「立体画をつくった理由」

  48歳の秋、HOゲージの蒸気機関車を格納するための車庫(機関庫)を突然つくりはじめ、そのことがきっかけで今から26年前の12月、新宿伊勢丹で作品展を開催することになった。
  40坪ほどのギャラリーにいくつかの機関庫や、それらにまつわる情景(ジオラマ)を展示するという当初の計画だった。しかしジオラマは盆栽のように平らな台の上に並べて展示するものなので、ただそれだけだと壁面がガラ空きになってしまう。12月の繁忙期にガラ空きのカベを見せるのはマズイと考えた担当者が、その年の夏にわたしを呼び「壁掛け式の絵のようなもの」をいくつか追加でつくってくれないかと尋ねた。
  「やってみましょう!」
  と、その場で即答し、それから急につくりはじめたのがアートインボックスである。結局伊勢丹展までのあいだに15点ほどつくり、ジオラマ作品に加えて、会場の壁を飾った。
  以上が、わたしが立体画をつくることになった理由だが、そのへんのことをベラベラしゃべっているUチューブ映像があるので、以前にも一度紹介したことがありますが、よかったらご覧になってください。
  https://www.youtube.com/watch?v=66SCoj0ZXJ0
  なお映像の中でアニキと呼んでいるのは義兄(家内の兄)のことです。

 はじめて「アートインボックス作品」を展示した新宿伊勢丹・新館8階「ファイン・アート・サロン」の様子。1996年12月25日〜30日。右から3番目の作品は「セーヌ・フルール」。その左は現在カタールのアフマド邸に展示中の「ベランダのムード」。左から2番目は「ビクトルユーゴ通りのブーランジェリー」。このときはイーゼルがまだなかったので陳列するのに非常に手間取ったおぼえがある。