題名の効用

 むかし駆け出しのころ、「芳賀さん、題名は大事ですよ…」と某画廊のオーナーから言われたことがあった。作品が良くても題名が良くなきゃ売れないというのだ。なるほどと思った。
 以後真剣に題名を考えるようになり、ちっちゃな保線事務所に対しては「孤独の世界」という題名をつけた。するとその作品がぽつぽつ売れるようになり、この20年のあいだには、少なくとも20点は売れているはず。最初は一点5万円だったが、いまは一点194,400円である。(秋葉原のラジオ会館6F「イエローサブマリン秋葉原本店★ミント」で取り扱っています)。
 その19万の作品がこのところ立て続けに3個売れ、とうとう在庫切れに。しょーがないので、いままとめて4個いっぺんに——-うち一個は教室の制作課題として——-つくっているが、おんなじものを4個もつくるってーのは本当にしんどい。引き続き売れるようならば、そのうち一個39万円にしなけりゃならん…かもしれぬ。
 それもこれも題名の効用だろう。タイトル板(「孤独の世界」と書いた板)だけを送ってほしいというメールが届いたこともあった。

「孤独の世界(1/80)」量産中!


2015年9月12日

高知展終了

 おかげさまで高知展は無事終了いたしました。
 最終日8月30日の朝、高知地方はあいにくの大雨。どうせ会場はガラガラだろうと思いながら、行ってみたら大盛況、溢れんばかりの客で満員御礼の状態だった。
 担当者にお尋ねしたところ期間中—–45日間で——約1万人の入場者があったそうだ。
 今回、高知というところへは初めて出かけたが、街全体がなんともレトロで、その〝自然な昭和感〟に圧倒された。東京だったら三脚持参で撮影したくなるような古い建物がそこいらじゅうにごろごろころがっていて、なかでも渋いのが市電(土佐電)だ。ごらんのような旧型車両がいまだに元気に走り回っているさまは、まるで昭和30年代の東京にタイムスリップしたようだ。
 展終了後は作品の梱包やら会場の後片付けに大汗を流し、それら若干の市内見物をしたあと、たったいま東京へ戻ってきた。
ご来場いただいた高知の皆さん、関係者のみなさんに御礼を申し上げます。
 ——どうぞよろしく。

土佐電@高知


2015年9月3日

高知旅行のこと

 高知県立美術館で開催中の「ドールハウス&立体絵画展」の閉幕が近付いてまいりました。これに合わせてわたしは最終日(30日)午前9:45分羽田発のJAL便で高知へ向かい、撤収作業を終えたのち、9月1日午後5:55分羽田着のJAL便で帰京する予定です。
 今回、会場での動画撮影を予定していますので、カメラマンの佐藤紀幸氏が同行します。加えて現生徒の白石和良さん、元生徒の山下浩さんとわたしの計4人が現地へ向かいますが、これに加わりたいという方がいらしたら至急HAGAまでご連絡ください。
 ≪行動予定≫
 30日:朝羽田発、午後1時会場着、午後5時より撮影、午後7時より懇親会、高知泊。
 31日:朝10時より撤収作業、午後6時より懇親会、高知泊。
 9月1日:名所見物、桂浜にて竜馬像を見る、午後4時35分高知発のJAL便で帰京。
 (なお高知展の詳細につきましては7月11日付けの当欄をご覧ください。)
 ——どうぞよろしく。

ドールハウス&立体絵画展


2015年8月22日

エイミー&マドレーン

 制作中だったアートインボックス「エイミー&マドレーン」がやっと完成した。
 モードの街パリにファッションブティックが一軒もないのは片手落ちと考え、去年の春からぽちぽちとつくり続けてきた作品だが、はっきり言って非常にむずかしかった。むずかしかった割には良いのか悪いのか、よくわからないような作品に仕上がり、いまいち釈然としない。
 今回の作品はグレーの壁にピンクの店舗という組み合わせだが、肝心のピンクがなかなか思うような色に落ち着いてくれず、かなり困った。店がピンクならフレームは白がよかろうと、ご覧のようにかなり白っぽいフレームを取り付けたが、これとて二度三度と塗り直しを繰り返した末の産物だ。
 エキシビションなどで作品を展示する場合、黒っぽいフレームと、白っぽいフレームを常に交互に並べているが、前者のほうが明らかに作品が引き立つので、どうしても黒系のフレームが増えてしまう傾向にある。よって今回は白っぽい色(ライトグレー)に挑んだが、これがベストだったのか?
 等々、いろいろと不満もあるが、とりあえず「完成」とする。

エイミー&マドレーン
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2015年8月16日

高知展の宣伝

「トーキングヘッズ叢書」(アトリエサード刊)という雑誌に「はがいちようの世界」という連載ページを持っている。その8月8日発売号で旧作「ワンス・アポン・ア・タイム」を紹介したあと、開催中の高知展を宣伝。
下にその全文を掲載する。
 ——-ちょっと不思議な写真である。石造りの倉庫の中にジオラマ作品をディスプレーし、うしろにシナベニヤを立てて撮影した。(左はパネルなしの写真)。うっすらと見えるベニヤの木目がまるで雲のようだ。
作品題名は「ワンス・アポン・ア・タイム」。縮尺80分の1。
なだらかな上り坂のてっぺんに火の見やぐらがあり、その横に田舎の消防分団が。昭和30年ごろまでは日本中どこにでも見られた村外れの情景である。
 本作は高知県立美術館で現在開催中の「ドールハウスと立体絵画展」で見ることができます。(8月30日まで/期間中無休/午前9時~午後5時/入場料大人1100円)。本作の他にも30点以上のはが作品を展示いたしますので、お近くにお住いの方はぜひお出かけください。
 ——-以上トーキングヘッズ誌より。

立体画家・はがいちようの世界《第9回》


2015年8月8日

あっぱれ!

 下のレタリングは現役生徒のひとり一色美世子さんが書いたものです。
 ロゴ部分の幅約6センチ、天地約7センチですから、ほんの名刺程度のスペースに筆でピッチリ書いてあります。もちろん手書きです。最下段のアルファベットに至っては高さたったの3ミリですから驚きです。いまやっているアートインボックス制作教室の、今週の宿題がコレでしたが、彼女のロゴを見たとたん一同絶句。
 一色さんと言えばドールハウスギャラリー・ノエカフェのオーナーとして有名ですが、なんでも美大出身だそうで、そのせいか絵や字を書かせると時々超絶技能を発揮します。
 それにしても彼女は二女の母、家庭の主婦です。加えて毎日カフェを営業し、店で出す料理も自分で作っているという、そんなビジーな日常の合間を縫ってこれだけのレタリングを仕上げてしまうのだから…
 「あっぱれ!」

 《追伸》
 ただいま高知県立美術館において「ドールハウスと立体絵画展」を開催中です。30点以上のはが作品を展示しておりますので是非お出かけください。
 詳細は7月11日の小欄に。

一色さんのレタリング


2015年8月1日

ままやーどフィールドノート

 うちのクラブの有名人田山まゆみさんは作家名〝ままや〟として「工房ままや」を主宰したり、ときどき宮沢賢治がらみの造形作品をつくったりしている。
 そのままやさんが今度本を書いた。
 その本を現生徒の白石和良さんが西荻窪の「ニヒル牛」で買って来て
 「これ、面白い本ですよ」
 と言いながら見せてくれた。
 題名は「ままやーどフィールドノート」。
 そう言われちゃ読まないわけにはゆかず、借りて読んで驚いた。
 架空の国の小さな島、自然豊かな「ままやーど島」を舞台に、年齢性別不詳の主人公ビスコと、ビスコを取り巻く人々を、みずみずしい文章と珠玉のエピソードで紡いだファンタジーである。ピース又吉も真っ青という内容だ。
 全240ページ。定価2000円。限定たった5冊。
 ぜひ読むべし。

ままやーどフィールドノート


2015年7月26日