「石の家」って知ってますよね、フジテレビの「北の国から」というドラマの中で田中邦衛が暮らしていた富良野(北海道)の家だ。2004年、その家の模型展示物を制作してほしいとフジから依頼され、作品は翌年の春、完成した。(縮尺15分の1)。
完成後、作品はただちにお台場のフジテレビ本社の25階にある球体の中へと運ばれ、約6ヶ月、そこに展示された。その後同社の「湾岸スタジオ」へと移され、こんどはそちらの1階展示場で約1年間展示されていた。しかしその後、社内の配置転換によって展示スペースがなくなってしまい、作品はどこかに仕舞い込まれ、あとは、なにかのイベントの折に顔を見せる程度で、ふだん見ることはなくなっていた。
本作を制作した当時、フジ側の担当者は同番組の美術監督を務めたU氏であったが、10年ほど前にU氏が定年退職されてから以降、フジとは特にパイプがなく、作品がどうなっているのか、さっぱりわからなかった。
そしたらである。先週元生徒ミヤケ・タカオ氏から下のような内容のメールが届いた。(ミヤケ氏はU氏と仲が良い。)
「本日U氏から驚くべき情報がもたらされました。北海道でU氏が定宿にしている富良野のLA VISTAホテルへ泊まりに行ったところ、一階ロビーに石の家の模型展示物が置いてあってびっくりしたそうです。はがさんにも伝えてほしい、とのことでした。」
このメールには数枚の写真が添付されていて、見ると正にわたしがつくった作品だった。
U氏はさぞびっくりしたことだろう。本作を制作中だった18年前、彼はわたしのスタジオを訪れて制作の過程を見ているし、完成後、それをスタジオから運び出し、車でお台場まで運んだのも彼だった。だからこの作品はU氏にとって極めて見慣れたものだったハズ。それが、いつも行く馴染みのホテルのロビーに、ひょっこり置いてあったのだから…。
ミヤケ・メールによるとLA VISTAは「北の国から」の資料館があったところに建てられたホテルだそうで、「あるべきところに戻って来たかって感じです‼︎」と、結ばれていた。