「石の家のはなし」

  フジテレビからの依頼で「石の家」の模型展示物を制作したのは2004年の冬だった。(石の家とは1983年から2002年にかけて放映されたフジの名物ドラマ「北の国から」に登場する主人公たちが暮らす家のことである)。今月28日に発売されるトーキングヘッズ叢書92号に掲載予定の「はがいちようの世界/第38回」では、その家を紹介する。(下の写真)。
  全体的に曲がった家である。壁はゴロゴロした不定形な石を積みあげた危なっかしいもので、壁の手前には、流木を荒組みしただけのテラスがある。家の裏手には西部劇でよく見かけるような風車があって、その回転を利用して、地下から水をくみ上げている。それらぜんぶを模型展示物として2004年の年末までに仕上げるという契約を交わしたのは同年9月のことだった。従って制作期間はわずか3ヶ月。
  ただちにつくりはじめたが、ひとりではとても間にあわないことははじめからわかっていた。なので図面はフジモリさん、小物はヨシダさん、屋根はウエノさん、石壁はカネコタツヤさんという具合に何人かの助っ人を募り、最初にそれぞれの分担を決めて、わたしを含めた全員が年末完成を目指し、同時進行的に制作をスタートしたのだった。よって下の写真における石壁部分はカネコ氏によって作られている。短い文章の中で氏の名前まで入れられなかったが、さすがカネコさん、いい仕事をしてくれた。
  なお本作に関しては、2003/12/24日、2004/8/23日、11/16日、12/14日、2005/1/24日付けの当欄にも記事があります。

 
写真は「トーキングヘッズ叢書No75/アヴァンギャルド協奏曲」(アトリエサード刊)より。近年稀に見る充実した内容で読みどころ満載です。是非お買い求めください。ちなみに、フジに納入された作品は、最初はお台場の本社25階「球体」の中に展示され、その後しばらくはテレコムセンター駅前の湾岸スタジオ1F ショールームに展示されていた。しかし現在は別の場所に移されているようだ。当時のフジテレビ担当者が定年退職されてからほぼ10年、作品がいまどうなっているのか、よくわからない。