みちのくひとり旅

 12月21日、前夜は千石教室の打ちあげだった。
午前7時、ザブッと朝風呂を浴び上野駅へ。
やまびこに飛び乗りAM11時仙台着。仙石線に乗り換え、塩釜漁港やら松島海岸など、哀愁ただよう駅名を通り過ぎ、昼の12時に石巻着。さっそく石ノ森萬画館へ。開催中の「石ノ森章太郎/マンガからミリオンアート展」を特急ウォッチ。想像を上回るマニアックなコンテンツにしばし唖然。お目当ての拙作「石ノ森章太郎の机」は会場の中ほどに置いてあった。担当者によると一番人気とのこと。うれしいはなしである。カバーを外していただきカメラを向けた。パチリパチリとしばし写真を撮って、そのあと慌しく宇都宮へと移動。南宇都宮駅前にあるギャラリー悠日で開催中の「アートマーケット in 悠日」なるイベント会場へと滑り込んだのは午後の4時。入ってすぐの広い部屋には5~6点の拙作が展示してあって、なかなか好評のようす。ファンとちょろちょろしゃべっている間にたちまち午後6時。そして7時からパーティーが始まった。どういうわけか我が輩が乾杯の音頭を仰せつかり大恐縮。ほどなく南米風音楽ライブもスタート。軽快な音楽に耳を傾けながら午後9時まで、現地の若手アーティストらと楽しく懇談し、午後11時、無事帰宅、というみちのくひとり旅の一日。ああ忙しかった。
さあ、あしたからは年賀状だ!!

「石ノ森章太郎の机」in 萬画館


2008年12月23日

忘年会のこと

 12月6日(土)の夕刻、駒込の「磯太郎」において、「渋谷クラフト倶楽部」恒例の忘年会が開催されました。会のあとみんなで集合写真を撮ったのですが、残念ながら若干不鮮明だったでしょうか。前列中央でワッハッハと笑っているのがぼくです。

撮影:高谷俊昭


2008年12月8日

欄間の研究

 前々回、遊郭の座敷をつくりはじめたとお伝えした。たいして進んじゃいないが、とりあえずは下のようになっている。ふすまは、どうにかイメージ通りに仕あがり気をよくしたのだが、そのあと欄間がどうも気に入らず、この一週間中段したままである。仕方がないので今は素材や道具の選択を含めて、改めて欄間の研究をしている。


2008年12月14日

YURIさんの作品

 下の写真は千石教室の生徒、YURIというレディーがつくった作品です。「プロローグ」という題だそうです。
 高さわずか50ミリの小さな作品ですが、あまりにもあっぱれな出来ばえだったので、「今度ぼくのサイトに掲載したい!」と思わず言ってしまいました。ロードオブザリングのホビットたちが、建物のうしろから、いまにも飛びだして来そうです。
 ●「佐野賞」ゲット、ですね。
 —–おめでとうございます。

YURI作/「プロローグ」


2008年12月3日

盗っ人リバーの馬具店/③

 馬具店のはなしはその後どうなったんですか、とたまに訊かれることがある。
 きょうはそのはなしから。
 以前6月1日のこの欄で、表題の馬具店内部の写真を紹介した。壁の上段に馬の首輪がズラッと並んでいて、その下になにやら黒っぽいものが密集して見えている写真だった。その黒っぽいものがなんだかわからなかったので、知っている人がいたら教えてほしいと呼びかけた。そこまでが前回のはなし。
 その後、数通の回答メールをいただいた。その中に、写真の店は馬具店ではなくて、駅馬車のストレージルームではないかとおっしゃる方がいて、裏付けの写真も数枚添付されていた。下がその中の一枚だ。
 見たとたん「これだ!」と思った。
 写真を見ると首輪の下の黒っぽいものの正体は馬のベルトのようである。
 そのように、馬の首輪とベルトが大量に壁にかけてあり、床に旅行カバンが積みあがっている場所、それは、そこが駅馬車のストレージルームだったことを示しているとその人はおっしゃった。ところがこの仕事のクライアントは馬具店だと言っている。ただちに納得するわけにはいかなかった。そこで今年の夏に、米カリフォルニア州のゴーストタウンへと出かけた折に少し足を伸ばして、ついでにサクラメントシティへも立ち寄った。そこに有名な駅馬車ミュージアムがあると聞いていたからだ。
 さっそくミュージアムのマダムに、馬具店の写真と一緒に駅馬車ルームとされる写真を見せて、これらはおなじものかと尋ねた。
 いくら英語がダメでもそれぐらいは訊ける。
 するとマダムは「もちろんです」と断言。
 専門家に断言されたとあれば仕方がない。以後盗っ人リバーの馬具店は、駅馬車のストレージルーム的形状で制作することに決め、すでに数ヶ月前からポチポチ部品をつくりはじめている。しかしこの仕事の完成予定は来年年末なので、まだまだ余裕のヨッチャンである。
 そして、上のはなしとは別に、実はあるひとから、むかしの遊郭の座敷をつくってほしいというはなしがあって、こちらはつい最近制作をスタートした。納期は来年2月末。だから現在フルスピードで対応している。縮尺約7分の1という、あんまり聞いたことのないないスケールで鋭意制作中であるからして、かなり大きな作品になりそうだ。
 そんなわけで、この年末はちょいとばかり忙しい。

駅馬車のストレージルーム的写真


2008年11月24日

ご来場ありがとう!

 先週デザフェス(デザインフェスタ)に参加した。そしたら初日の午後、模型界のカリスマ・伊藤誠一ちゃんがやってきて、ずいぶん長いことぼくのブースの周りをうろうろしていた。なにをやっているのかと思ったら、あっちの角度こっちの角度から、作品に群がる人々を写真に撮っている。
 「2時間にはならんだろうけど、間違いなく1時間以上はいるよね」
 横にいた山ちゃん(山下浩氏)に声をかけると
 「ええ、気に入るまでやらなければ気がすまないのが彼の性格ですから…」
 山ちゃんはいつもの調子でボソッと答え、じゃなけりゃああんな模型はつくれませんよ、とため息まじりに付け加えた。あんな模型とは伊藤氏がつくるものすごい模型のこと。(ご興味のある方は「伊藤誠一さんのレイアウト」で検索すれば写真を見ることができます)。
 ま、それはともかく、このとき伊藤氏はきっと100枚以上の写真を撮ったと思う。で、送ってくれた写真が下。こういう、どうってことない写真って、結構むずかしいのだ。伊藤ちゃん、ありがとう。使わせていただきました。そしてご来場いただいたみなさん、ありがとう!!

写真:伊藤誠一


2008年11月17日

先週フィラデルフィアへ行ってきた

 10月30日午後10時、乗っていた飛行機が突然ユサユサ揺れはじめた。サンフランシスコからの乗りつぎ便だったので、ぼく以外の乗客は全員アメリカ人。揺れは約15分ほどつづき、やっとおさまったころ、短いアナウンスがあった。もう安心ですよというメッセージだろうか、機長がなにかをしゃべったとたん周囲からどっと歓声があがり、よく聞き取れなかった。
 翌朝7時、ホテルの部屋から通りをのぞくとただならぬ雰囲気。なんだろうと思いながらも写真を撮った。(下の写真)。やがて身支度を整えて外に出て、はじめてそれが「フィーリーズ」(フィラデルフィア・フィーリーズ)のワールドシリーズ優勝に歓喜した群集だとわかり、同時に昨晩機長が何を言ったのかがわかった。
 それからの丸一日、まったくの馬鹿騒ぎを見せつけられ、とんだ迷惑をこうむった。あまりにも群集が多いのでまともに道を歩けない。レストランもコンビニも超満員。人々は常に大声を張りあげて何かを叫んでいる。へたに目を合わせたりすると、一緒に喜ぼうぜ、などと誰彼かまわず陽気に話しかけてくるので非常にヤバイのだ。町中全員がフィーリーズのロゴ入り衣装に身を包んでいて、ぼくのようなロゴなしウェアーの者は次第にいたたまれなくなってくる。
 当日は午後6時から、現地クラウンプラザホテルにて、フルスティームアヘッドという大規模なミニチュアショーが開催される予定で、本当はそれまで市内見物をするつもりだった。しかしとても無理と判断。町外れの美術館で時間をつぶしてからショー会場へ向かうことに。会場は市内からタクシーで30分ほどの距離にあり、さいわい静かだった。
 今回のショーは、トム・ビショップ氏の主宰ではなかったが会場にはビショップ氏の姿もあった。ミニチュアコレクター誌のバーバラさんや、かばん屋のゴメス、シーンコナリーのような顔をしたシェーカー・ワークスのケン・ビアー氏など、毎度お馴染みの顔ぶれが大勢いらっしゃり、みなさん「ハイ、イチヨー!」とか言って、気楽に声をかけてくる。アラバマから来たという、ちょいと美人のおばちゃんには突然ガバと抱きしめられ、ほっぺたをくっつけられて、背中をぽんぽん叩かれた。いわゆるハグというやつである。このおばちゃんは、ぼくを見つけると毎回必ずこれをやるのでまいる。今回を含めて計3回やられている。
 そして夜中の12時、自分のホテルへ戻ると、一階のバーでは相変わらず馬鹿騒ぎの真っ最中。「イェーッ!」やら「ワオーッッ!」やらを叫びながら、バーからあふれ出た人々がエレベーターホールにまでたむろしていた。少なくともこの日、ここフィラデルフィアでは、オバマのオの字も聞こえてこなかった。

Exif_JPEG_PICTURE 10月31日午前7時
フィラデルフィアのマーケットストリート Exif_JPEG_PICTURE


2008年11月8日