つげ義春が1968年に発表した名作マンガ「ネジ式」を、ストップモーションアニメ(コマ撮り撮影によるアニメーション)で映画化しようとしている方から、映画の背景をミニチュアで制作してほしいと依頼されたのは、緊急事態宣言が発出されていた最中の2020年春のことだった。
ネジ式は約70コマほどのカット割りで構成された短いマンガだが、つくらねばならぬ背景は30シーンほどある。映画の公開日を尋ねると「来年の秋」とのこと。しかしそれまでに30もの背景はとてもつくれない。時間的にムリですとお断りしたところ、「はがさんがダメなら、はがさんの教室のどなたかを紹介していただけませんか…」と言われ、そのことを、そのまま2020年8月8日付の小欄に掲載した。すると渋谷クラフト倶楽部のヤマノ会長と沼津のユウさんの2名が「わたしがやります」と名乗り出てくれた。
上の2名の他にもこのときは何名かの適任者が見つかり、結局うちのグループからは計6点の背景作品を提供することになった。
だがそれ以降「ネジ式」のことはまったくなにもやっていないし、映画も、いまだに完成していない。
そんな折り、ひさしぶりにネジ式のチームから「美術セット展」をやるから見にこないか、というメールがあり、クラブのみんなと一緒に見に行った。
会場は、中央線の阿佐ヶ谷駅から歩5~6分のところに最近できた「痩蛙学舎」(やせがえるがくしゃ)というヘンなネーミングの変わったビルの3階。会場には以前制作したわれわれの作品ももちろん展示してあったが、誰がつくったのかわからない、おもしろい作品がいろいろあった。下の写真はそのなかのひとつ「目医者通り」。
