(80分の1ならデザインナイフで済むところを)、12分の1となると、どうしても丸ノコなどの電動工具に頼らざるを得ない。ところが丸ノコでの切断はガーガー騒音がともなう上に大量のおがくずが舞い、ふつうの人の家庭での作業には不向きである。もちろん東急ハンズで切ってもらうことも可能だろうが、現物あわせで、自分で切りたい場合もある。
   まあそういったことをいろいろと斟酌し、作業場を持たない生徒諸氏への便宜を図るという意味で、わたしのスタジオを解放することを考えた。

   ①わたしの作業場を勝手に使って構いません。
   ②わたしの道具も使って構いません。
   ③昼でも夜でもいつ使っても構いません。
   ④丸一日使おうと一時間だけ使おうと自由です。
   ⑤来る前にあらかじめ連絡をください。

   以後、わたしの作業場を使って勝手に作業することを「自習」と称する。自習は消費税込み一回1,000円。一時間だろうと丸一日だろうと一回1,000円いただきます。自習はあくまで自習であり補講ではないので、基本的にわたしはなにも説明しません。
   自習とはそんなことである。ドシドシわたしの作業場を使って、どんどん各自の作品を仕上げてほしい。どんなものをつくってもかまわず、現役生でなくても、顔を知っている方ならば利用OKです。
   希望者は連絡をください。
   自習制度については以前にも一度お伝えしたことがありましたが、ご存じでない方も多いと考え、再度ご説明いたしました。

ちょっと木を切らせてほしいのですが—–なんて、顔見知りの方が、ぼくのスタジオへやってきて、丸ノコを使って小一時間作業して帰るというケースが、以前からたまにあった。もちろん歓迎はするが、困るのは、彼らが、彼女らが、必ずなにかの手土産を持ってくるということ。頼んで使わせてもらう立場となれば、それもやむなしとは思うが、そういうウェットなことをいちいち考えずに済むように「一回1,000円」というドライな制度を考えた。どうか手土産なしでいらしてください。