地元田端にはむかし多くの文士が住んでいた。芥川龍之介、室生犀星、萩原朔太郎、菊池寛、エトセトラ、エトセトラ。駅前には「田端文士村記念館」があり、そこから先日、リニューアルオープンしたという案内状が届いた。
リニューアルの目玉は「芥川龍之介の田端の家復元模型」(1/30)である。工房パノラマという会社がつくったそうだが、想像していたよりも遥かによく出来ていた。
実はこの模型・芥川の家をつくってほしいという依頼を、わたしは数年前から漠然と受けていた。そして今年の2月、とうとう館の方々が小生の家へやってきて、改めて正式な依頼を受け、予算を提示され、資料を渡された。
納期を尋ねると半年後、9月とのことだった。
わたしは丸3日もんもんと考え、考えた末に概略以下のようにお返事した。
お引き受けすることはできます。しかし完成は来年の秋になります。雑な仕事はできない性分なのでどうしても時間がかかってしまいます。しかし来秋までには立派な作品をおつくりいたします。
すると先方もずいぶん悩んだのだろう、その一週間後、やむをえず他を当たりますという返事があった。以後なんの音沙汰もなく、芥川のことはすっかり忘れていたころ、ひょっこり案内状が届き、出かけて行って、模型を見て、ほっとひと安心した。
いやあ、本当に良くできていた。
——–田端にお立よりの節はみなさんも是非一度ご覧あれ。
http://www.kitabunka.or.jp/tabata/
2015年10月31日