化学プラントの工場をいくつかの建造物によってまとめた「昭和33年/江戸川区鹿骨」という大型ストラクチャー作品がある。(2000年制作。縮尺1/80)。この作品の中央に複雑なかたちの古い工場があるが、後年その工場部分だけを切り取って当時のパルコ教室の制作課題とし、出来上がった作品には「午後の鹿骨」というタイトルをつけた。
それから10数年経った2014年、こんどは自由が丘教室の、当時の生徒たちからふたたび「午後の鹿骨」をつくりたいという声が上がり、わたしにとって3回目となる古い工場づくりがはじまった。やたらと手間のかかるおんなじ工場を3度もつくるのは苦痛だったが、それでも最後までつくり終えた。
やれやれと思っていたら、それから更に8年経った2022年のある日、ある生徒氏から、「半日教室」へ通って「午後の鹿骨」をつくりたいと非常に強く何度も何度もうながされ、困り果てた。
当時、このサイトには「単発式・半日教室」なる指導メニューが掲載されていて、読むと「つくりたいものはなんでもOK。どんな作品でもご指導いたします‥」みたいなことが謳ってあった。
彼はそれを見たという。ならば仕方がない。お約束通り制作技法は説明いたしますが作品のサンプルはつくらないという条件でご納得いただき、ひとり生徒・ひとり先生という「半日教室」がスタートし、三たび「午後の鹿骨」へのアプローチがはじまった。
はじまって約一年。当初はたったひとりだった生徒もいまやふたりに増え、つくらないハズだったサンプルも結局はつくることになり、現在では下の写真のようになっている。まだまだではあるが、だんだん出来てきた。
——(なお、この度の一件を踏まえ、当サイトにおける「単発式・半日教室」の告知メニューは、先日削除いたしました。悪しからずご了承ください)。