「魅惑のミニチュア展」

 12月27日から大宮SOGOで表題のエキシビションが開催されます。

 タイトル: 「昭和レトロとノスタルジー/魅惑のミニチュア展」
 会場: SOGO大宮店7階=催事場
 日程: 2023年12月27日(水)〜2024年1月8日(月・祝)
 入場料: 一般700円、大学高校生500円、中学生以下無料
 主催: (株)そごう西武/協力:日本ドールハウス協会

 [開場時間]
 12月27日〜30日: 午前10時〜午後7時
 12月31日: 午前10時〜午後6時
 1月1日: 午前10時〜午後5時
 1月2日〜3日: 午前10時〜午後6時
 1月4日〜7日: 午前10時〜午後7時
 1月8日: 午前10時〜午後5時

 このイベント、主催はSOGOですが、協力は日本ドールハウス協会です。実は小生協会の名誉会員でして、協会会長のアイサワ・カズコ氏より「宣伝せよ」とのお達しがあり、いま、これを書いている次第です。
 おなじタイトルのイベントが去年千葉SOGOでも開催されましたので、去年の暮れに千葉まで見に行き、思わぬ充実ぶりに驚いたものでした。というのは、大概ドールハウス系の催事は「ミニチュアパーツ販売イベント」ばかりで、SOGOのように作品をじっくり見せるというスタイルは、あまり見たことがなかったからです。大宮も、千葉とだいたい同じ内容と考えられますので、ドールハウスファンにはオススメです。
 つきましては無料招待券を差し上げますので、希望者はお申し出ください。ただし先着順です。

出品作家: あいさわかずこ/秋山利明/遠藤大樹/小野塚史子/郭桄甄/河合行雄・朝子・ASAMI/河南まり子/倉田吉実/島津ひろこ/〆野美/鈴木信子/高橋起弥/土屋靜/服部香/平田由香/ふるはしいさこ/松本与志彦/みつもとみちこ/八柳敬子 (五十音順・敬称略)

「ねじ式フィルム」

 つげ義春による名作マンガ「ねじ式」を、コマ撮り撮影という手法によってアニメ映画化しようとしているグルーブがあり、2020年から22年にかけて、そのお手伝いをしたことがあった。すなわちこの映画には数多くの背景が必要であり、それら模型の背景のうちの、いくつかの制作を手伝っていたのだ。ぼく自身はほとんどつくらなかったが、代わりにうちのグループから、ヤマノ・ジュンイチロウ、キシモト・ユウジ(ユウさん)、ウエノ・シゲユキ、テシバ・ユウホウ、キタハラ・ケイジ、クラバヤシ・ススムらの各氏が、それぞれ「シェイ式蒸気機関車」「鍍金工場」「クマの髑髏(どくろ)」「ダグラスDC-3」「エンジン付きの小型ボート」などの背景作品を提供した。
 しかし2022年以降はほとんど手伝っていない。
 それなのにである。その映画「ねじ式」の、パイロット映像完成試写会への招待状が先日届いた。会場はラピュタ阿佐ヶ谷地下一階の劇場「ザムザ」。
 12月4日の午後1時、キシモト氏とともにザムザへ出向くと、舞台上には監督や照明さんなど7〜8名のスタッフがズラッとならび、まるで「首」の上映前会見のようである。驚いたことに、その舞台へ「はがさんも上がって‥」と、とつぜんお声がかかり、仕方なくユウさんとともに上がるも、足はガクガク心臓はパクパク、おまけに拙いトークまでしゃべるハメになり、冷や汗タラタラだった。
 さて、その後に上映された約10分のパイロット映像であるが、われわれが関わったSLや飛行機や、クマのドクロや、鍍金工場がひととおり映し出されたが、中でもピカイチだったのは鍍金工場の場面だった。
 薄暗い工場の中央にかなりのアップでグラインダーが据えてあり、そこから天井へ向かって動力伝達のためのベルトがつながりワサワサと揺れている。ベルトによってグラインダーが激しく回転し、そこで誰かが刃物を研いでいる。チチチッと火花が散っている。それらすべてが逆光の中にあり、研いでいる人物はシルエットでしか見えない。美しい映像だった。
 他にもいろいろあったがいちいち書き出したらキリがない。総じて出来がよく、以前一度見た別のバイロット映像よりも明らかに進歩しているのは確かだ。
 ——しかし全編公開までにはまだ数年かかるかも、である。

写真は帰りの車中で。
このたびのパイロット映像を使ったクラウドファウンディングを近日中に実施し、世間から広く資金を調達して、さらに本格的な制作を進めるそうです。
 

「人力車完成!」

 9月7日付の小蘭で、東家教室における人力車の幌(テント)が、「やっと出来上がった!」と、喜びの投稿をした。それから3ヶ月。とうとう全体を完成させることができた。(下の写真)。
 「バンザーイ!!!」
 いやあ、むずかしかった。
 車輪も座席もドロヨケも、どれもむずかしかったが、3ヶ月前にできあがっていた幌の、その手前に取り付けるアーム(テントの骨部分の手前側に見える細い金具)が超難関で、うまく作れるかどうか、最後まで自信が持てなかった。
 以前にも書いたが、人力車はわたしにとってチトむずかし過ぎる課題なのだ。なので伊東屋のときにはサノ・キョウシロウ氏に制作を丸投げしている。その後第一次東屋教室のとき、仕方なく自分で2車作ったが、2車とも出来は散々だった。それから17年。これが人生最後の人力車になるだろうと、今度こそはと裂帛の気迫を込めて望んだ。そしたらである。やっとですよ。今回だけは、いくらかマシなものが作れた。(と、自分ではそう思っている)。懸案だったアームもちゃんと収まり、いまにもスーッと横へスライドして、バサバサッと幌を広げそうに見える。(と、自画自賛)。
 ま、とにかく、出来てよかった。
 ちなみに、この人力車を含む「第二次東家教室」はあと4回(4講座)で完結する予定だが、これでやっと終わりが見えてきた。

上の写真を先週よろこんでFacebookとInstagramに投稿したところ、両方とも300いいねをちょこっと超えるぐらいで、残念ながら、あんまり盛り上がってはくれなかった。(泣)。

「お知らせ」

 秋葉原スーパービル6階の「イエローサブマリン秋葉原スケールショップ」(通称:イエサブ)が12月3日をもって閉店することになりました。ビル老朽化に伴い立て替えが決まったからです。なお新ビル完成後、店がどうなるのかなど、将来のことに関しては、いまのところ未定だそうです。
 従いましてこの店のフロアーにあったわたしのショーケース「はがいちようのミニチュアコレクション」(通称:イエサブの棚)は、12月3日を以って撤去することになりました。お買い物があれば3日までにどうぞ。急な話だったので、そのあと棚をどうするのか、まだなんにも考えていません。
 2001年、銀座伊東屋で開催した作品展に、当時イエサブの店長だったキウチ・カズオ氏がお見えになり、「ここに展示されている小さな作品で、残ったものがあれば、ぜんぶうちの店の棚に並べませんか‥」と提案され、同展撤収の帰りに秋葉原へ立ち寄っていくつかの作品を降ろしたことが、秋葉原におけるイエサブの棚のはじまりだった。
 このときイエサブは旧ラジオ会館の7階にあった。
 当時の秋葉原はまだ「電気街」と呼ばれていた時代だ。同ビルもイエサブ以外はほとんど電気機器関係のパーツ屋で占められ、街全体の雰囲気もいまとはだいぶん違っていた。
 それから22年。
 秋葉原はすっかり変わった。2005年に筑波エクスプレスが開通したことをきっかけに急激に人が増え、旧ラジオ会館は新ラジオ会館へと建て代わり、いまやそこいらじゅう外国人だらけだ。
 その後イエサブは現在のスーパービルへと移ったが、その間わたしの棚はずっと現店長・タクマ・エイキ氏のもとで管理され、彼らとともにあった。タクマ氏は旧ラジオ会館時代からのスタッフで、長いこと本当に世話になった。
 この場を借りて御礼を申し上げます。

写真は旧ラジオ会館。2011年に発生した東日本大震災のあと、あらゆるビルの耐震性が点検されるようになり、秋葉原でもっとも古いとされる同ビルが真っ先に建て替えられることになった。写真は取り壊しが決まった2011年の5月に撮られた。

「ミヤジマさんの機関庫」

 1995年から96年にかけて、HOゲージ(1/80)のSLを格納する機関庫を沢山つくった。同時に「木造機関庫制作記」という本を書き、96年の春、渋谷のパルコで、「80分の1の世界/木造機関庫たち」という個展を開催した。これがわたしの作家デビューであった。
 この会場へ、ミヤジマ・ユタカという方も足を運んだという。
 それから24年経った1919年の秋、そのミヤジマ氏から突然のメールが届いた。内容は、むかしパルコで、はがさんの機関庫を見て、本(拙著制作記)を買い、それ以降すっかり機関庫作りにハマってしまい…、とあり、ミヤジマさんが作った機関庫の写真が複数枚添付されていた。それがあまりにも素晴らしい出来栄えだったので、2020年11月27日付の当欄で紹介したことがあった。
 だがこのときはまだ当人とお会いしていなかった。
 それから数ヶ月後、彼がひょっこりぼくのボロスタジオに立ち寄ってくださり、念願の初対面を果たした。小生と同年代と思われるミヤジマ氏。現在鎌倉で自家焙煎のコーヒーショップ「鎌倉珈琲香房」を経営していると聞き、今度はわたしが鎌倉へ出掛けて、氏のコーヒーを味わったこともあった。
 そのミヤジマ機関庫の後方には白樺の木が数本立っていて、そこを狙った写真がなかなか良かったので、そちらも掲載したいと先日許可を求めたところ、「改めて写真を撮り直す」とおっしゃり、約30枚の追加ショットを送ってくれた。
 やはりすばらしい写真ばっかりだったので、どれを使うか非常に迷ったが、迷った末に、白樺よりはSLメインへと気が変わり、贅沢にも2台のSLを従えて撮った一枚(左上にチラッと白樺も見えています)を下に掲載し、改めてミヤジマ製機関庫を讃えたい。この機関庫が、むかしパルコの会場に陳列した拙作と同型だということは、まことに光栄なことである。

写真中央の機関庫は拙著「木造機関庫制作記」の巻末に掲載した図面にそって作られています。しかし、わたしが作った機関庫は、いつのまにかすべてどこかに消えてしまい、写真もなく、今ではもう見比べることができません。ちなみに拙著「制作記」(1650円)に関する情報は当サイト「Information」における「Books」でご覧いただけます。そして本書とまったく同じ内容の「しぶ〜い木造機関庫をつくる」という電子書籍(660円)もあります。こちらの情報も「Books」でご覧ください。

「出品しませんか?」

 再々お伝えしているように、ぼくの教室の現役生徒とOB生たちの集まりを「渋谷クラフト倶楽部」という。むかしは教室が渋谷にあったので、こんな名前になりました。作品展の開催や、勉強会や、飲み会などが、クラブ員たちによって自主的に運営されている。
 その17回目となる作品展が来年2月に開催される。

 Title: はがいちよう&渋谷クラフト倶楽部作品展
 日程: 2024年2月25日(日)〜3月2日(土)
 時間: 11:00〜20:00 (初日は午後1時開場・最終日は19時まで)
 会場: 東京交通会館B1Fゴールドサロン(JR有楽町駅前です)
 電話: 03-3215-7933(期間中会場直通)
 入場: 無料

 今回というか、このごろ毎回そうだが、本展は生徒作品とわたしの作品との合同展というかたちで開催される。会場の半分に生徒作品を、残りの半分にわたしの作品を展示するというジョイントエキシビションである。
 本件の打ち合わせのため、先日、当クラブ会長の山野順一朗氏がやってきて、いろいろとはなし合い、またご要望もうけたまわった。要は最近ぼくの教室へ入ったばかりの新しい生徒さんたちや、まだクラブに入っていない方々にも、本展のことを伝えて、出品を促してほしいということだった。
 「じゃあブログで宣伝しますよ…」
 と、山野氏にはそうお答えし、いまこれを書いている。
 新しい生徒のみなさん、あなたの作品を、われわれの作品展に出品しませんか? ぼくの教室で作ったものでなくても、自分で作った立体的な作品なら、ゴジラだろうと人形だろうと、出すものは、なんでもOKです。
 ——-出品希望者は連絡をください。
 (出品料は一品12,000円、二品15,000円だそうです。)

当クラブ会長の山野氏はご令嬢さえちゃんをともなってやってきました。この日彼女は成人式用の写真を撮った帰りだそうで、メークがバッチリ決まってました。

「トーキングヘッズ叢書No.96」

 「THトーキングヘッズ叢書」という雑誌(季刊誌)に、もう10年以上にわたって「立体画家・はがいちようの世界」という連載コーナーを持っている。その連載が今回で42回目になる。そのように、長いことお世話になっているトーキングヘッズ誌の、最新号である第96号「GOTHIC-Rゴシック再興〜闇に染まれ」が、一昨日発売になった。
 今号の特集は「ゴシック」だ。
 「ゴシックの源流から、ゴシックな精神を受け継いだ現代の作品までを俯瞰し、建築はもちろんのこと、ドール、廃墟美、身体改造、南部ゴシック、千夜一夜など、アート、文学、映画等々、多様な視点からその特質を紐解きました。また特集以外でも、レビュー・エッセイなども豊富に掲載しています。ご高覧いただき、ぜひ諸媒体・SNS等でご紹介いただけると幸いです。」
 ——-だ、そうです。

 もちろんアマゾンでも買えます。
 編集=発行=アトリエサード/発売=書苑新社
 A5判/全208ページ/本体1500+税

 下に掲載したわたしのページはほんの刺身のツマに過ぎず、あとはガツンと文字がつまった優良記事のオンバレードである。「ゴシックの精神とは何か」にはじまり、「ゴシック作品に通底する精神とは?」や、「クィアでフリークな南部ゴシック『風と共に去りぬ』から『ノーカントリー』まで」…等々、どれも熱の入った記事で、読み応え充分だ。
 本好きのみなさん、ぜひお求めください。

ピエール氏の荷馬車がBAINSと書かれた建物の前に停めてある。BAINはバンと読みバスタブのことだが、語尾にSがついているので複数形だ。複数のバスタブがある建物とは、つまりここは風呂屋(湯屋)なのである。遠い村から荷台いっぱいの穀物袋を積んでパリまでやってきたピエールは、取引先に荷をおろし、牛を休ませ、今はのんびり銭湯で湯に浸かっているのだろうか…。と、本作はそういう作品である。