もうかれこれ一年近く前のこと。アメリカのナッシュビルに在住のデイビッド・マルコルム・ローズ(David Malcolm Rose)というミニチュア作家から
「友人からあなたのウェブサイトを薦められ、作品を拝見いたしましたが、どれも本当にすばらしい!私もミニチュアを作っていますが、あなたの作品とテイストが似ていると思います‥」
という、最初のEメールを受け取った。
文末には彼のウェブ・アドレスが掲載されていたので、さっそく開いてみて驚いた。デイビッドの作品こそ、すばらしいではないか。そして確かに作風が若干似ているかも知れないと感じたものだ。
その後、いっしょにエキシビションをやりませんか‥‥というお誘いや、あなたのウェブ・アドレスを、私のサイトのリンク・リストに加えても良いですか‥‥など、たまに彼からのメールが来るようになり、そのつど短い返事を書いて送った。デイビットと私は同い年である。だからというわけではないが、何か非常に好意的な印象を受けるとともに、だんだんと一度お会いしたいような気持ちにもなってきた。スタジオを一度拝見したいという気持ちもあるし、もちろん作品も見てみたい。
そこで先日
「もしナッシュビルに行けば、あなたの作品と、あなたのスタジオを拝見することができますか?」
というメールを、思い切って打ってみた。
これはニューヨークに出かける二週間ほど前のことで、もし大歓迎という返事ならば、ついでにナッシュビルまで足を伸ばすのも悪くないと考えてのことだ。(ニューヨーク行きについては2005年3月2日付けトークスにも記載があります。)
これに対するデイビッドからの返事は私の予想を超えていた。
「一年半ほど以前のことになりますが、当時私は54歳で、人生で始めて、男の子のパパになりました。それ以来わたしの環境は激変し、ここ数年、ミニチュアはまったく作れておりません。出来るだけはやく仕事を再開したいと考えていますが、今はまだスタジオの準備がととのっておりません。しかしこちらの棚には私が過去に作った作品のすべてが収納されています。ですからあなたが将来ナッシュビルに来れば、もちろん私の作品と、私の息子と、私の家内に会うことができます‥」
上のメールにはよちよち歩きの男の子が冷蔵庫の扉を開けている写真が一枚添付されていて、写真の下には「エイデン」(Aiden)とあったので、多分子供の名前だろうと思った。文章はなにぶん英語なので、微妙なニュアンスまでを把握することはできなかったが、全体的には「お取り込み中」といった雰囲気が伝わってきて、押しかけたら申し訳ないようなムードが感じられた。そんな訳で、結局デイビッドのところには立ち寄らずにニューヨークから帰ると
「私の家内が手伝ってくれたお陰で、つい最近私のウェブサイトをすっかりリフォームすることができました。表紙にあるロスト・ハイウェイのポスターは家内が作ってくれたものです‥」
のような内容のメールが、ちょうど届いていた。
かなりのアツアツムードが漂ってくる。それと同時に、このメールには、「みんなで私のウェブサイトを見てください‥」の意味が込められていると思い、本日はデイビッド・マルコルム・ローズのホームページを宣伝することにした。
http://www.davidmalcolmrose.com/
もちろんデイビットの作品もスゴイが、彼の友人であるアラン・ウォルフソン(Alan Wolfson)や、ティム・プリセロ(Tim Prythero)の作品もスゴイ(リンクのページから入れます)ので、どうかじっくりとご覧いただきたい。そして英語たんのうな御仁がいらっしゃったら、是非デイビット・マルコルム・ローズに宛ててファンレターを送ってほしいのだ。
文面は
「東京のIchiyohからあなたのウェブサイトを薦められて拝見しましたが、あなたの作品は本当にすばらしい!」
ぐらいで十分だと思う。
2005年3月15日