遊郭の座敷

 お伝えしていた「遊郭の座敷」がやっと完成した。
 この作品は巣鴨にある「市松人形館」からの依頼で制作。よって近い将来ここに市松さん作による人形が加えられて完全完成にいたる。したがってこの段階ではただ人形の舞台が出来上がっただけと言うべきかもしれない。が、いずれにせよぼくの仕事はすべて終わった。
 むかし江戸吉原には「角海老楼」(かどえびろう)という遊郭があったそうだ。何回も火災に遭うがその都度立ち直り、昭和33年、売春禁止法が施行されるまで、吉原最大の遊郭として君臨。近年は「角海老ジム」(ボクシング)や「角海老宝石」など、風俗産業以外にも商売の幅を広げ、かたちをかえて今日も脈々と生き続けている。
 本作は完全完成後、その角海老さんに納入する予定だという。なので制作にあたっては角海老的ムードを表現することに腐心し、手を動かしている時間よりも考えたり調べたり探したりの時間のほうがよっぽと多かったと思う。以前、明治村へ出かけたと記したことがあったが、それも調査のためだった。例えば提灯(ちょうちん)の吊るしかたひとつとってもいろいろあり、ぼくらにはそういうことがよくわからない。仕方なく浅草あたりを見て廻ったり、欄間の制作に悩んだときには埼玉の彫刻師のお宅へお邪魔したこともあった。全体としてある種の「雅」(みやび)を醸すものでなければならず、まさにそれがすべて。結果としてぼくの作品の中ではもっともボロ度が低いものとなった。
 そのうちセクションでも設けて、市松さん作による人形を置いたものも含め、たくさんの写真を掲載したいと思う。

「遊郭の座敷」


2009年3月8日

芳賀コーナーのこと

 「え? 銀座に東急ハンズって、あるんですか…」
 自分のコーナーの場所を説明しようとすると、ときどきそんなリアクションが返ってくる。
 あるんですよ。ほら下の写真、右が有楽町のマルイで、その左下に緑色に輝くハンズのロゴが見えるでしょ。銀座ハンズはプランタンのとなり、マロニエゲートというビルの5階から9階に入ってる。その9階、自転車売り場の横に、ちっちゃな芳賀コーナーがあるのです。それと、秋葉原ラジオ会館7階の「イエローサブマリン」という店の中にも、こっちはショーケース一台がまるっきり芳賀グッズというリッチなコーナーがあります。詳しくは左のインデックスから「その他の情報」をクリックし、ご覧下さい。
 以上ふたつのスポットへは商品補給も兼ねて週一回必ず見廻っている。
 朝10時ごろ、ラッシュが去ったあとの国電で有楽町へと向かい、まずは銀座ハンズへ。それから秋葉原へと向かうが、この仕事、適度にゆるくてわりかし気分がいい。なので、ときには週二回ることも。小さな作品やミニチュアパーツなど、いろいろと並べてありますので、みなさんも是非一度廻ってみてくださいね。

たそがれの有楽町


2009年3月1日

てわざ展終了

 下の写真は先週三越で開催された「ざ・てわざ展」ギャラリートークのようす。
 左から五番目がぼく。ぼく以外の方々は全員美大出身の有名画家の先生たち。自慢じゃないが、ぼくはむかし東京芸大を受験して落ちた経験がある。その後ずっとしがない商売をやっていて、やがて商売にも失敗し、ダブルハコテンを食らった身。仕方なく48歳になってもう一度「画家のようなもの」を目指すが、これはあまりの悪手にあきれ果て一発逆転ヤケクソで国士無双を狙ったようなもの。それが60歳になった今、こうして芸大出身の先生方と一緒に並んですわっていることに感無量。
 ニッパチの2月で未曾有の大不況。しかも百貨店の大苦戦が伝えられているさ中での本展は大成功を収め、連日予想をはるかに上回る来客があった。ある数百万円の絵に対し複数の購入希望者があらわれ結局抽選になったという信じられない現象もあったと聞く。
 —–ご来場いただいたみなさまに御礼を申し上げます。

2月21日「ざ・てわざ展」会場にて


2009年2月25日

石ノ森章太郎の机

 石ノ森章太郎の机って作品、知ってますよね。このたびその作品のためのセクションを新設し、たくさんの写真をアップいたしましたので、あとで是非ご覧ください。
 ——-作品ギャラリーの表紙ページ右下のポッチから入れます。
 この作品には本当は書きかけの原稿を置きたかった。しかし時間との関係で果たせぬまま納入。その後うちの倶楽部の本職マンガ家坂井恵理さんに「プロっぽい下書き原稿」を書いてもらい、後日納入先である萬画館まで届け、机の上に置いた。ところがセクションでの写真は納入前に撮ったため恵理さんの原稿は写っていない。
 ——エリさん、ごめんなさい。
 でもね、下の写真を見てね。ちゃんと置いてあるでしょ。


2009年2月7日

お知らせ

 2月17日から開催される「ざ・てわざ」というエキシビションに参加いたします。
 これは絵画のための合同展でして正真正銘のアートエキシビション。そんなアカデミックな場所にぼくの作品をならべていいんだろうか、ちと心配ではありますが、芳賀は「白い石炭商人」というアートインボックス作品1点を出品いたします。

 タイトル:「ざ・てわざ-未踏への具象-」
 会期:2009年2月17日(火)~23日(月)
 会場:日本橋三越本店本館6階美術特選画廊
 営業時間:午前10時~午後8時(日・祝午後7時半まで)
    —-最終日午後4時半閉場
 余興:2月17日午後5時より出品作家による「公開座談会」開催。その後午後6時よりオープニングパーティーがあります。そして2月21日の午後2時より、出品作家たちによる「ギャラリートーク」があります。
 入場:無料

 計23名の作家が参加します。ぼく以外の方々は全員プロの絵描きさん。彼らの絵を図録で見てド肝を抜かれた。あまりにもリアル、なるほど「未踏への具象」と納得した。
 一見の価値アリです。
 是非お出かけ下さい。
●芳賀が会場にいるのは初日の午後と20日の金曜日です。

ざ・てわざ展・図録


2009年2月19日

遠方よりの客

 去年の夏サクラメントシティでのこと。
 到着は午後8時だった。宿は予約してあったがいくら探してもホテルが見つからない。シティの道は首都高に似て慣れない者にとって巨大な迷路のようだった。やがて夜10時に。町全体が静まり返り、通りに人影はない。そんなときふと眼前の丘を見上げると頂上に「HOSPITAL」と書いたビルを発見。病院なら夜もやっているハズと道を尋ねるために車を降りて丘を登りはじめた。すると丘の中腹の駐車場に、大きくドアーを開いた白い乗用車があって、中から携帯でしゃべっている男の声が聞こえた。射殺覚悟で近づいてホテルへの道筋を尋ねると、「オレの車について来な…」と意外にも彼はぼくの車を10キロ以上もナビゲートしてくれて、親切にもホテルの玄関まで連れて行ってくれた。
 10キロといえば結構な距離である。
 チップとして10ドル差し出すと彼はかたくなに受け取りを拒否。 仕方なく代わりに作品のパンフレットを一枚手渡し、あっさり礼を言い、別れた。
 普通はそれでおしまいだ。
 もう二度と会うことはないと思っていた。
 しかしその男ノヤ(Noya)が、先日ぼくの工房へやってきて、製作中の「遊郭の座敷」を見物することになったのだから、世の中わからない。彼と彼のファミリーは、香港からの帰途東京へ立ち寄り、1月12日に工房を訪れ、あとはみんなで近所の焼肉屋へ。改めてサクラメントでの礼を述べて再会を喜んだ。焼肉代はチップの10ドルよりは高かったが、カネには代えられぬ楽しいひとときを過ごした。

手前の右がノヤさん
写真提供:らるか


2009年2月4日

タカさんの作品

 千石教室での去年の制作課題は「孤独の世界」という小さな作品だった。説明はすべて去年のうちに終了しているので、生徒のみなさんはいまごろきっと仕上げにかかっているころだと思う。生徒展ももうすぐ。そんな中フクイ・タカアキという生徒氏から「完成しました!」というメールとともに数枚の画像が届いた。下はその中の一枚。
 フクイさん、小生この寒々としたたたずまいに完全にシビレましたよ…。
 忙しい身でありながらよくつくったものである。
 このタカさんの作品こを見て、「よ~し俺も!」なんて、他のみなさんも、大いに発奮されることを期待したいものです。

フクイ・タカアキ氏作:「孤独の世界」


2009年1月27日