写真はゆうさん作による鍍金工場。縮尺7分の1。例の「ねじ式」の映画化における背景美術として去年の9月からつくりつづけてきた作品だ。
写真では全体像がわからぬが、映画に映るのはだいたいここだけ。原画では中央のグラインダーが猛スピードで回っていて、真ん中の椅子に腰掛けた老婆が尖った金物を研いでいる。一体なにを研いでいるのか、ここがなんの工場なのか、わからない。だが原作者による別の作品にはこれとほとんどおなじ絵(場面)があり、そこにはハッキリ「鍍金工場」と書いてある。鍍金とはメッキのことだ。ではなんでメッキ屋の入り口に床屋のサインポールがあるのか。これには諸説があり、かんたんには説明できない。
まあとにかくそういう作品が出来上がったので、彼はそれを車に積み込み、4月24日の午後、こちらへ持ってきた。急遽わたしも手伝って最後の仕上げに取り組み、翌25日の夕刻、ねじ式総監督の本部事務所(阿佐ヶ谷)へと運び込んだ。
つまり納品したってことである。
いやあ、ゆうさん、ごくろうさんでした。
監督は作品を非常に気に入っていたと思う。
よかった。よかった。
しかしこの映画(ねじ式)には、これからつくらねばならぬ背景が、まだ20近くもあり、この先一体どうするのか‥。