お花見のこと

 去る4月10日(日)、われわれクラフトクラブの有志10余名は中央線武蔵小金井駅近郊に位置する桜の名所「小金井公園」まで繰り出してひとときのお花見を楽しんだ。当日はさわやかな好天に恵まれ、公園全体を埋め尽くした何百何千というシートの上では家族連れやカップルたちがまことに平和で健康的な宴を繰り広げていた。
 午前11時、私の乗ったバスが公園西門前に到着すると、若手クラブ員のひとりである渡邉格(わたなべいたる)氏が迎えにきていた。それから門をくぐり、歩いて5分ほどのところに陣取った青いシートまで案内してくれた。聞くと場所取り班は午前9時前には公園に到着し、しかるべき地べたをゲットしたとのこと。シートの上ではすでに数名の有志が意外と上品に酒を飲んでいて、ドンちゃん騒ぎをしている風でもなかったので一安心。あいにく私は所用があったため午後4時まで同席し帰宅したが、ほかの皆さんはその後近所の居酒屋に場所を変え午後10時まで飲み続けたという。
 ――以下参加メンバー。

 小川美樹
 稲葉美智子
 佐野匡司郎
 牧野幸文
 砂田麻美
 中村幸司
 三宅孝雄
 渡邉格
 坂井恵理
 迎宇宙
 高谷俊昭
 坂田真一
 芳賀一洋

 実をいうと私は若いころ、桜というものをあんまり好きではなかった。あのけばけばしいピンク色を下品だと感じ、どうしてもなじめなかった。それは特攻隊のイメージとも重なった。あるいは桜吹雪舞い落ちる三波春夫の歌謡舞台や、地方の商店街の軒先などに連なっている造花とも重なって、それら桜の花にまつわるイメージは概してやぼったくて古臭くて安っぽくて、どうも好きにはなれなかったのだ。そういう御仁も案外多いのではなかろうか。ところが50才を過ぎたころのこと、あるうららかに晴れわたった春の日を突然に、とてつもなくいとおしいものに感じた一瞬があって、そのとき以降急に気が変わり、桜に対する嫌悪感がいっぺんに吹き飛んでしまった。まあ年のせいだろうと思う。ちょうどそのころを境にして若いころには見向きもしなかった水戸黄門の如き時代劇もすんなり受け入れられるようになったので、これはいわゆるお年寄りの仲間入りを果たしたということなのかと、静かに愁(うれい)ている今日この頃である。

撮影:渡邉 格


2005年4月16日