ブルックリンブリッジ

 写真が苦手(撮るのがヘタ)ということは、以前にもこのトークスで書いたことがあった。だから先日ニューヨークへでかけたときも、カメラは持っていかなかった。(というより、僕は一台もカメラを持っていないのだ。)だから同行のスギちゃん(杉山武司氏)に、撮影はみんなまかせた。このときに撮った写真100枚以上を、先日CDに焼いて持ってきてくれた。中にはボツにするのがもったいないような名ショットもあったので、その中の一枚をここに掲載することにする。
 下の写真はユニソンでのオープニングレセプションに駆けつけるため、一回マンハッタンに入らねばならず、当日の昼ごろ、ブルックリンブリッジをわたっているときのものだ。
 いい~写真だねえ~、ほんとうに。
 ほんの少し斜めになっているアングルがいい。
 そしてどんよりとした曇り空がこの橋にぴったりで、鉄の持つ重苦しいムードをいっそう際立たせ、そこがこの写真のいいところ。リベットがビシッーっと並んだこのいかつさ、ゴツさ、このレトロさは、正に鉄の芸術品と呼ばれるにふさわしく、開通したのは1883年のことだというから、日本でいえば明治初期のこと。大好きな橋なので、いつかわたりたいと願っていたが、今回はじめて実現した。このすぐ上流にはマンハッタンブリッジというのがあって、こっちは高速ハイウェイに直結しているため、ニューヨーカーたちはそっちを使うことのほうが多いと聞いた。だからこんにち、ブルックリンブリッジをわたるのは、どちらかというと近郊の方々(主にブルックリン在住の方々)にかぎられているのかもしれない(あんまりよく知らないが‥)。
 金属工作とリベット打ちの名手である佐野匡司郎氏あたりがおつくりになるのにちょうどよい雰囲気をもっているのではなかろうか‥。
―――前回につづき今回も橋の話題となりましたが、ニューヨーク行きに関しては、前回と前々回のトークスにも記載があります。

手前がブルックリンで向こうがマンハッタン


2005年10月22日

ユニソンへの搬入

 ニューヨークの郊外にあるユニソンというアートギャラリーに数点の拙作を展示するというはなしについては、2005年8月13日付けの、このトークスで一度お伝えしたことがあった。そのため、私と私の工作教室の生徒であるスギちゃん(杉山武司氏)の二人は、数点の作品をかかえて、10月4日に、ニューヨークへと向かった。そしてユニソンへの搬入・陳列作業は現地到着の翌々日、10月6日の昼ごろより開始する。当日はすがすがしい秋晴れに恵まれ、まことに気持ちよく作業を進め、午後2時にはすっかり陳列が完了した。
―――ここユニソンでの展示は2005年11月6日まで続く予定。

陳列作業完了直後のギャラリー
ユニソンにて


2005年10月18日

オープニングレセプションに駆けつける

 橋の手前まできたときのこと、なんだこりゃあ~、と思わずつぶやいた。われわれが渡るべき全長20メートルほどの鉄橋の向こう側が完全に水没し、進むべき道がすっかり消えうせていたのだ。かわりに目の前には巨大な沼がひとつ静かに広がっていて、つい数日前、搬入のために走った田舎道は、すべて沼の中に沈んでいた。
 この日の午後2時過ぎにマンハッタンを出たわれわれは、北へ向かって約90分走り、ニューパルツの町をぬけ、町はずれにある橋のたもとまでやってきた。車はエイビスで調達した銀のシボレー。まことに快調な走りを見せてくれたが途中で一回渋滞し、予定がやや遅れ、このときすでに午後4時を回っていた。ときどき霧雨がフロントグラスを濡らすというあいにくの空模様で、あたりはすでに薄暗かった。
 「スギちゃん、至急公衆電話を探してくれ!」
 同行のスギちゃん(杉山武司氏)にあわてて声をかけた。
 橋を渡ってほんの15分ほどのところに位置するユニソンのアートギャラリーでは、このたびのエキシビションにまつわるオープニングレセプションが、もうすでに始まっている時刻である。(ユニソンについては2005年8月13日付けのトークスにも記載があります。)私はどうしてもそれに出席しなければならない。会場はもう目と鼻の先なのに、しかし橋から先へは進めないのだ。そのことを至急ユニソンに伝えねばならぬ。どこかに迂回路はないのか、それも尋ねたい。できれば迎えの車をよこしてもらえれば大助かりである。
 やがてエッソのガソリンスタンドの横に公衆電話を発見! しかし財布には25セント硬貨が一枚も入っていなかった。(アメリカの公衆電話は25セント硬貨しか受け付けてくれない。)よって札を硬貨に両替しなければならない‥等々、面倒くさいことがいろいろあって、結局3回両替し二箇所の公衆電話を使って、約30分を費やして通話を試みたが、とうとう電話はつながらなかった。何度コールしても留守録メッセージが応答するのみで、まるで肉声が聞こえてこないのだ。仕方なく電話をあきらめた私は、今度は迂回路を探して探して、探しまくるという作戦に出た。オープニングレセプションは午後6時までやっているので、なんとかそれまでにたどり着ければ、と考えたのだ。となれば、時間はまだ一時間以上もある。かといって詳細な地図があるわけではなく、英語はもちろん苦手だ。

 で、結局、たどり着けたのである。
 あまり鮮明ではないが、下がそのときの写真だ。到着したのは午後6時ちょい前で、パーティーはすでに終わりかかっていた。前夜の大雨で上流の川が決壊したため、あたり一帯が水没し、当日はいたるところで通行止めが発生したという、ニューオルリンズ現象だ。当然ながら来客はかなり少なかったと思われる。だがぎりぎりながらもわれわれが滑り込みセーフを果たせたことは、わたしはもとよりユニソンの関係者にとっても、非常に明るい出来事だったと思う。
 決め手はポリスだった。
 最初はガソリンスタンドで道を尋ねたがラチがあかず、かわりに警察署を探すことにしたのだ。ほどなく小さなポリス・ステーションがみつかり、ちょうど裏口から顔を出したクールなポリスにいきなり道順を尋ねた。彼は周辺の道を熟知しているらしく、躊躇なくユニソンまでの迂回路を、口でビターッと説明してくれた。そのあまりの迫力(説得力)に押された私は、英語がわからないくせに、自然と言葉の意味が飲み込めてしまったのである。彼が6マイルと言えば、ぴったり6マイルのところに信号があった。その先4マイルに石の橋があると言えば、本当にジャスト4マイルのところに石の橋があった。そうして彼は計約15マイル(約24キロ)にわたる迂回のための道順を、的確にわれわれに教えてくれたのだった。
 やれやれ‥。

10月9日(日)午後6時ごろ
ユニソンにて


2005年10月18日

秋のクラブ旅行

 去る9月18日、わがクラフトクラブの若手精鋭計8名が、朝早く小田急のロマンスカーに乗り込んだ。小田急といえば行く先はもちろん箱根である。ハッピーな気分一杯で箱根湯本駅に降り立った面々は、すぐさま箱根登山鉄道に乗り換えた。やがて「彫刻の森美術館」など、若干の現地施設を見学したのち、貸し別荘「箱根ビラ」になだれ込んだ。そして、さっそく「カンパーイ!」(下の写真)となったのである。そのあとはもちろんガバガバ酒を飲みながら卓球をやったり、「人生ゲーム」をするなど、けっこう健全な遊びを満喫していたらしいのだが、うち数名が途中でダウン(寝ちゃう)してしまうなど、実はかなりバテていたひともいたらしい。しかし翌朝(翌日は祝日)には、みんな元気に(?)、おウチに帰った、とのこと‥。

「箱根ビラ」にて


2005年10月10日

松山さとしさんのこと

 エキシビションのときの話だが、たまにバックグラウンド・ミュージック(BGM)が必要なことがある。そんなときにはたいがいセロニアス・モンクのCDをかけることにしている。モダンジャズのソロピアノで、CDタイトルは「セロニアス・アローン・イン・サンフランシスコ」という知る人ぞ知る名盤だ。かけていてもまったく気にならないところが気に入っている。このBGMについては過去に3回だけ「これ、モンク‥ですね」と、ハッキリ客に指摘され、たまには知ってるひともいるもんだと感心したことがある。そのうちの一人が松山敏(まつやま・さとし)氏だった。
 数年前の夏、銀座で開催したエキシビションの折のこと。どんよりと曇った午後の3時ごろ、ふらっと会場にあらわれた松山氏は、ひと通りの作品を見終わったあと
「これ、『ブルー・モンク』ですよね‥」
と、いきなり曲名を当てて話しかけてきた。同時に、曲にあわせてタンタンタンと足 を三回床に踏みつけるような仕草をし、体を軽くゆすった。
「むかしサックスを吹いていたことがあるんです‥」
そう言うなり、いたずらっ子のようにニッと笑った。
 松山さんは現在札幌在住だが、銀座にはしょっちゅう出掛けてくるとのこと。以前東京に住んでいたことがあり、当時はジャズの演奏家を目指していたそうだが、その後札幌に移ってからはコンピューターを使ったグラフィック・アートの制作をはじめ たこと、などを、いろいろと説明してくれた。そして彼は一冊の雑誌を見せてくれた。そこには彼の「写真的芸術作品」が数点掲載されていたのだが、一目見て私は非常にびっくりした。それらの作品があんまりにもスゴかったからだ。写真と言ったら 良いのか、絵と言ったらいいのか、とにかく驚くべき作品である。
 と、いうわけで、まずは下の松山サイトをジツクリとごらんいただきたい。氏の作品も、もちろん多数鑑賞することができるが、どこかのジャムセッション会場で颯爽とサックスを吹いている松山さんの姿も、複数のセクションで見ることができる。

http://www.love-peace-happiness.com/

 その松山氏が現在六本木ヒルズでエキシビション(9月30日まで)をやっている。詳細は以下だが、会場である「HEARTLAND」とはビア・バーのようなところなので、夕方にビールでも引っかけるつもりでうかがうのがグツド。

 会場: 六本木ヒルズ「HEARTLAND」
     東京都港区六本木6-10-1
     六本木ヒルズ「West Walk」1階
     電話03-5772-7600

 会期: 2005年9月1日(金)~9月30日(金)
     11:30~29:00(無休)
    (29時までということは翌朝5時までということ)

 先日さっそく見にいくと、ちょうど松山氏がいらしたので、「一緒に写真を撮りましょう‥」ということになり、氏の作品をバックに下のような写真を撮った。まだしばらくはやっているので、みなさんも一度おでかけになったらいかがか‥。(カレー がうまいよ)

左が松山さんで右がHAGA
写真:土屋吉剛


2005年9月11日

本島コレクション

 先日、ご近所の畳屋のご主人・橋本政昭(はしもとまさあき)さんがやってきて
「素晴らしい船舶模型をたくさん見られるお宅があるんですが、一度見に行きません か‥」
と、誘われた。

 聞くと、我が家から徒歩10分ほどのところにある本島邸のご主人洋(ひろし)さんは、帆船模型の制作が趣味で、定年退職をされたあと、たくさんの模型を作っていた。しかし残念ながら10年ほど前にお亡くなりになり、残された奥様がそれらの作品を管理しているという。

 一昨日さっそく拝見してきた。

 下の写真は、当日拝見したもののうちでは一番大きな作品を私が覗き込んでいるものだ。更に大きな作品もあったそうだが、良いものは親戚知人宅に出払ってしまい、全部が揃っているわけではないとのこと。それでも大小あわせて20点ほどの作品が、日当たりの良いリビングにずらっと並んでいた。さすがに奥様は船の名前にお詳しく、それぞれの船名とともに作品をご説明くださった。中にはサンタマリアやカティーサーク、日本丸など、かなり有名な船も含まれていたと思う。時にはどこかの会社か ら頼まれて作ったこともあったし、台湾の博物館から頼まれたこともあったそうだ。
 帰りしな、私も模型を作っていることを説明し、拙作の写真をお見せすると
「主人が生きていたら、どんなにか喜び、良い話し相手になったことでしょう。せめ て10年前にお近づきになっていたら‥」
と、しきりに残念がってくださった。

 ―――素晴らしいコレクションの数々をお見せくださった本島さんの奥様には厚く御 礼を申し上げます。

 ところでこの日見に行こうと誘った畳屋のご主人・橋本さんだが、私が一番初めに開催したエキシビション(渋谷パルコ・ロゴスギャラリー)での搬出の折には作品の運搬を手伝っていただいたことがあった。そしてトキワ荘制作のときには四畳半部屋の畳を作るためのサンプル(ミニチュアの畳のサンプル)を特別に編んでいただいたり、また屋根瓦製作のためにはどこかから本物の瓦を運んできてくれたり‥等々、なにかとお世話になっている方である。氏はこのトークスの読者でもあるという。そう いったもろもろの事柄を含めて橋本政昭氏に対しても、この際は改めて御礼を申し上 げたいと思います。

 今後ともどうぞよろしく‥。

写真:橋本政昭


2005年9月10日

“ユニソンのこと”

 ニューヨーク市の郊外に「ユニソン」(UNISON A COMMUNITY ARTS CENTER)という名前のアートセンターがある。
 ――詳しくはウェブサイトで。www.unisonarts.org
 2005年10月9日(日)より約一ヶ月間、そちらのギャラリーにおいて数点の拙作(アートインボックス)を展示したらどうかとのはなしがあり、宣伝のため出かけてみることにした。したがって芳賀は10月の5日前後には現地に向かい、作品のディスプレー等、若干の作業をこなしたのち、10月12日前後には帰国するという予定を考えている。まだちょっと先なので詳細な日程については確定しておりませんが、同行を希望する方がいらしたらぜひご連絡をいただきたい。いまのところ私はニューヨークにある友人宅に宿泊する予定だが、この家はかなり広いので、もしご希望があれば、同行者も含めてこの家に泊まることができます。(その場合ホテル代がかかりません。)
 今回はマンハッタンではなく、マンハッタンから北へ車で約一時間ほどのところにあるアート施設での展示だ。とはいえもちろんニューヨークであり、今回はミニチュアショウ会場ではないところが特に気に入っている。初日の10月9日にはオープニング・レセプションが開かれるとのこと。かなり大勢の方々がお見えになるそうなので、いまからわくわくしている。

「UNISON」


2005年8月13日