「トキワ荘は今こんな状況です」

 人生5度目の制作に挑んでいるトキワ荘。
 朝6時から、夕方6時まで、一日も休まず、毎日トロトロになりながらも作業をつづけたおかげで、内部はすべて終わり、外壁も8割方は終えることができた。(下の写真)。
 しかしまだまだやることはいっぱいあって、残るは玄関と、裏階段と、屋根と、雨樋と、地面ベース。3月末完成という契約だが、果たして本当に出来上がるのか。
 ギリギリの攻防が続いている。
 (本件に関しては2月25日と3月2日付けの当欄にも記事があります。)

制作中のトキワ荘/縮尺50分の1


2016年3月23日

手柴さんのジェット機

 東京ソリッドモデルクラブの手柴有那さん作によるオールハンドメイドのジェット機、ホーカー・シドレーについて、以前ここで紹介したことがあった。機体がすべて薄いアルミニウムで覆われた、にぶい銀色に輝く飛行機だった。
(2009年10月3日付け当欄に記事あり)。
 そのあと手柴さんは、今度は「スーパー・クルセーダーⅢ」という機種に取り組んで制作中だったが、どうにかそれが9割方完成に近づいたところで、先日持ってきて見せてくれた。今度の作品は中身が透き通ったスケルトン構造になっていて、機体の約半分が透明アクリル板で覆われていた。運搬用の収納ケースから静かにそれを取り出し、みんなの目の前に置いたとき、オーッという静かなどよめきが広がった。
 なんたって飛行機はすべて曲面でできている。翼から胴体まで、手柴さんは、それらすべての曲面にぴったり合わせてアクリルをまげて、切って、貼ったのだそうだ。そうしてあえて中身が見えるようにつくってから、中身であるジェットエンジンや、各種配管や、機体の骨組みなどを全部ひとりでコツコツつくったという。制作には膨大な日数がかかり、もうすでに5年を費やしているそうだ。
 このたびは当クラブの佐野匡司郎さんと、そのお仲間たちからのリクエストに答えて、貴重な機体をわざわざ持ってきてくれて、約2時間ていねいに説明してくれた。
 手柴さん、ありがとう!
 あなたのジェット機は最高です。

スーパー・クルセーダーⅢ 縮尺1/32
手前がエンジン、奥が機体です。


2016年3月19日

トキワ荘アゲイン

 先月の読売新聞の朝刊に豊島区がトキワ荘の復元を計画しているという趣旨の記事が掲載されたようである。あいにくぼくはその記事を読んでいないが、けっこう大きな扱いだったらしいので、ご覧になった方も多いハズ。復元ってことは、どっかに実物大のアパートを建てるってことである。
 今から考えればそのことの調査だったのだろう、去年の9月ごろから、「トキワ荘に関するはなしを聞かせてほしい」と、区の担当者と某企業の社員数名がときどきぼくのところへやってくるようになった。ぼくは実際のトキワ荘を見ちゃいないが、以前何回か模型をつくった経験があり、そのときに随分とそのティティールを調べたことがある。拙著「トキワ荘制作記」も、彼らはちゃんと読んでいた。だが、そのときには何でそんなにトキワ荘のことを知りたいのか、意味がわからなかった。
 そしたらである。今年の2月になって「トキワ荘に関する基礎調査中間報告書」という分厚い書類を突然手渡された。そのときになって初めて、トキワ荘の復元計画があることを知った。当初はマル秘扱いだったようだが、すでに新聞記事にもなったいま、もう隠すことはないだろう。
 もちろん彼らは、ぼく以外の方々のところへも積極的にはなしを聞きに行き、多くの写真を採取した結果、今回の調査でわかった新事実がいくつかある。
・二階の各室(四畳半)は、廊下を挟んで真向かい並んでいたのではなく、実際は半間ズレて並んでいた。このためアパートの裏側が裏階段の方向に半間出っ張っていた。
・二階の便所から落下する排泄物を通すための太いパイプが二本、二階の便所の床下から地中の肥溜めに向かって伸びていた。また、このパイプをよけるため、一階の便所は建物から半間引っ込んでいた。
・各部屋の窓枠はすべて白っぽいペンキで塗ってあった。
・各部屋の入り口にあったスリッパ脱ぎ場の幅は1365ミリだった。(今までは幅半間、909ミリと考えられていた)。
・各部屋の押し入れの幅は1365ミリだった。(今まで押入れの幅は一間、1818ミリと考えられていた)。
 等々、過去のわたしの作品とは異なるいくつかの新事実が、このたびの調査で明らかになった。ならば、トキワ荘の専門家(自分)としては、それらを踏まえた作品を、どうしてももう一回つくる必要があると考え、老骨に鞭打って、あらたにまたトキワ荘をつくっている。
 (本件に関する記事は2月25日付けの当欄にも…。)

この厚さ!


2016年3月2日

イエサブの棚、移動しました

 「あれ、はがさんの棚、なくなっちゃったの?」
 な~んて、ビックリした人もいるかも知れない。しかしよく探してみてください。棚は元の場所から数メートル移動して、いまは6階のエレベーター前に置いてあります。ほんのちょっとした位置替えでしたが、場所と向きがぜんぜん違うので、うっかりすると見落してしまうかもしれません。
 以前は狭苦しい通路にあり、かねてより広々としたべーター前に移りたいと考えていた。その思いが伝わったのか、先日の夜、イエサブのスタッフがソローッと引きずって、そっちの場所に移してくれた。だが実際に移ってみると、そこはまるで網走番外地のようなところ。売上的にはどうなのかと、にわかに心配になっている。
 イエサブに出かけた折には100円でも500円でも構いません、ぜひ何かを買ってください。ロストワックスのドアノブや、優秀な「染め液」など、いろいろと取り揃えておりますので…。
 どうぞよろしく。
 ※イエサブの棚とは、秋葉原ラジオ会館6階「イエローサブマリン」の店内に設置されたショーケース「はがいちようのミニチュアコレクション」のことです。

「はがいちようのミニチュアコレクション」
ラジオ会館:http://www.akihabara-radiokaikan.co.jp/access/


2016年2月27日

トキワ荘アゲイン

 ある筋からの依頼によって、ふたたびトキワ荘をつくりはじめた。どんな筋なのか、まだ発表の許可を得ていないので、それ以上言えないが、トキワ荘をつくるのはこれで四度目である。最初は15分の1でつくり、次は80分の1で二個つくり、そして今度は50分の1でつくっている。(下の写真)。
 納期は3月末だそうだ。
 急がされる仕事は大きらいなので、お受けするかどうか、丸五日間もんもんと悩んだ。悩んでいる最中に福井まで出かけて「高間トキワ荘」との初面会を果たし、(前回の当欄に記事あり)、福井から帰った翌日に観念し、引き受けることにした。
 しかし、あまりにも制作日数が乏しい。加えてこのたびは、畳の敷き方から襖(ふすま)の柄に至るまで、あらゆるディティールがすべて決められていて、わたしはキッチリその通りにつくらねばならない。等々。いろいろと制約が多い。そんな条件下で果たしてよい作品が仕上げられるのか。非常に心配している。

制作中のトキワ荘


2016年2月25日

高間トキワ荘との対面

 むかし東京新聞に小生の作品そっくりのトキワ荘が掲載されているのを見たことがある。その作品は縮尺40分の1でつくられ、ごていねいに屋根が取り外せる構造になっていて、漫画家たちの各部屋が上から眺められる。
 福井県の高間信夫(52)という方が趣味で制作した作品だそうだが、驚くほど良くできているとともに、ほんのちょっとした小物の置き方まで、小生の作品とまるでそっくりなことに非常に驚いた。
 (2010/4/25日付小欄に記事あり)
 高間さんとはその後フェイスブックで友達となり、一度東京でお会いしたことがあったが、作品はまだ見ていなかった。そうこうするうちに高間さんは長年の勤めを辞め、模型の仕事一本で独立し、同時に地元福井に小さな個人ミュージアム「茶蔵庵房」(さくらんぼう)をオープン。一度来てほしいと言われてはいたものの福井はなかなか遠い。
 そんな折、突如どうしても行かねばならぬマル秘の事情が発生し、先週福井まで飛んでいって、念願の〝高間トキワ荘〟との対面を果たした。

茶蔵庵房にて。
トキワ荘のほかに20点ほどの作品が展示されています。
高間作品:http://hakoniwa-kun.jimdo.com/


2016年2月20日

佐野邸訪問のこと

 佐野匡司郎という方をご存じでしょうか。
数々の素晴らしい作品をつくりつづけている、うちのクラブ(渋谷クラフト倶楽部)の重鎮です。(下の写真は氏の作品です)。
 佐野さんは神奈川県茅ケ崎市にある美しい日本住宅にお住まいで、住まいのはずれに氏のこじんまりとした工作室があります。過去に何回かみんなで見学に行ったことのある工作室ですが、まだ見たことがないという方からのリクエストがあり、きたる3月26日の土曜日の午後、再度出かけることになりました。
 参加希望者がいらっしゃればお申し出ください。
 当日の午後3時ごろ現地集合の予定です。


2016年2月15日