下の写真を見て欲しい。
もう何回もぼくの教室でつくっているお馴染みの作品(未完成)だが、いままではふつうにグレーを塗っていた。しかし今回は訳あって別の色にする必要があり、最初はためしにベージュを塗ってみた。しかしこれがまったくダメで、あわてて世界堂(画材屋)へ駆け込み、そこで約2時間、粘りに粘ってひとつの色(うぐいす色に近い色)をえらんだ。
この時点では再度ためし塗りをしている時間はもうなく、ぶっつけ本番で、生徒氏らの目の前でその色を塗った。ところがこれがちっともよくない。濃くしたり薄くしたりと、ジタバタしたが、やればなるほど悪くなる。みんなからの軽蔑の視線が突き刺ささった。
そこで運良く昼休憩。
休憩中に必死で考えた。
なんとか逆転の方法はないか。
このファサードには、最初はジェッソ=白が塗ってあった。その上に本日うぐいす色を塗り、乾くと同時に濡れ布で拭き取り、また塗り、また拭き取りを繰り返して、なんとかアヤを出そうとしてみた。
だがどうやらそれは失敗したようだ。
なら“叩き取り”ではどうか。
拭き取るのではなく、濡れ布でぽんぽん叩くようにして色を剥がしていけば、下地のジェッソ=白がまだら模様に浮かび上がり、けっこうイケルのではないかと突然ひらめいた。
で、昼休後にやってみたら大成功。いつもおしゃべりな生徒らの鼻息が聞こえるほど、みんな黙りこくってしまい、固唾を飲んでこちらのパフォーマンスを凝視している。
そうやってある程度グリーンをタタキ取ってから、スイヒ(水干)の粉(黒)をかすかに振りかけたら、ご覧のような色になり一同大満足。
あーよかった!
——-11/28日の教室の情景でした。