2007年シカゴのミニチュアショーに出たときのこと、中東のカタールからやってきたというひょろっと背の高いアラブの青年がたくさん買ってくれた。青年はジーンズにシャツというラフないでたちながら、ひとりのカバン持ち従えていた。こっちは小柄な中年男だったがビシッと背広を着込み流暢な英語をしゃべった。
いつも青年が先にぼくのテーブルへやってきて、買いたいと思う品物を指差し、そのまま彼はすっと隣のテーブルへ行ってしまう。その直後、背広の男が顔を出し、青年が指差した品物のカネを払い、カバンに詰める。そうやって彼らは二人組みで、何度もぼくのテーブルをおとずれ、結局はトランク一杯分の品物を買ってくれた。
オイルマネーの連中が金持ちだってことは報道で知っていた。だがカバン持ちを従えて、趣味の買い物をするなんて、一体どんなヤツなんだと、ぼくはその青年に興味がわき「壊れたら修理いたしますので遠慮なく連絡をください…」と紙に書いて、メールアドレスを手渡した。
それから5年、青年はなにも言ってこず、以後シカゴにも一度も顔を見せなかった。
そしたらである。今年の夏、ひょっこりその彼からメールがあった。「あなたの作品をもっと買いたい…」という。
ある程度まとめて、らしい。
という訳で、来週ちらっとカタールまで行ってきます。
——-(12月3日出発・6日帰国の予定)。
2012年12月1日