白石さんのこと

 去年の暮れにぼくのスタジオで、我が工作教室の生徒である白石和良さんが、突然の脳溢血に倒れたことは、2/5日付けの当欄でお知らせした。倒れてから約10ヶ月、病院二箇所での入院及びリハビリー生活を経て、先月から彼は自宅に戻っている。
 教室での課題作をつくっている最中に倒れ、即病院に運ばれたため、そのときぼくのスタジオには彼の道具や、材料や、仕掛品が大量に残されていた。それらの品物を10ヶ月ぶりに当人に返却するために、先日北品川の白石邸へお伺いした。
 当初は半身不随で身を起こすことさえかなわず、ただベッドに横たわっているだけ。完全介護が必要な状況だった。しかしその後の回復ぶりには目を見張るものがあり、われわれが白石邸の裏門に到着し、門の外からチャイムを鳴らすと、なんと彼はひとりで屋敷の玄関を開け、外に出て来て、杖をつきながら壁伝いに門の真裏まで歩き、当人が鍵を開けてくれて、われわれを門の中へと迎え入れてくれたのである。
 信じられな~い!
 真面目に毎日リハビリーに励んだことによる成果だと思うが、大変な努力があってのことだろう。まだ車椅子の生活ながらひとりでトイレに行き、ひとりで食べ、スマホやタブレットを操り、かんたんなプラモデルを作る!など、ときどきヘルパーさんが来てはくれるが、それ以外はたったひとりで生活をしている。
 来年2月、交通会館での生徒展の折には車椅子に乗ってでも出かけたいとおっしゃるほど、凄まじい回復ぶりである。
 みなさんにくれぐれもよろしくとのことでした。

自宅での白石さん


2017年9月26日