秋に「月刊美術」誌が、わりと大きなあつかいで、ぼくの活動を紹介してくれるという。ありがたいことである。
そんなことから、秋までに、なにかひとつの作品をつくってほしいといわれ、一体なにをつくろうかと迷った。昭和の情景や、馬具店アゲイン、灯ともしごろの新宿ゴールデン街など、この半年ばかりアイデアが二転三転し、方針がブレまくった。しかし最近ようやく進路が定まり、ここ数日は、朝から晩までアジェの写真ばっかりを眺め、そのエッセンスをアタマにたたき込んでいる。つくると決めたのはウジェーヌ・アジェ的世界、アジェ的情景だからだ。さいわい編集部からは「わかりやすい」とのご賛同をいただき、意を強くしている。
昨今アジェの名はずいぶんポピュラーになった。1897年から約30年にわたって、変貌する大都市パリを、克明に記録した偉大な写真家だ。いままでもその写真を資料として使ってはきたが、全体として取り組むのははじめて。彼がとらえた百年前のパリを、どうつくるのか、あらたな試行錯誤がはじまっている。
やや大型のアートインボックス作品となる予定。
—–乞うご期待!
2010年6月27日