「フェリー旅」

 以前「東家(あづまや)海を渡る」という見出しの記事を書いたことがあったが、このたび4月20日に、本当に東家(旧東屋)が、はるばる海を渡り、北海道は滝川市の「杉山アトリエ」へと辿り着いた。(写真は杉山アトリエ。後方はスギちゃん)。
 夏の「ドールハウスショウショウin札幌」への出演のため持ち込んだ本作だったが、どうやってそれを運ぶのかが今回の一番の問題だった。宅急便じゃ壊れるし、現地まで車で届けるのはチトつらい。で、結局フェリーを使うことに。
 元生徒ユウさんの協力で19日の午後、ブツ(旧東屋)を彼のメルセデスへ積み込み、そのまま水戸大洗の埠頭まで走り、車ごとフェリー「サンフラワー号」の船内へ。やがて午後7時半、出航するやいなや、船は真っ暗な太平洋をグイグイ進み、やがて日付が変わり、20日の朝となり、昼となり、午後となり、結局午後の1時半、北海道南部の港町苫小牧港に到着。
 ここから目的地滝川まで高速で約2時間の距離だが、実は旭川に、私用で一件立ち寄らねばならぬ先があり、そっちを先に回ったため「杉山アトリエ」への到着が夕方の5時になってしまった。
 ユウさんにとってそのアトリエは、初めて目にする夢のパラダイス。
 作品を降ろしたあとはスタジオの内外や、2階の監禁(?)部屋や、人気のHものフィギュアが並んだショールームなど、などを、目を皿のようにして見物したあと、近所のイタメシ屋へと移動。
 そしてワインとイタメシで大いに酔っ払い、そのまま美人ママのいるスナックへとなだれ込んだ…と、書きたかった、が、しかし実際はそうならなかった。
 というのは、実はこの日の深夜、21日未明に、われわれは再び東京方面行きのフェリーに乗らねばならず、後ろ髪を引かれる思いでイタメシ屋を引き上げ、わたしとユウさんは再びまた苫小牧港へ向かって走り出した。
 ちなみに駒込を出たのは19日午後3時で、帰宅は21日午後10時だった。
 カモメやトビウオはまったく見なかったが、なぜかサンダル履きのトラックドライバーたちがヤケに目に付く、いたって地味な船旅だった。

スギちゃん(杉山武司氏)は2000年代のはじめに一時期東京に住んでいたことがあって、そのころはぼくの教室に通っていた。しかし2008年ごろに、彼は郷里の滝川に戻り、現地での制作の拠点となる「杉山アトリエ」を建設。現在「男のドオルハウス」の作者として多方面で活躍している。