「暑中見舞い」

 いやあとにかく暑い。
 それしか言いようのない日々がつづいている。
 毎年この時期には、ほんの数枚ではあるが暑中見舞いのハガキを出している。年賀状とは違い、去年出したから今年も出さなきゃマズいとか、そういうことは一切考えず、いたっていい加減なチョイスで投函している。7月から8月、立秋を過ぎた9月にも、今度は残暑見舞いとして出すこともある。
 これを読んでいる方ならば多分ご存知であろう渋谷クラフト倶楽部の佐野匡司郎氏と白石和良さんから、その返事が届いた。
 佐野氏からのハガキには、非常に苦しい体調面での近況がとつとつ述べられ、ご子息に支えられながらのご自宅での日常が目に浮かぶような内容だった。
 白石さんからは、なんと便箋5枚に、独特の白石文字で、びっしりと、こと細かにリハビリの様子が書き連ねられ、ひさしぶりの〝白石節〟に圧倒された。
 佐野さんは御年88歳になるはずで、いまは腰椎圧迫骨折に苦しんでいる。
 白石さんは67歳ながら数年前に脳溢血を患い、いまは半身が不自由な身だ。そんなお二人もこの暑さに耐えながら必死に生きている。そのご様子が文面からヒシヒシと伝わってきた。
 かく言うこのわたしも、今月の末に、ちょっとしたヤバイことがあるので、ご両人からの便りがとりわけこころに刺さった。

アートと言ってよいレベルの白石さんからのお便り。わざと遠くに置いて、できるだけ読めないように撮りました。