バーベキューパーティー・イン・山中湖

 先週末、僕も含めた当クラフトクラブの面々12名が、さわやかな酒を飲むためにわざわざ山中湖(山梨県)まで小旅行に出 かけた。一行はレイクサイドのキャンプ地にあるバンガローに一泊し、大自然の中でのバーベキューパーティーを繰り広げ、おおいに酒を飲んだ。やおらポケットから「青いハンカチ」を取り出して、何回も何回もひっきりなしに、汗のまったくないひたいを拭きながらビールを飲み続ける御仁や、星空を見上げた拍子にバランスを崩し、椅子からひっくり返ってしまったご婦人など、いろいろとおもしろいパフォーマンスを見物することができた。
 当日の朝、僕は自転車で現地に向かう気になり、AM8時ごろ家を出た。最初はさっそうと走っていたが、途中八王子近辺までさしかかったときのこと、突然パーンという音とともに見事後輪が破裂してしまい、慌てて自転車屋を探し回らねばならぬ羽目におちいった。ところがやっと見つけた自転車屋のおっさんは僕の車輪に合致するタイヤの在庫がないという。仕方なく身体だけ電車でいったん東京まで戻り、今度はタイヤを探して駆けずり回るなど、お陰で八王子では都合3時間半もの時間をロスしてしまい、山梨に入ってからの山道はとっぷり暮れて、やがて完全な真っ暗闇とあいなった。したがってキャンプ地への到着が夜の10時半を回ってしまい、みなさんには多大なご心配をおかけしたようである。下の写真は到着直後に撮ったものだが、あんまり疲れていないようにも見える。(もちろん実際は、極度のバテバテ状態ではあったが‥。)

写真:渡邊 格


2006年9月8日

千駄木慕情

 先週「千駄木慕情」という作品を作った。ストラクチャー作品の場合、僕はたいがい荒涼とした未開の地といったシチュエーションで作ることが多いが、この作品は東京下町の塗料屋という設定で、ベースの直径がたった13センチという非常に小さな作品だ。5年ほど前にも同様のものを一度こしらえたことがあるが、このときはすぐに売れてしまい、「また作らないのですか?」などと、たまに言われていた作品である。またすぐに売れてしまうと困るので、今回はとりあえず「非売品」として、そのうちイエローサブマリンの棚に並べるつもりだが、当サイト、ストラクチャーセクションにも「A Paint Store at Sendagi」として掲載したので、ぜひご覧いただきたい。

千駄木慕情


2006年8月5日

孤独の世界

 このごろけっこうまめに作品を作っている。小品ばかりだがここ一ヶ月ほどのあいだに計8点ものストラクチャー作品を完成させた。そんなことからこのコーナーでも、前回は火の見やぐらの情景をまた作ったことをお伝えし、その前は墓の作品のことだった。そして先週は、久しぶりに、またまた「孤独の世界」を作ってしまった。
 「孤独の世界」とは、今までにもっとも多く作った拙作の題名で、石原裕次郎の「二人の世界」からヒントを得て、命名した。僕が一番最初に作ったストラクチャー作品も、この作品と非常に良く似たものだったので、それも含めて、過去に20や30は作っていると思う。だからいいちこを片手にしても出来あがってしまうようなものである。それをなぜまた作ったのかというと、理由は火の見やぐらのときとまったくおんなじで、以前クラフト教室の教材として作った建物が、たまたま手元に一個残っていたからである。しかし今回は、腕によりをかけ、いつもよりは情景を膨らませ、「孤独の世界/スペシャルバージョン」とでもいうべき作品に仕上げ、近々イエローサブマリンの棚の肥やしとして持っていくつもりだ。
 この作品、孤独の世界は、決して大作ではないが、以前から人気があり、よく売れる。またフランスのリヨンにあるミニチュアミュージアム(ミューゼ・インターナショナル・デ・ラ・ミニチュア)にも一点陳列されているといういわくつきの作品で、僕の代表作のひとつでもある。しかし当サイトには今まで写真を掲載していなかったことに気がつき、今回はじめてスライドショーに写真を掲載することにした。ストラクチャーセクションの前半にある英題名「A Solitary World」(ひとりぼっちの世界)というのが、その作品である。タイトルはいかにも裕次郎的だが、コンテンツはやや春日八郎的方向に流れてしまった。ま、それもいいのではないか‥。

孤独の世界


2006年7月23日

イエローサブマリンの棚

 最近イエローサブマリンの棚を増やした。以前は3枚だったものを2枚増やして5枚にし、先月からは丸々ケース一台を「芳賀一洋のミニチュアコレクション」として使わせていただけることになった。棚を増やせば並べるものがなくてはならず、そんなことから先月、火の見やぐらのある情景をまた作り、持って行った。いま、またと書いたが、この情景を作ったのは今回で3度目だったからだ。最初に作ったのは1996年で、作品題名「A Village Fire Station」として当サイトにちゃんと掲載されている。そして2度目に作ったのが1998年で、題名「ONCE UPON A TIME」として、やっぱり当サイトに、むかしから掲載されている。そのほかにも佐野匡司郎氏が「The Daybreak in Early Spring」という題名で、同様のモチーフによる傑作を作り上げていて、これも当サイト、ストラクチャーセクションの最終ページで見ることができる。それを、あえてなぜまた作ったのかというと、ずっと以前に工作教室の課題としてこのモチーフを取り上げたことがあり、そのときに制作見本として作った火の見やぐら一台と、消防事務所一個に、消防ポンプ車一台が、単品として、そっくり手元に残っていたからだ。それら単品に地面を付けて、今回は、「第弐防災管轄区」という題の作品に仕上げ、急遽芳賀コーナーの棚の肥やしとするべく持っていったのだった。そのほかにも、ドイツから仕入れたクラシックカーのメルセデスや、オートユニオン車や、アメリカから仕入れたクラシックオルガン等々、それと、前回記事にした墓の作品(題名・寒い朝)の小型バージョン(題名・静かなる日々)など、見ごたえのある作品・品物・ミニチュアパーツなどを、続々と持って行き、いろいろと棚の肥やしにしている。
 秋葉原にお出かけの節は、是非ご覧になってください。
 なおイエローサブマリンの所在地については当サイト・インフォメーションのセクションに掲載してあります。

「第弐防災管轄区」


2006年7月10日

墓の作品

 最近「墓の作品」をつくった。つくったと言うよりも、旧作を大幅に改修し、新作と呼んでもいいような作品に作り変えたと言ったほうが正しいのかもしれない。
 僕が最初にエキシビションを開催したのは渋谷パルコのロゴスギャラリーで、だった。このときにつくったいくつかの作品の中に「寒い朝」と題する墓の作品があった。非常に重たい鉄製ベースがついた作品で、このときにはいくつかのそんな作品を並べた。しかし年月のあいだにはそれら鉄製ベースの作品は大方売れてしまい、たったひとつだけ残った鉄台作品が寒い朝だった。いま見るとたいした作品ではないのでお恥ずかしい限りだが、捨ててしまうのももったいないと思い、長いことイエローサブマリンの棚に置いてあった。ご覧になった方もいらっしゃるだろう。へんな地形の、へんなかたちをした鉄製の台の上に、二基のお墓と、その横に電柱が一本つっ立っているだけというシンプルな作品だ。しかし墓というモチーフが年配客の感性にフィットするのか、以前からおもしろがられ、それなりに人気があった。そして先日、その作品を買いたいとおっしやるお客様が、ついに現れ、店から問い合わせの電話が入った。しかしなにぶん古い作品である。
「売ってもよいが、いろいろと修理をしてから引渡したいので、その旨をお客さまにお伝えください‥」
と、僕はそう答えた。着想は悪くないのだが、当時は技術が未熟だったため、いかにも幼稚な出来栄えで、とてもそのまま引き渡す気にはなれなかった。客は、引き取りはあとでもかまわないと言い、代金だけを置いて帰ったという。
 そんなことから、大至急その作品「寒い朝」を修理せねならぬ義務が生じ、さっそくいったん棚から引き上げたうえで、改めてじっくりと眺めてみた。すると、これは修理程度では、とても済まないことがだんだんとわかってきた。地形はまるで「イナバウアー」のように反り返っているし、墓の配置自体、まったく気に入らない。仕方がないのでへんなかたちの鉄製ベースはそのまま残し、それに合わせてもう一度新たに地形を作ることにした。次には大きな木を一本作って中心に据え、二基だった墓を四基に増やすなど、全体的な構図までを含めて、まるっきりぜんぶを作り直すことになったのである。最初はだらだらと、あとでは真剣に取り組んだ。以前の作品が持っていたムードは変えずに、しかも全体的な形状も変えず、コンテンツのみレベルアップせねばならぬという、実にしばりの多い仕事だった。しかしである。結果として、非常に気に入った作品に作り変えることができ、ひさびさの大満足を得ることができた。それは5年ぶりに作った、ストラクチャー作品の「快作」と言ってもよいと思う。貧しくて、侘しくて、悲しくて、むなしくて、粗末で、暗くて、沈鬱で、空虚で、投げやりで、その上やぼったいといういいことずくめ。最近まれに見るお気に入りの一作である。
 気を良くした私は、生まれて初めて自分で自分の作品を撮影するという蛇足行的為にも及び、下のような写真を撮った。そしたらである。どういうわけかそれも非常に気に入ってしまい、当サイト・ストラクチャーセクションに急遽掲載することにした。スライドショーの前半に置いた英題名「A Graveyard」(あるひとつの墓地)というのが、その作品である。
 ぜひ御覧いただきたい。

台は旧作のものを使い
情景のみをすべて作り変えた


2006年6月17日

クラブ展終了、次は浜松町です

 先週、有楽町交通会館で開催いたしました「芳賀一洋&渋谷クラフトクラブ作品展」は無事終了いたしました。お陰さまで大盛況でした。ご来場いただきました皆様には厚く御礼申し上げます。
 ここいらでほっと一息つきたいところですか、今週末には浜松町で「東京インターナショナルミニチュアショー」という催しがあり、芳賀はそちらにも参加いたしますので、今度はそちらの準備に追われているところです。毎回私は小さなテーブル一台だけという小規模参加ですが、世界各国から100チームほどのミニチュア・ディーラーたちが参集し、さまざまなミニチュアグッズを販売いたしますので、ミニチュアファンは是非ご来場ください。
 詳細は以下です。
 私は6月11日の日曜日には終日会場におります。
 どうぞよろしく。

タイトル: 「第8回/東京インターナショナルミニチュアショウ」
会場: 浜松町 都立産業貿易センター5F
   東京都港区海岸1-7-8
  ◆6月10日(土) 10:00~17:00
  ◆6月11日(日) 11:00~16:00
     (ワークショップ9日予定)

・~・~・ 入場料 ・~・~・
前売り券(税込み) 1日券¥1200
2日共通券¥2000
当日券 (税込み) 1日券¥1500
高校生以下(学生証持参)
障害者手帳持参者無料

主催: (有)フォルクス&トム・ビショップ
協賛:日本ドールハウス協会/日本ビスクドール協会
英国大使館商務部、米国大使館商務部、東京善意銀行 (予定)
〒112-0002 東京都文京区小石川1-27-9 渡辺ビル2F
(有) フォルクス

<問い合わせ>
日本ドールハウス協会  TEL 050-3303-3693
—日本ドールハウス協会 会員継続の手続きを当日受付いたしております。
継続手続きには、旧会員書を持参ください。
当日は、仮会員書にて入場、後日新会員書を郵送いたします。
—-新規入会も当日受付いたします、当日仮会員書にて入場できます。
後日新会員書を郵送いたします。
新規会員様特典として入会金無料、年会費のみで入会できます。
年会費¥5000  期限19年5月20日まで。
今年度も、新規入会/継続供に入会記念の「ミニチュアプレート」プレゼント!

写真は「芳賀一洋&渋谷クラフトクラブ作品展」の様子
撮影:渡邊 格


2006年6月5日

作品展のお知らせ

 東京にはいくつかの好きな道がある。根津・千駄木あたりのもそのうちのひとつだが、自転車で秋葉原まで出かけるときにいつもそこいらへんを通る。まずは人気の谷中商店街を通過し、幅一軒ほどの細い路地裏をぬけ、蛇道と呼ばれる曲がりくねった小道をスイスイ進む。そして根津神社の脇を通り過ぎるとたちまち上野の森だ。森の下には「森鴎外住居跡」と書かれた碑があって、そのすぐ先が不忍池(しのばずのいけ)である。以上まで約15分間の道程には、小津安二郎監督描くところの東京の味が、まだ残っている。不忍池から秋葉原までは約10分。池の端には必ず幾組かのホームレスがたむろしていて、彼らはたいがい木陰でスポーツ新聞なんぞを読んでいる。が、なにしろ「風薫る五月」である。いまは、いかにも心地よさそうに見える。
 さて、そんな五月だか、この月の末には、エキシビションがひとつ控えていて、芳賀はただいまはその準備に追われている。
 —-以下、詳細。

■タイトル: 芳賀一洋&渋谷クラフトクラブ作品展
 場所: 有楽町駅前 東京交通会館 地下一階 ゴールドサロン
 電話: 03-3215-7933(直通)
 会期: 2006年5月28日(日)~6月3日(土)
 時間: 午前11時~午後7時(初日のみ午後1時開場)
 入場無料
 ●初日5月28日午後6時より、会場にてオープニングパーティーがあります。どなたでも参加できますので多数ご来場ください。

 とりあえずDMの作成が終わり、これからは作品の修理をせねばならぬところである。それが終わったら什器のことやら、証明器具のチェックやら、搬入搬出の手配など、いろいろあって、結構大変なのである。DMといっても2000通もあるので、重複がないかどうかを調べたり、住所が変わったひとや、削除したり追加したりせねばならぬ人もいる。この一年ほど、暇を見つけてはそれらの作業を続けていたが、どうにかそれも終わった。そうして余った何百通かの案内状は、おなじみの模型屋に置かせてもらったり、知り合いに配ってもらったり‥。お陰でこのごろトークスが渋滞してしまった。このすきにちょっと書いてしまおうと思い、いまパソコンの前に座ったところである。ところで今回は、もしかすると「石の家」が借りられるかもしれない。もし借りられたらメインに展示するつもりなので、どうかご来場いただきたい。
 「石の家」についてはもうご存知だと思う。
 フジテレビ「北の国から」というテレビドラマの中で、田中国衛扮する主人公が最後に建てたのが、通称「石の家」といわれる住居で、北海道は富良野に現存し、ドラマの撮影が終わったいま、ご当地の観光名所になっている。そして2004年の秋、テレビ局からのご依頼で、その模型展示物を僕がつくることになり、同年秋に制作を開始し、翌年一月に完成した。だからこの作品の所有者は現在フジテレビである。先日恐る恐る「お借りできますか?」とお尋ねしたところ、「局側全面協力」というお返事をいただき、非常に喜んでいるところだ。そしてこの作品に関しては、完成後長らく写真の掲載がなかったが、最近、当サイト「Works」のコーナーに、「THE STONE HOUSE」というセクションを設け、沢山の写真を掲載したので、まだの方は是非ご覧いただきたい。
 —以上、エキシビションの告知情報と、石の家の写真掲載完了のお知らせでした。
 どうぞよろしく。

「石の家」製作中の頃
写真:渡辺 格


2006年5月6日