近況①「午後の鹿骨」

 教室の制作課題として取り上げ、昨年の10月から制作していた「午後の鹿骨」(1/80)がほぼ完成した。
 これをつくったのは3度目だったので、最初はしんどくてうんざりしていたが、若手の現役生徒タマちゃんに手伝ってもらったりしているうちにどうにかエンジンがかかった。車はポンコツだがエンジンさえかかればまだ走行できるらしい。最終的にはかなりの状態に仕あがり喜んでいる。
 近いうちにイエサブに持って行き、棚の飾り物にしようと思う。

午後の鹿骨

近況②「映画に使う模型の部屋」其の四

 こっちの作品にも突然スイッチが入り、あっという間に写真のようになった。
 前回書いたように障子のサンはレーザーでカットである。障子紙は手元にあった習字用の半紙を、雪見窓には愛用のポリシートを使用した。
 あまりにも気に入ってしまい、急遽写真を掲載することに。

模型の部屋(1/12)


2014年9月21日

近況①「映画に使う模型の部屋」其の③

 表題の作品は現在写真のようになっている。
 この部屋は障子面と襖(ふすま)面とで囲われていて、どちらかというと障子面が中心だ。だから障子から先につくろうとしてサンの太さを測ってみたらたったの9ミリ、実物が、である。12分の1にすると0.75ミリ、アナログ方式でつくるのは無理と判断し、障子はいまレーザーカットで制作するべく業者に依頼している。
 しょうがないのでフスマ面を先につくり、障子のあがりを待っているところ。
 下の写真のフスマは、大きな柄を絵の具で描いて、縮小コピーにかけ、ボール紙に貼ってつくった。
 鴨居の絵もだいたいおんなじ。畳はいつものように東急ハンズで買ってきた特殊な紙を品ベニヤに巻き付けて制作。
 と、このへんのテクは10月から自由が丘で始める「あるマンガ家の住居制作教室」で詳しく説明するつもり。
 ご興味のある方は是非ご参加ください。
 ——–詳しくは前回の当欄に。

模型の部屋(1/12)

近況②「モースの店」ドーハへ到着!

 紆余曲折を経て「エドワード・モースの店」が、とうとうドーハへ到着した。
 現在、通関手続きのため現地の税関に保管されているそうだが、依頼主アフマド・アルタニ氏の元へはまだ届いていないらしい。
 以上の情報は9月10日に本件の運送業者からもたらされたが、昨日(11日)ふたたびおなじ業者からメールがあり、「代理店曰く、ご指定の電話番号にかけてもなかなかアフマド氏につながらないとのことです。ほかの電話番号かメールアドレス等をご教示いただけますでしょうか…」などと言ってきた。
 また別の人からは「アフマド氏の元へはすでに税関から連絡があり、近々当人が回収に向かうつもりらしい…」(11日)というメールが届くなど、情報がさくそうしている。
 そろそろ当人から「届いた!」というメールがあってもよさそうだが、まだなんにも言ってこない。

エドワード・モースの店


2014年9月13日

お知らせ

 開催中の自由が丘教室ではただいま「午後の鹿骨」(1/80)と題する作品を制作中ですが、これが間もなく終了いたします。そのあと10月からはメニューが変わり、新しいメンバーとともに再スタートする予定です。新メニューは「あるマンガ家の住居」(1/15)です。写真の作品を24回で完成させます。参加希望者はお申し出ください。更に詳しい情報をお送りいたします。
 本作を取り上げるのは3回目ですが、まだつくったことがない卒業生もけっこういらっしゃるのではないでしょうか、出戻り参加も歓迎です。

開催:月1回開催、土曜午後6時~8時
会場:自由が丘グリーンホール201号室
住所:目黒区自由が丘2-15-10 (自由が丘駅より歩5分)
URL:http://www.green-hall.com
初回開催日:2014年10月11日
2回目以降:11月8日、12月13日、2015年1月10日、2月21日、3月14日
 (2015年4月以降の日程は追って又お知らせいします)
参加費:一回5,616円(税・材料費込み)
※はじめて参加される方は、初回のみ入会金(10,800円)がかかります。
——–質問があれば遠慮なくHAGAまでどうぞ。

「あるマンガ家の住居」
縮尺15分の1


2014年9月7日

エドワードモースの店にトラブル発生!

 27日の朝、輸出業者から電話があった。
 「モースの店」を梱包した箱の一部に生木が使ってあるため、荷受国の検疫を通過できない恐れがある。したがって大至急箱をつくり直さねばならぬが、その作業に立ち会ってもらえるか…とのこと。
 もちろん立ち会うと答え、翌28日の午後、成田へと向かった。
 空港から車で10分ほどのところにある梱包業者の工場においてある、以前わたしがつくった箱を開けて中身を取り出し、短時間のうちにまた新しい箱をつくって、再びそこに作品を収納する。それらの作業をたった2時間で完了させる予定だった。
 ところがである。新しい箱に収納するにあたって改めて作品を見ると、地面の一か所に5円玉ほどの白く欠けた箇所があり、そこだけ地肌がむき出しになっている。出したときにはそんな傷はなかったが、わたしはそのあと別室で待機することとなり、しばらくのあいだ作品の場所から離れねばならなかった。おそらく傷はその間に、なにかがぶつかって付いたものと思われる。
 一通りの文句は述べたが所詮どうにもならない。
 あわててホームセンターへと走り、補修の材料を買ってきて、工場の終業時間午後7時まで修理作業に取り組み、なんとか補修を終了、箱詰めを済ませてから帰路に着いた。
 その晩は朝まで考えた。
 応急処置よって地面のキズは埋めたものの、そこだけが老人の顔に刻まれた黒いシミのようだ。その見苦しい映像がまぶたに浮かび、なかなか眠れなかった。わたしを信用し、完成を見ずにカネだけ払ってくれたアフマドは、その地面を見て一体どう感じるか、富豪とはいえ決して安い買い物ではないはずだ。
 仕方なく翌朝業者に電話して事情を説明し、出荷をストップしてほしいと頼んだ。もう一回成田まで出かけて箱を開け、改めて作品の修理をしたいと申し出た。
 ———じゃなけりゃ一生悔やむことになる。
 1月に完成してから何回もの出荷チャンスを逃してきたこの作品、今度こそと思った矢先にまたつまずいてしまった。

無事に北海道を出発したのだが…。


2014年8月31日

近況①「白い石炭商人」

 一色美世子さんからの依頼で制作中だったアートインボックス「白い石炭商人」が先日完成し、依頼人の店「ノエ・カフェ」への納入を完了した。この作品をつくるのは二回目だったが、前につくったものよりは明らかに出来がよく「気に入りました」という依頼人からのコメントをいただき大変喜んでいる。

作品は「ノエ・カフェ」でご覧いただけます。
http://www.mapion.co.jp/phonebook/M01012/13120/G07066704979-001/

近況②「いよいよ出発!」

 カタールの首都ドーハにお住いのアフマド・アルタニ氏からの依頼で制作し、今年の一月に完成、その後ずっと北海道の杉山アトリエ(滝川市)に保管してあった「エドワード・モースの店」が、いよいよ旅立つことになった。そのため小生は先日北海道まで出かけて、改めて作品をチェック、そのあと現地のみなさんに手伝ってもらってのパッキング作業に大汗を流した。
 作品は今月30日に成田を発ち、アフマド氏宅への到着が9月の10日~15日あたりを予定しているが、はたして気に入ってもらえるかどうか…。

滝川にて


2014年8月23日

映画に使う模型のこと—–②

 ——前回の続き。
 主人公の祖母・静(しず)が、むかし自分が住んでいた家(模型)の中の自分の部屋(模型)を覗いたあと、本編ではその家における実写シーンが登場する。その撮影が先日行われたとのことで、実写に使われた部屋の写真が届いた。つまりはこんな部屋をつくれってことらしいが、写真を見てほっとひと安心。
 トキワ荘や伊東屋や、角海老楼やニコレットの居酒屋など、今までつくってきたどの作品も、つくる前はまったく自信が持てなかった。失敗し、惨憺たる作品に仕上がってしまい、依頼主ともめごとになるのではないかと、毎回不安いっぱいでスタートしたものだった。しかし今回はこの写真を見たおかげで不安がどこかへ飛んで行ってしまった。
 い~い部屋である。

静の部屋
「セシウムと少女」より


2014年8月17日

映画に使う模型のこと

 ひと月前、ある方から連絡があって、近々クランクインする予定の映画にいくつかの模型(ジオラマ)が要るとおっしゃり、だいたいは以下のような話をされた。
主人公である少女がその祖母に、祖母が17才のころに住んでいた家の模型を見せるシーンがあり、祖母がその家の窓から、当時の自分の部屋を覗いて懐かしがるという場面を撮影するために模型の家一点と、その室内のジオラマ一点が必要だ。そしてこれとは別に、むかしの阿佐ヶ谷一帯の風景と、当時の駅をあらわした模型が要るので、都合4点のジオラマ(模型)をつくってほしいとのこと。
「いつまでに?」
と聞くと、9月には撮影が終了するので、それまでに、という返事。
もちろんお断りした。
そんなにたくさんを急にはつくれないからだ。
しかし、ただ断るだけでは申し訳ないと思い、そのようなジオラマを精力的つくっておられる若手の実力者をひとり紹介し、帰ろうとすると
「どうしても、一点だけでも、あなたにお願いできないか」
と、強く頼み込まれ、仕方なく「祖母が覗いた室内の模型」一点を、お引き受けすることになった。
(縮尺については特にいわれてないが、おそらくは12分の1になるだろう。)
まだなんにもやっていないので、非常にあせっている。
9月末までには完成させねばならぬが、なにぶん時間がないので、あんまりたいしたものはつくれないかもしれない。

送られてきた模型の部屋のスケッチ
映画「セシウムと少女」より


2014年8月9日