古いレンガの壁にはいろいろな積み方があって、昨今のレンガタイルのようにきちんと均一に並んでいるものではない。それはわかっているが、いままではあんまり深く考えないようにしていた。
ところが先月群馬まで出かける用事があって、ついでに富岡製糸場跡を尋ねたことにより、ガラリと認識が変わった。その製糸場は明治5年に建てられ、そのとき積まれたレンガがいまに残る文化遺産となっている。壁をよく見ると大きなレンガの列と、小さなレンガの列とが、一列おきに交互に積み重ねられ、それがたまらない魅力となっている。この道15年にして初めてレンガの壁に興味を持ち、そのあとすぐに万世橋の交通博物館跡のレンガ壁も見に行った。若干威厳が足らないものの、積み方はやっぱり富岡製糸場とおんなじだった。そして先日、とうとう「まぼろしの横浜駅」の発掘現場にも足を運び、興奮してパチパチいっぱい写真を撮ってきた。
見よ!これが本物だ!!
大小のレンガがぐずぐずに、よれよれに積み上がり、文句なしに美しい。
——–今度の作品はこういう風にしたいものである。
2011年11月12日