前々回ちらっと書いた故デビッド・スカルファー氏の作品修理(タマ切れ電球の交換)は、予想したとおり、カンタンな仕事ではなかった。
今回二作品お預かりし、タマ切れはぜんぶで9箇所あった。
クルクルっと回して切れたタマを取り外し、新品と入れ替えるだけのことだが、なにしろ手がまったく入らない箇所での交換である。ときには作品をバラしなから、悪くいえばぶっ壊しながら取り組むしかなく、非常に神経をつかう仕事だった。また、街灯のような照明の場合、まずは四角い街灯カバーを外さぬと電球がとりだせないのだが、つくってからの年月がたった作品ゆえ、まったくカバーが外れない。仕方がないので街灯の真裏に小さな穴を開け、極小のLED照明をその穴に突っ込み、切れた電球の裏側から光らせた、等々、等々、臨機応変にそんなことをやりながら、最終的にはぜんぶの明かりを灯すことができた。
ちなみにスカルファー氏の娘Hanaさん=この作品の所有者=からは、どんな風に電球を取り替えるのかひと目見たいというご要望があり、作品を引き取りに見えた日に、ひとつの作品を分解し、試しに一個のタマ切れ電球を、交換して見せてあげた。(下の写真)。いつか自分の手でも直せるようになりたいという一心から、そんなことを言い出したのだろう。そのときのためのミニチュア電球のタマを、彼女は自分でちゃんと持っていた。
下の写真のあとHanaさんは修理済みの作品2点を車に積んで、自宅のある国分寺へと引き上げて行った。