前回お伝えしたように、11月30(土)に英ロンドンのケンジントンで一日限りのミニチュアショウが開かれた。
その前日は現地にお住いの元生徒本田和美さん(※注1)宅に泊めていただき、当日の朝彼女と一緒にケンジントンへと向かった。なにしろ本田さんは英国人であり英語の達人だ。大船に乗った気分でショウ会場へと足を踏み入れた。
入ってすぐの一番いい場所にアフマド・アルタニ(※注2)コレクションというコーナーがあって、おどろいたことにそこに一点の拙作が展示されているではないか。そんなコーナーがあるとは聞いていたが、まさか自分の作品が置いてあるとはつゆとも知らず、見たとたん、のけぞりそうになった。真ん中に木が一本立った「晩秋の情景」と題する直径30センチほどの作品(1/80)が、回転台に乗ってクルクルと回っている。だがよくよく見ると木の上のほうが折れて、垂れ下がっていて、かなり情けない状態だ。
「アフマドは?」
店番の男に尋ねると中で買い物をしているという。
会場はすでに超満員。アフマドはいつものようにカバン持ちを従えて、ごった返した人ごみの中にいた。
声をかけると、彼は「おお」というようなポーズで振り向いた。
去年中東のカタールでお会いしたときにはアラブの民族衣装を身にまとい、威厳に満ちていた。だがここではワイシャツ一枚の軽装で、なんだか迫力がない。
——以下次号。
(※注1:本田和美さんに関しては1月20付けの当欄をご覧ください)。
(※注2:アフマド・アルタニさんは現在制作中の馬具店の依頼主です)。
2013年12月7日