近況①「アートインボックス制作教室のようす」

 下の写真は、ぼくの工房でこの1月からはじまったアートインボックス制作教室、土曜グループのようすである。
 充電ドライバーでネジを締めているのは時計屋のイケブチさん。その右がイケメンのユウちゃん、そのまた右がユザワヤ講師の山口さん、むこう側にいる女性はアラサーのらるかちゃん、手前背中はコピーライターの羽賀さん、そして画面の一番左側にイラストレーターのイギシさんがいる。
 土曜グループは以上6名だが、日曜グループにもおなじく6名いるのでぜんぶで12名。たいした人数ではないが、ご覧のように各自がその場で作品をつくっているので、これでいっぱいいっぱい。もうこれ以上は入らない。彼らが取り組んでいるのは「モンパルナスの灯」という作品だが完成までにはまだだいぶ時間がかかりそうである。
 この日は午後7時まで、ここでこうやって仕事をして、そのあとはみんなで「三島屋」という料理屋へ移動し、うまいものを食べながらのアルコール補給。
 ま、そんな、極めてゆる~い雰囲気でやっております。

2010年1月23日
アートインボックス制作教室・土曜グループ

近況②「雑誌『悠日』の記事」

 最近宇都宮方面で発売された「悠日」という雑誌に「模型師のこだわり」というタイトルで計4ページにわたって拙作「馬具店」が紹介されました。下にその記事の全文を転載いたしますが、多分文句は言われないだろうと思う。
 なお下の一文は作品がまだ未完成だった去年11月に書いたものです。
 ——-以下、記事より。
 「馬具店のこと」
 いま馬具店をつくっている。前世紀初頭米ミネソタ州に実在した馬具店だ。店の子孫にあたる方からの依頼で制作を開始し、もうそろそろフィニッシュをむかえようとしている。
 実はこの仕事、最初はわからないことだらけだった。
 送られてきた店内部の写真をはじめて見たとき、上段に並んでいるものが馬の首輪だということはすぐに理解した。しかしその下段にあるものがわからなかった。依頼主に問うと、ただ「調べる」とだけ回答があり、どうもはっきりしない。仕方なくわたしはそれらを馬と馬車とをつなぐためのロッドと推定し、調査を開始した。するとある日、ロス在住の弁護士氏から、そのものの正体は密集して吊ってある馬のベルトだとする説とともに数枚の証拠写真が届いた。同時に彼は、写真の店は馬具店ではなく駅馬車のストレージルームだと主張。駅馬車は常に複数の馬で引っ張るため、写真のような馬具が大量に必要だったし、山と積まれた客のトランクが何よりそれを物語っているとおっしゃった。さあたいへん。数ヵ月後、わたしはこの弁護士の薦めに従いカリフォルニア州のゴーストタウンへと飛んだ。調査のためである。さすがアメリカは広い。百年前の町がほったらかしの状態で今もそのまま残っている。メインストリートには教会や酒場とともに馬具店らしき店もちゃんとあった。さっそく採寸し、構造を見、屋根の瓦を観察するなど、アーリーな建造物を存分に調査。そして翌日はサクラメントシティの駅馬車ミュージアムへ。
 ミュージアムとはいっても広さ約50坪、駅馬車一台と往時の写真や書籍が寒々ならんだワンルーム、客はひとりもいなかった。
 「これは駅馬車のストレージルームですか?」
 わたしは件の写真を示しながら恐る恐る中年の学芸員に話しかけた。すると彼女は「オブ・コース!」と一言である。すかさず「じゃあこれは馬のベルトですか?」と黒い物体を指さしながら問うと「イエス!」と彼女は、キッパリ断言したのだった。
 ———というわけで、黒いものの正体がわかるだけでも約半年かかっている。
 完成したら米国からクライアントの御夫妻が作品を見に来る予定になっているのだが、彼らは祖先の店を馬具店だと信じているようである。駅馬車ルーム説を持ち出すつもりはない。写真通りのものが出来あがればそれでいいのだ。

「悠日」2010年0号より

近況③「おまけの一枚」

 下はちょいワルなおまけの写真です。
 2005年の冬、ニューヨークへ行ったとき、シブクラ会員のスギちゃんが撮った一枚だ。
 場所はマンハッタンのロウアーイーストサイド、アベニューBという観光客がまったく行かないようなところに建つ古びたアパートの一室。おそらくは深夜の2時ごろだろう。ぼくはこのときベロベロに酔っていて、写真を撮られたことすら覚えていない。だから本当は社会の窓が少しだけ開いていて、みっともないので、そこだけをフォトショップで修正し、掲載した。全体に漂うこのワルっぽいムードがヤバイ、ですよね…。

写真:スギちゃん


2010年1月30日

心臓バグバクのこと

 前回の木津講義につづき、かねてよりお伝えしていた木造ストラクチャー制作教室、初心者クラスの第1回目が、1月16日、自由が丘グリーンホールで開かれた。
 午後6時、部屋へ入るとすでにほとんど全員が集まっていた。最初に「おはよう!」と大きな声で挨拶し、初回なので、まずは生徒諸氏が胸につける名札を配ることからはじめた。あとは若干の説明を述べ、簡単な工作パフォーマンスを披露した。実はこのときかなりあがっていて心臓バクバクの状態だったが、当日手伝ってくれた生徒OB氏によると、とてもそうは見えなかったという。そうして午後8時、無事に初回を終了することができた。
 そして8時15分、OB氏らとともに部屋をでて、8時20分「居酒屋しゃぶしゃぶスキ焼温野菜」という店を発見。そのまま中へ——-。
 ざっと以上が1月16日のアクティビティーだったが、その翌日、今度はぼくの工房においてアートインボックスの制作教室があり、終わったあとは近所の焼肉屋へ。
 というわけで、しゃぶしゃぶスキ焼の次は焼肉だ。当分この取り合わせがつづきそうな予感がするのだが、そのうち糖尿をわずらうはめになりそうで、ちと心配。
 それと、正月に出展した「アートクラフトの祭典」のことですが、当日の写真が下のホームページ、コーヒーブレイクというセクション(2010,1,17付記事)で紹介されています。よかったらご覧になってください。
 http://www.ne.jp/asahi/tsmc/net/

2010年1月16日/自由が丘グリーンホールにて
写真:はがのぶてる


2010年1月23日

自習クラスのこと

 うちの教室の卒業生・現役生の集まりである渋谷クラフト倶楽部では、月一回土曜日の午後に「自習クラス」と称する会合があり、昨年までは毎回ぼくの工房を使っておこなわれてきた。しかし前回お伝えしたように、今年からはおなじ土曜日の午後に、おなじくぼくの工房を使って、アートインボックスの教室がはじまることになり、ときには自習クラスとのバッティングも予想され、困っていた。
 まあそんなことから、結局のところ、ストラクチャー教室の新しい開催地である自由が丘グリーンホールを、倶楽部の会合にも使わせていただくことで落ちつき、先日その第一回目の会合が開かれた。内容は東京藝大の木津文哉教授による「How to Make Realistic Landscape」の2回目で、前回同様コアな内容にもかかわらず大盛況だった。熱心にメモを取るひとやら質問をする人など、総勢33名もの倶楽部員が集まり、木津教授はといえばもう汗だくである。額からしたたりおちる汗をタオルでぬぐいながらのパフォーマンスに一同大満足、あっという間の2時間だった。
 木津先生、お疲れさまでした!
 —–次回もどうぞよろしく。

2010年1月9日/自由が丘グリーンホールにて
写真:やまぐちさだひこ


2010年1月17日

工作教室についてのお知らせ

 当欄で過去何回も紹介したことのある文京区千石の木造ストラクチャー制作教室(通称千石教室)は、昨年暮れに参加者全員が卒業したことにより、去年で終了いたしました。代わって新年からは目黒区自由が丘にところを移し、新たに「初心者クラス」をスタートする予定です。生徒数は現在24名。その第1回目の講座が1月16日(土)午後6時からはじまります。つきましてはこちらの教室への参加を希望される方がいらっしゃれば大至急ご連絡下さい。あと1~2名ならば追加でお受けすることができます。
 また新年からは、ぼくの駒込工房を使ってのアートインボックス制作教室もスタートいたします。希望者は現在12名ですが、なにぶん狭いスペースゆえ、申し訳ありません、こちらの教室へのエントリーはすでに締め切らせていただきました。
 これら教室に関する詳細は画面左側の「工作教室」をクリックし、ご覧下さい。
それと、以前ストラクチャー教室、初心者クラスの開催場所につきまして「JR田端駅付近/予定」とお伝えしたことがありましたが、結局自由が丘になってしまいました。このことによって若干遠くなる方がいらっしゃるかも知れませんが、どうかご了承ください。
 —–以上、教室に関するお知らせでした。
 今年からは月に6回もの教室スケジュールをこなさなければならず、しばらくのあいだこちとらは、ほかのことはなんにもできないような状況が想定されます。

千石教室・卒業写真


2010年1月9日

あけましておめでとうございます

 正月なので、なにかそれらしい写真はないだろうかと探したところ、見つかったのが下の一枚。冬の埠頭である。
 一年前のお正月、下落合の山ちゃんと石ノ森萬画館(宮城県石巻市)までトキワ荘のメンテナンスにでかけたことがあった。屋根の瓦がはがれそうになっていたり、長年の埃が堆積していたり、あちこちメンテナンスせねばならぬことがあったからだ。ひと通りの道具がいるのでドライブがてら車で出かけた。なにしろ風光明媚なところである。日本三景の松島や塩釜漁港など、見ないで走るのはもったいないと、仙台から先は高速を降りてぶらぶら一般道を行くことに。冬のお天道様はどんよりと田舎道を照らし、時刻はそろそろ正午に近かった。そんなとき突然視界がひらけ崖の下に塩釜の港が見えた。
 「おお、海だ!」
 とか言って吸い寄せられるように海に近づき、車を止めると目の前に船が。
 そこで山ちゃんがパチリと撮ったのが下の写真。
 「いい~写真だねえ~」と感動し、直後にぼくもまったくおんなじアングルから、おなじ写真を撮ったが、なぜか山ちゃんのものには遠く及ばなかったという一枚である。
 —–本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

写真:やましたひろし


2010年1月1日

近況①「馬具店完成」

 先月21日、制作中の馬具店内部の写真をここに紹介した。
その時点では奥の壁が総ミラー張りだったため「奥行き感」は十分に感じられたものの、反面寒々しく、そのためわたしは段々と不満を覚えるようになってきた。要はクールでカッコ良すぎるのだ。それで写真のあと、奥をミラーではなく普通の壁につくり変えることにした。すると壁にはまた馬具を吊るさねばならず、新たに20点ほどの首輪とベルトが必要になった。加えてトランクも5個追加生産するなど、ミラーを廃したことによってすっかり奥行き感が失せた室内に、ごっそりと品物を突っ込むことに。結果、室内の密集度は増し、だいぶん野暮ったくはなったが、それがかえってアーリーな時代の雰囲気にぴったりとハマった。わたしは大満足し、これをもって「完成」を宣言。
 ところでこの作品は米ミネアポリス在住のクライアント氏からの依頼で制作。今年の年末までに仕上げる約束だった。そして完成したら氏が東京まで見に来ることになっていたのだが、本当に見に来るのだろうか…。

「盗っ人リバーの馬具店」
(縮尺12分の1)

近況②「リノ部屋」のこと

 ミサワホームが運営するウェブマガジン「リノ部屋」、その「ピープル」というコーナーの最新トピックとして、今回ぼくの活動が取り上げられた。下がそのウェブアドレスであるが、この記事における馬具店の写真は、まだ奥にミラーが張ってあったころのもの。なので店の奥のほうがやけにクールで、透き通っているように感じられる。
 —–リノ部屋:http://renoveya.com/contents/people/interview/915

「リノ部屋」より

近況③「赤坂のホテルで」

 年末年始、赤坂で開催されるイベントに参加します。

 タイトル:「アートクラフトの祭典」
 会場:グランドプリンスホテル赤坂・五色の間
 住所:東京都千代田区紀尾井町1-2 電話03-3234-1111(代表)
 URL:http://www.princehotels.co.jp/akasaka/
 日程:2009年12月31日/午後1~午後6時
    2010年1月1日/午前10時~午後6時
       1月2日/午前10時~午後6時
       1月3日/午前10時~午後5時

 期間中「芳賀一洋の世界」というブースに数点の拙作を展示する予定です。ぼくは大体会場におりますので、初詣がてら、よかったら是非お出かけください。

下のほうに芳賀のアートインボックスが掲載されている。
小さくて見えないか…。


2009年12月26日

近況①「シブクラの忘年会」

 ぼくの教室の現役生・卒業生たちの集まり「渋谷クラフト倶楽部」の忘年会が、先日あった。会場はいつもの駒込磯太郎。下の写真、白いトレーナーでぐたっとしているのはフィギュア作家の矢沢さん、右はエコーモデルの阿部社長、左は等々力のおみつ、と男ばっかり写っているが、当日は女性も10名参加し、大盛況だった。
 それと12月19日(土)ですが、この日は千石教室の最終日。したがって放課後は打ち上げ的流れにむかうことが予想されます。この流れに合流したいとお考えの方は、当日午後6時半、直接教室までお越し下さい。
 ——どうぞよろしく。

12月12日(土)
写真:Itaru Watanave

近況②「どの赤がいいの?」

 場所はフジテレビの湾岸スタジオ。右の人物は実物「石の家」をつくった㈱フジテレビの梅田正則プロデューサー。後ろに拙作「石の家」が見える。屋根の赤を濃くしてほしいという依頼で今年の4月、局にお伺いし、その仕事をやっているときの写真である。
 「どの赤がいいの?」
 「こんなところじゃないの…」
 なんて会話が聞こえてくるような、なかなかいい写真だ。いつか紹介したいと考えていたが適当なタイミングがなく、とうとう今日になってしまった。ふたりはまったくの同い年。年収と頭の出来に差はあるが、わりと仲良しである。

写真: Hiroshi Yamashita


2009年12月18日