「ウィンザー&ニュートン」

 むかし伊東屋の模型展示物をつくっているとき、扱っていた絵の具のブランドについて担当者に尋ねた。明治38年に撮られた創業店舗の写真を見ると、ショーウィンドウにはたくさんの画材が陳列されている。画材といえば「くさかべ」か、それとも「ホルベイン」か。ヘンなものを置いて、クレームがついても困るので、一応問い合わせたのだ。待つこと約一週間、届いた回答は「ウィンザー&ニュートン」だった。
 できあがった展示物を眺めるとき、ショーウィンドウにディスプレーされている品物はやたらと目立つので、特別にリキを入れて、ちゃんと当時のロゴを使い、ウィンザー&ニュートンの絵の具の箱をつくった。
 それから17年。
 最近ふたたびまたおなじ絵の具箱をつくった。
 お陰様で(?)このごろメキメキと感染者数が減少し、そろそろ自由が丘での「東屋教室」(小型版伊東屋教室)再開の声もささやかれるようになり、少しはその準備でもしようと、ひさしぶりにまたつくったのだった。
 だが絵の具の回までには、まだ少し間があり、講座を再開したからって、すぐにこれを取り上げるわけではない。またもし第6波でも来ると、ずーっと先のはなしになってしまうかもしれないのだが‥。

奥にあるのが「フィンザー&ニュートン」の絵の具箱。
このブランドの筆はむかしからよく使っていたが、絵の具があるとは、このときまで知らなかった。ショーウィンドウには画材のほか、ペリカン、モンブランなどの万年筆も、あわせてディスプレーする予定。