ままやーどフィールドノート

 うちのクラブの有名人田山まゆみさんは作家名〝ままや〟として「工房ままや」を主宰したり、ときどき宮沢賢治がらみの造形作品をつくったりしている。
 そのままやさんが今度本を書いた。
 その本を現生徒の白石和良さんが西荻窪の「ニヒル牛」で買って来て
 「これ、面白い本ですよ」
 と言いながら見せてくれた。
 題名は「ままやーどフィールドノート」。
 そう言われちゃ読まないわけにはゆかず、借りて読んで驚いた。
 架空の国の小さな島、自然豊かな「ままやーど島」を舞台に、年齢性別不詳の主人公ビスコと、ビスコを取り巻く人々を、みずみずしい文章と珠玉のエピソードで紡いだファンタジーである。ピース又吉も真っ青という内容だ。
 全240ページ。定価2000円。限定たった5冊。
 ぜひ読むべし。

ままやーどフィールドノート


2015年7月26日

嵐の搬入劇

 大型で非常に強い台風が高知展搬入日の17日をめがけて四国に上陸するという予報の中、芳賀と山下の2人はその前日陸路高知へと向かった。
 新幹線で岡山まで行き、そこから先は土讃線に乗り換えて高知まで行くつもりだった。だが出発の直前、土讃線も止まったという情報が入り、ならば岡山で一泊し、翌朝一番の列車で高知入りしようと考えた。
 ところが我々が岡山に着いたとき台風は四国の上空にあり、速度が非常にのろいので翌朝の四国行も運休になるだろうと駅員に言われ大ピンチに陥る。もちろん飛行機も、高速バスも止まっている。新幹線で酒を飲んでいた我々はレンタカーも使えない。しかしどうしても翌朝までに会場入りせねば、予定通り展を開幕することができなくなる。
 腹を決め、駅前でタクシーを拾った。
 「四国へ渡りたい」
 そう言うと運転手はわかりましたと答え、会社と無線でなにやらしゃべりはじめた。そしてこちらを振り向き、「お客さん、すでに瀬戸大橋が封鎖され、四国へは渡ることができないそうです…」と困った顔、万事休すである。ならホテルを探してくれと頼み、数件のホテルを当たったがどこも満室。その間も運転手はしきりに無線で何かをしゃべっている。そしてまたこちらを向いた。
 「ここから80キロ西の〝しまなみ海道〟なら、まだ渡れるそうです。」
 聞いたとたん「行ってくれ!」と頼み、それから約2時間、台風に向かってタクシーを飛ばし、海を渡ったのが午後10時。その晩は今治(愛媛県)で一泊し、今治からはレンタカーを使い、高知の会場着が朝10時、すでに荷物は別便で届いていたので、さっそく荷を解くと、中からは壊れた作品が出てきた。
 「アレレのレ…」
 実はぼくの荷を積んだ運送屋のトラックが台風の中で故障し、会場へは牽引されて到着したという。牽引するには一旦ジャッキで前輪を持ちあげねばならず、そのとき荷崩れを起こし、中身か壊れたんだと思う。イーゼル一台と木箱の一部にも損傷かあった。 それら破損品を応急修理しながらもどうにか陳列を終え、台風一過の18日、無事に展は開幕。
 文字通り「嵐の搬入劇」だった。

ドールハウスと立体絵画展@高知県立美術館
詳細は前回の当欄に。


2015年7月20日

高知展開始!

 7月18日(土)より南国土佐の高知で下記エキシビションを開催いたします。

 タイトル:「小さな夢の世界ふたたび/ドールハウスと立体絵画展」
会場:高知県立美術館 http://kochi-bunkazaidan.or.jp/~museum/
日程:2015年7月18日~2015年8月30日(休館日なし)
時間:午前9時~午後5時(最終入場4時半まで)
入場料:大人1100円/小学~高校生500円
問合せ:088-825-4328(高知新聞企画事業企画部)

 ぼくの個展ではありませんが、今回は会場が広いのでほぼすべての作品を展示いたします。そのセットアップのため、遅くとも17日には高知入りし、初日(18日)は夕方まで、だいたい会場に詰める予定です。
 お近くにお住いの方、是非ご来場を!
 チケット情報: http://ticket.pia.jp/pia/event.do?eventCd=1512628


2015年7月11日

HEROのこと

 木村拓哉の映画「HERO」が7月18日から全国でロードショー公開される。
 この映画にはネウストリアという架空の国の大使館が重要なポイントとして登場するが、その内部に小生のアートインボックスを飾りたいという要望があり、実は去年の暮れに拙作4点を携えて東京砧の東宝撮影所まで出かけたことがあった。
 12月14日付け小欄にその記事があるが、映画の題名についてはなにも書いていない。当時この映画の制作はまだ公になっておらず、しばらくのあいだネットでの発信は控えてほしいと言われたからだ。
 だがもう大丈夫だろうと判断し、本日初発信・初宣伝することにした。
 映画HEROに登場する大使館の大広間に計4点のアートインボックスがディスプレーされています。
 ご興味のある方は是非映画館でチェックしてください。
 HERO公式サイト:http://www.hero-movie.com/


2015年7月4日

「エイミー&マドレーヌ」のこと

 ファッションブティックのような作品(アートインボックス)をつくっている、と書いたことがある。
 (4月25日付当欄)。
 もともとは伊藤順子さんほか数名の生徒氏らの依頼によって、教室の制作課題として2014年の春、スタートした作品だったが、順子さんはすでにつくり終え、先生であるぼくだけが、その後ものろのろと、いまだにつくりつづけている。
 赤青黄、ベージュや白や緑や水色など、大体の色の作品はすでにラインナップされているので、今回は無謀にもピンクに挑戦、これがやっぱり難しく、なかなか思うようなムードに落ち着いてくれない。それと、洋服のようなふわふわした品物を作品としてどう見せたらよいのかという、もっとも肝心な部分に付いて、いまだにグッドアイデアが見いだせていない、等々、考えることが多くて、とてもスイスイとは進まないのだ。
 店の名前は「エイミー&マドレーヌ」、苦労が多い割にはいまいちパッとせず、少しイヤになっている。

エイミー&マドレーヌ


2015年6月27日

新焼肉屋オープン!

 むかしよく生徒のみなさんと出かけた通りのむかいの焼肉屋がつぶれて3年。
 不自由してました。
 ぼくのスタジオは陸の孤島みたいなところにあり近所にはなんにもないので、客が見えてもどこへも連れていく場所がない。仕方なくブラブラ駅まで歩いて店を見つけていた。そ、それがである。むかしの焼肉屋とおんなじ場所に、また新しい焼肉屋が、この春オープンしたのだ。
 うれしくってうれしくってしょーがない。
 つぶれちゃったら困るのでちょくちょくのぞいて様子をみているが、客は確実に増えている。これなら大丈夫だと思う。店の名前は仁太郎。イケちゃんという名前の若い中国人がやっている。
 先週浅草で開催されたドールハウスショウのあと、ぼくの工房を見たいというミニチュアファンが大勢やってきたときも、連れていって大喜びされた。

@仁太郎


2015年6月20日

「DANONE」復帰!

 2013年からポチポチとつくり続けてきた作品「DANONE/1944年夏」がやっと完成した。(下の写真)。つくってもすぐに売れてしまうため、長らく在庫ゼロの状態が続いていたが、本作が発散する明るさがほしくて、4度目の制作に挑んでいた。
 ぼくは自分の作品展を「見世物」と考えている。
 ズラッと並んだ作品たちすべてが揃った状態で一個の作品であり、それすなわちひとつの見世物(エンターテイメント・ショウ)と考え、常に並び順を意識しながら個々の作品をつくってきた。
 1944年6月、連合軍によるノルマンディー上陸作戦が敢行され、やがてパリが解放され、歓喜の夏が到来した。そして秋になり、続いて訪れた長い冬にかけて、戦時から平時へ、人々の暮らしが落ち着きを取り戻しつつある時代のパリ下町、赤いテントのタマゴ屋や、パン屋や床屋や錠前屋、それらラインナップの中でもとりわけ重要な一品をふたたび作り終えることができ、いまは非常に喜んでいる。暗い色調が多い作品群にあって、唯一歓喜を感じさせる本作は、はが作品ショウにとって欠かせない一個である。
 登板は7月の高松展から。
 乞うご期待を!

「DANONE/1944年夏」
縮尺:1/12


2015年6月14日