前回佐野匡司郎氏の自宅工房を見学したと書いた。
ところがその佐野邸には氏の次男である佐野好彦氏(45)の工房もあって、こっちでは父親とはぜんぜん違うものをつくっている。
下が佐野好彦氏のデスクである。
彼はエイリアンや恐竜といった、もっぱらクリーチャー(生き物)ばっかりをつくるプロフェッショナル・クリエーターなのだ。
父親によると
「気持ち悪くって、見ちゃおれん…」
だそうだが、このあいだこの写真を、ぼくのフェイスブックページに投稿したところ、世界中から約150件の「いいね!」が寄せられた。
ちなみに今般の佐野邸ツアーには、この「好彦工房見学」もオプションとして含まれていたので、われわれは直接当人から説明を受けながら、非常にディープなクリーチャー・クリエーターの世界をも垣間見ることができた。
佐野一家は全員なにかをやっている。
父親が機関車で、奥さんが水墨画に手芸、そしてご子息がクリーチャーである。
それら全部が一流なのだ。
近況②「生還を祈る!」
「まってくれよおっちゃん…おれは…まだまっ白になりきっていねえんだぜ たのむや おっちゃん たのむや…まっ白な灰になるまでやらせてくれ なんにもいわねえでよ…」
日本ドールハウス協会の岩瀬勝彦会長が先日の夕刻突然倒れ、秋葉原の三井記念病院に担ぎ込まれた。上の一文はその数日後、彼が自分のツイッターに書き込んだツイートである。病名は肺気腫。
彼は超のつくヘビースモーカーだった。
長年の喫煙習慣によって岩瀬さんの肺はすっかりスカスカになってしまい、あちこちに穴があき、一部には腫瘍も見つかったそうだ。重大かつ深刻な状況である。そんな状況にありながら彼はそのことにまったく気づかずその日まで普通に仕事をし、倒れる直前には協会のみんなと一緒にダイレクトメールをつくっていた。
ちなみに、ぼくは日本ドールハウス協会の名誉会員である。
さっそく見舞いに駆けつけた。
行ったときには肺にパイプを通して空気を入れ、ダメになった肺を蘇生させているところだったが、かなりまいっていることは顔を見てすぐにわかった。それでも彼はつとめて平静をよそおい、ときには笑顔もまじえて、ぼそぼそと、こと細かに自分の病状をはなしてくれた。
岩瀬さん必ずまた見舞に行きます。
だからなんとか生還してほしい。
心から祈ってます!
今年はぼくにとって不調の年である。
春には旧横浜駅の制作がキャンセルになり、そのあと別の仕事もキャンセルになって、そして秋には拙展が一件キャンセルになった。この仕事を始めて17年、過去キャンセルなんて一度もなかったが今年は全てキャンセルである。他にも山ほど気が滅入ることがあって、すっかり落ち込んでいたところに飛び込んできた岩瀬氏倒れるのニュース。
鬱になるよなあ。
2012年10月27日