岩瀬さんを偲ぶ会

 桜が開花したばかりの3月29日の土曜日、今年1月に亡くなった日本ドールハウス協会の岩瀬勝彦名誉会長を偲ぶ会が開かれた。
 主催:日本ドールハウス協会
 会場:練馬区の江古田斎場
 わざわざ九州から駆け付けた(有)和巧の堀社長が素晴らしい弔辞を述べ、献杯の音頭は僭越ながら小生がとらせていただいた。
 さかつうの坂本社長や、お久しぶりの田中一夫さん、はるばる四国からは元生徒の西秀代さんなど、参列者は約50名。
 故人を紹介するスピーチで初めて知ったが、岩瀬さんは一時期タミヤの社員だったことがあるそうだ。どうりでプラモデルにやたらと詳しかった。
 去年の11月、自らの死期を悟り、協会の後継者に相澤和子さんを指名したときにはボロボロ泣いていたという。さぞかし無念だったろう。
 —–改めて故人のご冥福をお祈りいたします。
 余談だが、当クラブ(渋谷クラフト倶楽部)の山下浩会員(通称山ちゃん)は冠婚葬祭の会場に花を提供する会社の社員である。この日は業務として偶然この偲ぶ会が彼の担当となり、会場にはフォーマルな背広姿の山ちゃんがいた。祭壇の盛り付けももちろん彼がやったそうだが、花々が咲き乱れたような、あまり見たことのない芸術的祭壇だった。
 やや島倉千代子的と言えるのか。

岩瀬勝彦さんの祭壇


2014年3月30日

快挙二件!

 だいぶんあたたかくなってまいりました。この季節、天気の良い日には工房のとびらを開けっ放しで仕事をしている。すると近所のネコがニャーンと入ってきたり、わあ~こんなんなってんだ~なんて言いながら知らない子供が顔を出したり、まことにのどか。そんな折、うちのクラブ(渋谷クラフト倶楽部)の関係者による明るいニュースが二件飛び込んできた。
 其の一
 当クラブの事務局長山野順一朗氏(通称順ちゃん)による作品が、な、なんと「月刊とれいん」4月号の表紙を飾ったというのだ。同時に同氏執筆による「上松Ωループの制作」と題する記事が、写真38枚、図面2枚とともに堂々11ページ(表紙を含めて)にわたって掲載された。制作記事で11ページなんてことは過去に聞いたことがない。快挙である。
 山野氏関連では去年TMS(鉄道模型趣味)誌8月号に「丸亀駅を作る」が6ページで、同TMS誌08年10月号には「スレート張り機関庫を作る」が9ページで掲載されるなど、うぶな鉄摸ファンには少々刺激が強すぎる記事が連続的に露出し続けている。
 其の二
 当クラブきってのヤングウーマン中川さえちゃんが、な、なんと米ミニチュアショーの正式ディーラーとして認定され、これに出場するため来月米国へ向かうという。
 毎年4月に米シカゴで、シカゴインターナショナルというミニチュアのショーが開催されていて、世界中から選りすぐりのミニチュアディーラーたちがやってくる。その一人としてさえちゃんが、このたび日の丸をしょって出場するというのだ。これは弱冠2?歳の彼女が世界の一流ミニチュアリストの仲間入りを果たしたということであり、明らかな快挙である。当人はヤバイ!ヤバイ!とそればっかりを連発しているが、そんなにヤバくもないんじゃないか。
 —–順ちゃんさえちゃん、おめでとう!

月刊「とれいん」(発行:㈱エリエイ・プレス・アイゼンバーン)
2014年4月号/№472


2014年3月21日

ご来場ありがとう!

 「アートフェアー東京2014」が無事終了いたしました。
 事務局に問い合わせたところ期間中の総入場者数は48,468人とのことでした。
 わたしのブースでは名刺が900枚、パンフレットが800枚消えてなくなりましたので、はじめて当欄をお読みになっている方も大勢いらっしゃるのではないでしょうか。
 わたしの次の予定は5月に東京ビッグサイトで開催されるデザインフェスタへの参加です。そのあとは丸の内丸善での展示が予定されていますが、それらはまた近場になってから改めて当欄で紹介させていただきます。
 常にわたしの作品を見られる場所としては、東京秋葉原に「はがいちようのミニチュアコレクション」というコーナーがあります。小さな作品ばかりを多数ショーケースの棚にならべて展示しておりますので、秋葉原にお出かけの節はぜひご覧になってください。ケースはイエローサブマリン秋葉原スケールショップを入ってすぐ左側の壁にあります。
 *秋葉原スケールショップ:http://www.yellowsubmarine.co.jp/shop/shop-045.htm
 また月一回目黒区自由が丘で工作教室を開催しています。
 現在生徒の募集はいたしておりませんが、無料で見学ができます。今週末15日土曜日の午後6時から今月の講座がありますので、よかったら見に来ませんか。
 場所は自由が丘グリーンホールの201号室です。
 *自由が丘グリーンホール:http://www.green-hall.com/
 当欄は原則週一回更新し、わたしの活動における最新情報を逐一掲載しておりますので、今後ともチェックのほどよろしくお願い申し上げます。

はがいちようのミニチュアコレクション
@東京秋葉原


2014年3月14日

「アートフェア東京」開催中!

 「アートフェアー東京2014」が開催されています。
 (詳細は前回の当欄をご覧ください。)
 初日6日(木曜日)のオープニングプレビューには知った顔の方々がたくさんお見えになりました。
 デビ夫人や城戸真亜子さん、北原照久氏など…。
 9日の日曜日午後5時までやってますので是非ご来場ください。
 わたしはだいたい会場にいます。

北原さんとぼくは同い年。


2014年3月8日

近況①「アートフェアー東京」のこと

 東京有楽町で開催されるエキシビションに参加します。

 タイトル:アートフェアー東京2014
 会場:有楽町駅前「東京国際フォーラム」地下2階展示ホール
 (住所:東京都千代田区丸の内3-5-1)
 開催日程:3月7日(金)/一般公開/午前11時~午後9時
 3月8日(土)/一般公開/午前11時~午後8時
 3月9日(日)/一般公開/午前10時30分~午後5時
 主催:アートフェアー東京実行委員会
 URL:http://artfairtokyo.com/about.html
 入場料:2000円

 わたしの作品は秀友画廊さんのスペースに展示します。ブースナンバーR66。間口7.2メートル、奥行2.7メートルほどのスペースです。
 ——-ぜひご来場ください。

近況②「スギちゃんありがとう!」

 近作「EDWARD MORSE & BROS」を北海道滝川市へ送ったと、前回書いた。
 そもそもこの作品は中東カタールからの依頼品だった。だから最初はカタールの首都ドーハへ送る予定だった。ところが2月の10日ごろのこと。作品はしばらくそちらでキープし、後日ロンドンのミニチュアショー会場へ送ってほしい旨の指示があった。ロンドンの会場には依頼主のコレクションを展示するコーナーがあり、そこに陳列したいという意向である。(ショーは毎年4月と11月に開催されている。)
 それはわかったが出来上がった作品はさっさと送っちまわなけりゃあジャマでしょうがない。豪邸住いの依頼主には予測もつかんじゃろうが、こっちにゃキープする場所なんてないのだ。
 あれこれ考えた末、北海道は滝川市にビッグな工房を構えているスギちゃん(元生徒氏)に連絡したところ、預かってくれるという。
 バンザーイ!バンザーイ!バンザーイ!
 というわけでブツ(作品)は運送屋に滝川まで運んでもらい、身柄のみ現地へ飛び、先日無事作品を「杉山アトリエ」へ納めてまいった。
 スギちゃんありがとう!
 しばらくのあいだキープのほど、よろしくお願いいたします。
 m(_ _;)m


2014年3月1日

西山文

 数年前、月刊「悠+」(はるかプラス)という雑誌に、「カリスマ模型師・芳賀一洋の世界」という連載コラムを執筆していたことがあった。
 そのとき担当者だった西山朋樹さんが、先日ひさしぶりにぼくのアトリエへやってきた。
 彼は元雑誌の編集者である。執筆の専門家だ。
 なにか書いてよ…と、頼んだら、後日下の一文を送ってくれた。
 西山くんありがとう!

 以下、西山文—–。
 2月11日、雪の残る田端の坂道を登り、芳賀先生の工房を訪ねた。
模型好きにとって芳賀先生の工房は特別である。
母屋から張り出して作られたそこには、大きな作業机を囲んで、工具、機材、材料が並べられ、男の隠れ家という表現がこれほどぴったり来る場所をいまだ他にしらない。
編集者だったころ打ち合わせを兼ねてお邪魔するのが何よりも楽しみだった。ちょっとメールで送るには重いデータなどは参上する格好の口実。献本も最初の一冊は持参した。
残念ながら雑誌はなくなってしまったが、先ごろ新作が完成したという近況報告を拝見し、見学を申し込んだところ、快くOKをいただくことができた。
担当時代と同じくお伺いするのは「17時以降」。そのタイミングなら一日の作業も終わっているのでお邪魔にならない。今回の新作は、先生が以前作られた「馬具店」を見た海外のクライアントが「同じものを欲しい」ということで制作されたもの。
この日はもう完成し、あとは箱詰めして出荷するのを待つばかりという状況だった。
新作は、正面からみた馬具店の様子を額縁に描くように再現した前作とはことなり、家全体をつくった大作。奥行もあり、作品の中央には焔のゆらめく暖炉が追加されている。
先生は以前とお変わりなくいたって壮健。新作のポイントや新しい連載誌を見せていただき、そのあとは以前のように居酒屋へ繰り出した。
今回のクライアントとのやりとりから新作オーダーの経緯など興味深いお話をたくさん聞かせていただき、こちらの他愛もない近況にも「相変わらずダメそうだなあニシヤマちゃんは」と呵呵大笑。
2時間ほどで散会。
担当ではなくなってからも、ありがたいご厚情。
とはいえ、ご恩を返すすべいまのところなし。
そうです、先生ダメなんですよ
でもまだまだ頑張りますよ!

写真:西山朋樹

「滝川へ」

 出荷を待つばかり…と、上の一文に謳われた作品(EDWARD MORSE & BROS)は、その一週間後(18日)に飛び立った。本当は中東へ向かうはずだったが、ちょっとした進路変更があり、いったん滝川(北海道)へ。
 滝川着が24日午前10時の予定だ。
 着荷後現地で荷解きをせねばならず、ぼくは明日滝川へと向かう。
 そこにはスギちゃんという元生徒氏のゴージャスな工房があり、作品はそこでしばらく骨身を休めて、その後 改めてヨーロッパ方面へと飛び立つ予定である。

EDWARD MORSE & BROS


2014年2月22日

岩瀬さんのこと

 ぼくの作家としてのデビューが1996年で、その翌年の97年に、岩瀬勝彦さんが「日本ドールハウス協会」を起ち上げた。それから少し経ったころ、ぼくの作品をテレビで見たといって電話があり、彼はその日のうちにイタリア製のスクーターでやってきた。
 このときが初対面だったが、岩瀬さんは遠慮なくビンビンしゃべった。
 米国のミニチュア業界にはトムビショップという帝王がいること。彼が主催するミニチュアショーが全米一だということ。そのビショップ氏と日本ドールハウス協会との提携が成立し、日本で初めての本格的なミニチュアショーを開催することになったこと、などを一気にしゃべり、ついてはどうしてもHagaの協力がほしいという。
 で結局、1999年の春、東京浜松町で開催された第一回ミニチュアショーの会場には拙作10点ほどが展示されることとなったが、ビショップ氏も来日していたので、ぼくの作品が帝王の目にふれることになった。えらい褒められ「あなた一度アメリカへ来ませんか…」と誘われ、西暦2000年の春、ぼくと岩瀬さんは、初めて本場アメリカのミニチュアショーへと出かけた。そのときぼく50歳、岩瀬さん44歳。まだまだ元気いっぱい。互いにやる気マンマンだった。
 その岩瀬さんが1月27日に亡くなったそうだ。
 かねてから病気療養中だったと聞いてはいたが、こんなにはやく逝ってしまうとは。
 なんという運命か。
 病名肺がん。享年60歳。
 ただただご冥福をお祈り申し上げます。

左が岩瀬さん


2014年2月15日