東京にはいくつかの好きな道がある。根津・千駄木あたりのもそのうちのひとつだが、自転車で秋葉原まで出かけるときにいつもそこいらへんを通る。まずは人気の谷中商店街を通過し、幅一軒ほどの細い路地裏をぬけ、蛇道と呼ばれる曲がりくねった小道をスイスイ進む。そして根津神社の脇を通り過ぎるとたちまち上野の森だ。森の下には「森鴎外住居跡」と書かれた碑があって、そのすぐ先が不忍池(しのばずのいけ)である。以上まで約15分間の道程には、小津安二郎監督描くところの東京の味が、まだ残っている。不忍池から秋葉原までは約10分。池の端には必ず幾組かのホームレスがたむろしていて、彼らはたいがい木陰でスポーツ新聞なんぞを読んでいる。が、なにしろ「風薫る五月」である。いまは、いかにも心地よさそうに見える。
さて、そんな五月だか、この月の末には、エキシビションがひとつ控えていて、芳賀はただいまはその準備に追われている。
—-以下、詳細。
■タイトル: 芳賀一洋&渋谷クラフトクラブ作品展
場所: 有楽町駅前 東京交通会館 地下一階 ゴールドサロン
電話: 03-3215-7933(直通)
会期: 2006年5月28日(日)~6月3日(土)
時間: 午前11時~午後7時(初日のみ午後1時開場)
入場無料
●初日5月28日午後6時より、会場にてオープニングパーティーがあります。どなたでも参加できますので多数ご来場ください。
とりあえずDMの作成が終わり、これからは作品の修理をせねばならぬところである。それが終わったら什器のことやら、証明器具のチェックやら、搬入搬出の手配など、いろいろあって、結構大変なのである。DMといっても2000通もあるので、重複がないかどうかを調べたり、住所が変わったひとや、削除したり追加したりせねばならぬ人もいる。この一年ほど、暇を見つけてはそれらの作業を続けていたが、どうにかそれも終わった。そうして余った何百通かの案内状は、おなじみの模型屋に置かせてもらったり、知り合いに配ってもらったり‥。お陰でこのごろトークスが渋滞してしまった。このすきにちょっと書いてしまおうと思い、いまパソコンの前に座ったところである。ところで今回は、もしかすると「石の家」が借りられるかもしれない。もし借りられたらメインに展示するつもりなので、どうかご来場いただきたい。
「石の家」についてはもうご存知だと思う。
フジテレビ「北の国から」というテレビドラマの中で、田中国衛扮する主人公が最後に建てたのが、通称「石の家」といわれる住居で、北海道は富良野に現存し、ドラマの撮影が終わったいま、ご当地の観光名所になっている。そして2004年の秋、テレビ局からのご依頼で、その模型展示物を僕がつくることになり、同年秋に制作を開始し、翌年一月に完成した。だからこの作品の所有者は現在フジテレビである。先日恐る恐る「お借りできますか?」とお尋ねしたところ、「局側全面協力」というお返事をいただき、非常に喜んでいるところだ。そしてこの作品に関しては、完成後長らく写真の掲載がなかったが、最近、当サイト「Works」のコーナーに、「THE STONE HOUSE」というセクションを設け、沢山の写真を掲載したので、まだの方は是非ご覧いただきたい。
—以上、エキシビションの告知情報と、石の家の写真掲載完了のお知らせでした。
どうぞよろしく。
2006年5月6日