「高齢になると…」

 車で10分ほどの所に倉庫を借りている。
 先月、その倉庫の大家にあたる会社へ電話した。
「いまお借りしている倉庫の契約人名義を(株)ミクロコスモスからわたし個人の名義へと変更したいのですが」と…。
 今年の春、ミクロコスモスを解散した関係で、法人名義で交わしていた契約の類はすべて個人名義に書き換える必要がある。が、倉庫についてはカンタンに済むと気楽に考えていた。もう15年以上にわたってきちんと家賃を支払ってきたし、何回かの更新にもすんなり応じてきたからだ。ところが先方は、「身分証明書(免許証)の写真を撮ってメールで送ってほしい」と返してきた。
 このときはじめて「ヤバイ!」と気がついた。
 以前、我が家のネズミ対策のためペットショップに猫を買いに行ったとき、おなじように「免許証を見せろ」と言われ、見せたら売ってもらえなかったことがあったからだ。
 当初は電話でだったやり取りがやがてメールに変わり、次は「年金の受給証明書の写メを送れ」というメールがきた。メールとメールの間隔が次第に超ロングになり、モニター越しにも重苦しい空気がヒシヒシと伝わってきた。更には「緊急連絡人の電話番号を知らせよ」や、「連帯保証人を示せ」や、終いには「倉庫の収納品に家財保険を掛けよ」などと訳のわからぬことまで要求された。しかし近い場所で手ごろな倉庫を新たに探すとなるとかなり難しそうだし、引っ越しするのも容易じゃない。家財保険のこと以外はすべて応じた。
 で、結局、再契約ができた !!!
 その間のメールのやり取りが20通、約2週間かかり、ヘトヘトになった。
 高齢になるとおちおち猫も飼えない(買えない)し、ちょっとした物件もかんたんには契約できないことを改めて認識させられた。

写真に写っている木箱の大半は、現在Gallery ICHIYOHで展示中のアートインボックス作品の空き箱だ。ほかには大型ストラクチャー作品4点や、渋谷クラフト倶楽部の資材などもここに収納している。