「謹賀新年」

 みなさん、明けましておめでとうございます。
 毎年年末になると京都で暮らしている長男一家(長男と長男の嫁と孫2人)がやって来て、俄然わが家は賑やかになります。加えて元旦の昼ごろには都内に住んでいる長女も一歳の孫を連れて登場し、狭い家の中は爆発的大混雑に。
 ちなみに私には2歳年下の妹がおりまして、妹も亭主同伴で、まだ私のオヤジが生きていた時代からずっと、毎年元旦には必ず顔を出してくれます。
 するとわれわれ夫婦を含めて総勢10名となります。
 我が家にはいっぺんに10名もが会食できるスペースなどありませんので、急遽「Gallery ICHIYOH」の中央に会議テーブル2台を寄せて即席の宴会場をしつらえ、元旦の宴を開催いたしました。
 (下の写真)
 今年は特別な大事件の発生がなく比較的穏やかな年明けですね。
 ——みなさんはいかがお過ごしでしょうか。
 本年もどうぞよろしく。

 
写真左から: 妹のご主人、妹、私、長男の子供、私の家内、長男の子供、長男の嫁、長女の子供、長女、長男、です。

「Sさんのこと」

 毎年この時期になるとSさん(元生徒)が倒れた日のことを思い出す。
 そのころSさんは、休みになると常にボクのスタジオへやってきて作業をしていた。暮れも押し迫った2016年の12月29日も、この日彼は午前中からやってきて、当時自由が丘の教室で制作中だった「トキワ荘(1/50)」を一日中つくっていた。(いわゆる自習ってヤツである)。
 やがて午後6時になって
「そろそろ切り上げてメシでも行きますか‥」
 と、声をかけると、彼はうなずき、机の上をかたづけはじめた。だがすぐにその手を止めて無言で立ち上がり、スタジオから外へ出て行った。出て、数歩あるくと、建物とブロック塀に挟まれた幅60センチほどの小道の先にトイレがある。もちろん彼はそこへ向かったのだが、扉を閉めずに行ってしまい、12月の冷気がスースースタジオへ流れ込んできた。
 あたりはもう真っ暗だ。
 すぐに戻ると思い、扉をあけたまま帰りを待った。
 しかし10分経っても彼は戻ってこなかった。
 見にいこうかとも思ったが、それはご遠慮し、代わりに耳を澄ますと、かすかにオーイ、オーイと叫ぶ声が、闇の向こうから聞こえたような気がした。あわてて声の方向へ駆けつけると、彼はトイレのすぐ手前の、暗くて狭い地面の上に倒れていた。
 すぐに救急車を呼ぶと同時に、わたしは彼を明るい玄関のタタキの上へと引きずり出した。しかしまあ力の入っていない人間のなんと重たいことよ。
 やがて彼は救急車で東十条の病院へ運ばれ、脳溢血と診断された。
 それから8年‥。
 当初はまったく動かなかったSさんの体も懸命なるリハビリの甲斐あって、介護者を伴ってではあるが再びボクの教室へ顔を出してくれるまでに回復した。しかしこうしてまた年末を迎え、年の瀬も25日を過ぎると、どうしてもこの日のことを思い出す。

Sさん(当時50代)

「忘年会のこと」

 12月15日(日)の午後6時から約2時間、うちのクラブ(渋谷クラフト倶楽部)の忘年会があった。場所は池袋のお好み焼き屋「もんじゃ・Na味(なみ)」。ひさしぶりにクラブ員が顔を揃え、暮れのいっときを楽しんだ。
 参加者は以下の27名だった。

 テシバさん
 たかはしさん
 イッシキさん
 キシモトさん
 シノハラさん
 ウエノちゃん
 キットさん
 マイクさん
 らるかちゃん
 ともみさん
 ジュンコちゃん
 山ちゃん
 タカタニさん
 まゆみちゃん
 ノエちゃん
 ヤザワちゃん
 フクダさん
 かねこさん
 はが尚さん
 アキヤマさん
 イナバちゃん
 ミキちゃん
 エリちゃん
 ヤマノ会長
 イギシさん
 フルハシさん
 & HAGA

 クラブが結成されてから20有余年がたち、我がクラブも年々高齢化が進んでいる。このたびの出席者のうち3分の1が高齢者で、いまではこのわたしが最高齢者となってしまった。長時間にわたる飲み会は、だんだんと億劫になりつつあり、最後まで居られるかどうか、当初は非常に心配していた。しかし乾杯のあとはあっというまに時間が流れ、たちまちお開きに。
 散会するちょっと前に下の写真を撮った。(シャッターを切ったノエちゃんを除く参加者全員が写っています。右下に帽子を被った男3人組がいますが、真ん中のカーキ色のソフト帽が私です。)
——-みなさん、おつかれさまでした。

2024年/渋谷クラフト倶楽部忘年会

「生徒展のこと」

 来年のはなしですが、お知らせいたします。
 うちのクラブでは、たまに生徒作品の発表会を行なっています。来年は11月16日から11月22日の日程で、「渋谷クラフト倶楽部作品展」と銘打って、東京有楽町の交通会館地下1階「ゴールドサロン」での開催を予定しています。
 3月に講座が終了した「東家(あづまや)」教室のみなさんや、現在制作中の「ブーランジェリー教室」「火の見やぐら教室」のみなさん、いま教室で制作中の作品は、来年の11月までには間違いなく完成するでしょうから、それらの作品をこの生徒展に出品しませんか‥?
 制作にはけっこう時間がかかりますので、今から準備をはじめるぐらいがちょうど良いと思い、お知らせいたしました。
 ——以上、出品のことを含め、本件に関するお問い合わせは当クラブ会長・山野潤一朗—-080-5031-8945/Email: yamano11ro@gmail.com—-までお願いいたします。
 ちなみにこの生徒展、いままでは芳賀作品展との合同開催が多かったのですが、来年は生徒作品のみでの展開を予定しています。
 どうよろしく。

「本のこと」

 1995年に「1/80木造機関庫制作記」という本を書いた。この本は(株)東京中央出版というところで2000部印刷したが、もうほとんど在庫が残っていない。しかしそのあとに発売された、内容がまったくおなじ「しぶ〜い木造機関庫をつくる」という電子本が、現在、Ebook Japan から発売中だ。
 https://ebookjapan.yahoo.co.jp/books/100330/A000001084/
 上の本を書いた翌年、わたしは「続・木造機関庫制作記/雲の上から届いた便り」という続編もつづけて書いた。しかし、こっちの本はどこも印刷してくれず、しょーがないので一冊づつ手作りの和綴じ本にして、作品展の会場や、イエサブの棚などで細々と売っていた。だがそれもいつしかなくなって20年が経った先月、元生徒ユウさんから写真(下)のようなサンプル本が届いた。
 おお、これは正に、むかしわたしが書いた本ではないか!!
 ユウさんはここ数年たくさんの私製本をつくってくれている。当サイト・インフォメーションに掲載されている「1/80 消防署をつくる」や「しぷ〜い町工場をつくる/午後の鹿骨」や「メイキング・モデル・オブ・ザ・トキワ荘」等々。
 実は今年の8月ごろ、わたしは非常にヒマだったので、むかし書いた数冊の本を、ポツポツPCで文字起こしし、ユウさんの元へデータを送ったことがあったのだ。
 そして
「書籍化は、いつでもいいから‥」
 と、言ったきり、そのことはすっかり忘れていた。
 忘れてから2ヶ月、ある日突然本が届いた。
 つづけて先週の日曜日には、今度は当人(ユウさん)が、打ち合わせのためにやってきて、やれ「表紙のガラが違う」だとか、「この写真はいらない」など、いくつかの細かな点が話し合われ、もう一度サンプルを印刷することになった。
 ユウさん、いろいろとありがとう!!
 おかげで古い本が一冊よみがえるかも、です。
 そのときには改めてまたお知らせいたします。
 乞うご期待を‥。

「木津展」

 東京藝術大学油絵科・木津文哉教授の、「退任記念展/錯視の表情」という作品展に行ってきました。会場は東京芸大本館地下2階の大学美術館。
 https://museum.geidai.ac.jp/exhibit/2024/11/kizu.html

 優に200坪はあると思われる広大な会場に大小合わせて100点近くの木津作品が整然とならび、見応え十分。よくまあこれほどの作品群を生み出したものだと、木津先生のパワーに圧倒された。
 先生はむかしからわれわれのクラブ(渋谷クラフト倶楽部)に親しく接してくださり、会合の折には気さくに「講演」(例えば草木の作り方の説明など)、を引き受けてくださったり、また生徒展の折には出品作一品一品についての寸評をお書きいただいたりもした。そしてまた、あるときは、なんとご自分の作品を、われわれの作品展に出品されたこともあった。
 そんな木津先生も今年65歳。「退任記念展」ということは、教授を定年退職されるのだろうか‥。と、なると、今後こんな大規模な木津展はもう見られないのかもしれない。
 みなさんもぜひお出かけください。
 12月1日(日曜日)までです。

「TH誌/創刊100号」

 トーキングヘッズ叢書(TH誌)第100号/特集「いとしの人でなし」が先日発売になった。
 100号達成おめでとう!!!
 雑誌が売れないといわれるこの時代に100号達成したなんて、金メダル級の偉業だと思う。年4回発行したとして25年つづいたことになる。(ビシッと文字がたくさん詰まった読みごたえ十分な雑誌です。アマゾンでも扱っていますので、読み物好きのみなさん、ぜひお求めください。)
 わたしはこの雑誌の創刊55号から「はがいちようの世界」という連載コラム的ページを担当させていただき、毎回いろいろな作品を、数枚の写真と短い記事によって紹介している。今回は連載その46。片面1ページの小さなコーナーながら、ネタ探しには毎回苦労している。一度書いたエピソードをふたたび書くわけにはいかないし、一度紹介した作品をふたたび紹介することもできず、正直46回目ともなると、もうあんまり書くことが残っていない。
 掲載誌は毎号送ってくれるので、手元には過去に担当し執筆した全46冊がズラッとならべてあり、いちいちそれらを見比べながら、毎号新しい記事を捻り出している。
 今号では「散髪屋チャーリー」を紹介させていただいた。

「トーキングヘッズ叢書vol.100」より