「伊東屋一号店」

 トーキングヘッズ誌No.104「孤高の徒花(あだばな)たち~はぐれ者の美学」が発売になりました(アトリエサード/発行)。最新号では「孤高の徒花たち」をテーマに、たとえ徒花に終わろうとも、社会や流行に迎合しない者たちに焦点を当てました。諸媒体・SNH等でご紹介いただけると幸いです。
 ——-だそうです。
 もちろんアマゾンでもお求めいただけます。
 税別1,500円(A5判・192ページ)
 ぜひご高覧ください。

 今号における連載コラム「はがいちようの世界/第50回」では「伊東屋一号店」と題し、明治37年(1904年)の創業時における銀座伊東屋(文房具店)の店内のようすを紹介した。(下の写真)。
 本作を制作した2004年には、4代目社長であった伊藤高之氏がまだお元気で、創業時のエピソードをいろいろと聞かせてくださった。なにしろ電話が普及していなかった時代である。通信手段としての絵ハガキがよく売れ、常に店の真ん中に置いてあったという。
「それがうちの店の特徴となり、いまでも一階を入ってすぐのところに絵ハガキの売り場があります…」
 と聞き、帰りに改めて、一階の売り場を確認した記憶がある。
 なので、そのことを原稿に書いてメールで送ったが、あとで考えたら、伊東屋はそのあとの2010年ごろに、新しいビルに建て変えている。
「マズイ、もしかしたら間違ったことを書いたかもしれない…」
 と、わたしはあわてて銀座の伊東屋まで見に行った。
 そしたらちゃんと一階に、ポストカード売り場が、今でもありました。
 ——ああ、よかった。

「Thank you for coming!」

 キットさんがまた6人ものアメリカンな女性たちを連れて「Gallery ICHIYOH」の見学に来てくれた。(下の写真)。
 写真でキットさんは左から4番目、ロングな金髪に黒ジャケットのひと。去年われわれのクラブ(渋谷クラフト倶楽部)の忘年会に参加していたので、ご存じの読者がいるかもしれない。日本語ペラペラで日本文化にやたらと詳しいが、どんな仕事をしているのか、よくわからない謎の女性だ。
 冒頭に「また」と書いたが、彼女は何年か前にも、このときは確か25名ものアメリカ人たちを、いっぺんに連れてきてくれたし、そのあとも主に白人系外国人のお客さんたちを、ときどき連れてきてくれる。
 この日の6人は、まずは30分ほどギャラリーを見学して、そのあとゾロゾロっとスタジオへ移動し、やはり30分ほどの(記者会見風な)質疑応答があった。どうしてフランスものばっかり作っているのかや、ひとつ作るのにどれくらいの時間がかかるのか…など、キットさんの通訳によって、いくつかの質問をお受けして、それらにキッチリお答えしたあと一同大満足の様子で引き上げていった。彼女らはこのときたった4日間だけの日本旅行の最中で、その貴重な時間を割いてぼくのギャラリーへ来てくれたという。
 Thank you for coming!!
 Thank you Kit !!!

 みなさんも一度「Gallery ICHIYOH」へお出かけください。
 https://ichiyoh-haga.com/private-gallery.html

「さかつうのHagaコーナー」

 秋葉原の「イエローサブマリン」(通称イエサブ)のHagaコーナーでオイルステインの塗料を買ったという方から問い合わせがあった。
「イエサブがなくなりましたが、今はどこで入手したらよいですか ?」と。
 今だにそんな質問を受けるが、イエサブは2023年12月に閉店し、わたしのコーナーは巣鴨のホビーショップ「さかつうギャラリー」へ引っ越しました。さかつうさんのレジ下あたりに、小さなスペースながらHagaコーナーがありますので、オイルステイン(赤・黒・白・黄・青・茶)や、ちょっとした作品や、小物類など、今はこちらでお求めください。
 イエサブ時代によく売れた「黒染め液」(真鍮などの金属を黒く染める液体)も、こちらにあります。(下の写真)。この液は、先年閉店した大阪の「マッハ模型」で販売されていたものとおなじもので、他社製品と比べ抜群の反応性能を誇ります。一度ぜひお確かめください。
 ときどき補充はしておりますが、なにしろ小さなスペースゆえ、大量在庫はできません。在庫確認の上お出かけください。
 ——–さかつうギャラリー: https://sakatsu.jp

「ニコラスのこと」

 小雨降る午後の4時ごろ、スタジオ入り口のドアを開けようと、外からガタガタ引っ張る人がいた。
 「ちょっと待って !」
 と、わたしは中から叫び、ドアに駆け寄り、バスンと内側からドアを開けた。すると外にはハンサムな白人男性が立っていて、ギャラリーを見たいと言う。
 さっそく彼をギャラリーの中へと案内し、わたしはスタジオへ戻った。その約10分後、彼はギャラリーから顔を出し、こう尋ねた。
 「作品を買うことはできますか ?」と。
 これに対し「安くないですよ…」とだけ答え、ふたたびまたギャラリーへ入ると、彼は「東屋(あづまや)」を指差して、値段を聞いてきた。
 わたしは急いで値段表を印刷し「東屋」の行に赤線を引いて彼の目の前に示した。264万円と書いてある。彼は慎重にゼロの数を数えていたが、なにも言わない。そこでわたしは作品の説明をはじめた。つまり「東屋」は伊東屋作品の小型版であることや、その他いろいろと…。
 すると彼は
 「伊東屋は知ってます。さっき銀座で見ました」
 と、おっしゃる。
 これにはこっちがビックリだ。彼は銀座で伊東屋作品を見たあと、検索し、ぼくのギャラリー「Gallery ICHIYOH」へとたどり着いたらしい。
 オーストリア人のニコラス・フェルナンデス。推定年齢40歳ぐらいか。観光目的で日本を訪れているという。(うっかり写真を撮るのを忘れてしまいました)。
 「東屋」のあとニコラスは、こんどはスズキ・マサハル氏作による「昭和の挿絵画家」という作品(下の写真)を指差して、ふたたび値段を聞いてきた。(当該作品については8/21日付トークスに記事あり)。
 これに対しわたしは
 「これは売れません。生徒の作品なので…」と、いったんはそう答えたが、その直後に気が変わり「売るか、売らないかは、あとで当人に聞いてみます」に、言い変えた。
 さて、スズキさんが、どう答えるのか ?
 ——-続きがあれば今度また。

「新総裁誕生 !」

 今週の話題はなんと言っても自民党の総裁選騒動だった。そして高市早苗新総裁の誕生、これにつきますね。
 小生は一応高市派なので今回の結果には大満足し、先週から今週にかけてUチューブ番組を見まくってしまった。
 それでなのだが、彼女のしゃべり方が総裁選の告示前と告示後とでは微妙に変化していることに気がついた。実を言うとわたしは彼女のあの芝居がかったしゃべりがどうも好きになれず困っていた。要所要所にドスのきいた声色を使い、突然の愛想笑いや急に混ざる関西弁、等々。ついでに言うと眉毛のメイクが濃過ぎることも非常に気になっていた。それら芝居臭満点の彼女の特徴が、総裁選の告示日以降だいぶん抑えられ、眉毛のメイクも告示前に比べ明らかに薄くなった。ドスのきいたフレーズが減り、愛想笑いも減って、スピーチ全体がかなり聞きやすくなっていたのだ。
 今回の高市派の勝因は、麻生派の議員票の流れのことや、ステマ問題における小泉派の失速や、岸田派の内部分裂のことなど、いろいろ言われているようだが、結局は高市早苗本人のスピーチ力の、その力の差だったのではないかと、わたしはそう考えている。
 「これからは働いて、働いて、働いて、働きぬく…」
 という、彼女の力強い勝利者演説のあとで、石破茂がノコノコ出てきて、ほんの5分ほどしゃべったが、はなしはいつのまにかネチネチと自分の内閣の自慢話となり、哀れを誘った。

「自習の勧め」

 好きな時間帯に、わたしの作業場と、わたしの道具(裁断機やバンドソーなど)を使って、各自が自分の作品をつくることを「自習」と言う。
 *1日でも1時間でも自習は1回1,000円です。
 *どんな曜日でもどんな時間帯でも自習OKです。
 *自習は補講ではありませんので、原則わたしはお相手をいたしませんが…。

 以前「ブーランジェリー教室」へ参加していたスズキ・ケンシさんが、 先日自習にやって来て、当日持参した自分の作品への着色や、金属の切断、穴あけなど、約2時間にわたって自習して帰った。
 来月、有楽町で開催予定の生徒展へ出品するため、彼がいま懸命に作品をつくっていることは知っていた。だが、お会いするのは久しぶりで、彼の作品を見るのはこのときがはじめてだった。
 「とりあえずこんな風になりました‥」
 と、来たそうそう、まずは梱包を解いて作品を見せてくれたが、その出来栄えに思わず息を呑んだ。あんまり褒めるのもどうかと思うが、現段階では100点満点の出来栄えだ。
 スズキさん恐るべし!!! である。
 実はこの日は、スズキさんの他にも約2名の自習者がいらっしゃり、まれにみる自習混雑日となったのだが、みなさんもドシドシ「自習」をご活用ください。現生徒でも、元・生徒でも、生徒でなくってもOKです。

 作品展までもうそんなに時間がありません。
 ——希望者は遠慮なくお申し出を…。
  (作品展の詳細は7/24日付当欄に。)

スズキ・ケンシさん

「涼しくなったので‥」

 「ル・アトリエ・デ・イチヨウ」(いちようの作業場)という作品がある。
 店頭にM・I・C・R・O・C・O・S・M・O・Sと、一個ずつのアルファベットをアーチ状に並べた看板(オブジェ?)が目印の作品だ。
 この看板、カッコはいいが、いかにもこわれ易そうで、最初っから心配だった。そしたら案の定こわれた。ある日「I」の一文字が取れてなくなっているのを発見 !  それからもう一年以上が経つが、億劫な気持ちが先にたち、どうしても直す気が起こらなかった。
 それを、おとといの午後、突然意を決っし、あっと言うまに直してしまった。
 下の写真を見てほしい。
 まずは作品をひっくり返して、右上の「M」をクリップではさみ、次に「C」をはさみ、MとCの真ん中に、取れちゃった「I」を置いて、その根元にほんの少量のハンダを流し、それでおしまい。「I」なんて、ただの棒だから、つくるのに手間はいらない。ぜんぶで10分とかからなかった。やろうかやるまいか一年も悩んだというのに、である。もっとも作品をスタジオへ運び入れたり、作業の準備を整えたり、あと片付けまでをも加えると、なんだかんだで10分の10倍かかったかも、ではあるが‥。
 ま、だいぶん涼しくなったので、こんなことをやってられる。