インバウンドが消え、中国人たちが来なくなって約一年、わたしの棚もイエサブもパタッと売れなくなった。仕方がないので家賃の安い「秋葉原スーパービル」へと引っ越した。(2/17日付けの当欄に記事があります)。駅からいくぶん遠くなったせいか、客足はさらに遠のいた。
「おれももう歳だし、そろそろ店じまいを考える時期かもしれん‥」
などとひとり物思いにふけっていると、そのイエサブから驚きのメールがとどいた。
「さっき作品が6点、計160万売れました!」
「ええっー!!」
おったまげたのは言うまでもない。聞くとお客さまは日本人で、おひとりで、全部をまとめて買われたそうだ。このコロナ禍にだ。
久しぶりの大慶事である。
慶事には違いないが、棚からいっぺんに6個もの作品が抜けちゃうと、至急その穴埋めをしなけりゃならず、急に忙しくなった。今回抜けちゃったもののひとつに「午後の鹿骨」というわりと大きな作品があり、その空き地がひときわ目立っている。かと言って、もう一個おんなじものをつくる元気は、もうない。
ま、そんな事情があって、ぼくのクラフト教室の生徒である「サトコウ」さんに急遽お願いし、彼が以前教室でつくったサトコウ版「午後の鹿骨」を借りてきて、売れちゃった拙作の跡地に堂々と展示してしまった。下から2段目の棚に置いてありますので、ぜひ見てやってください。
サトコウさんありがとう!
(下はサトコウさんの作品です)。