熊の髑髏(どくろ)ができた!

  できたといってもわたしがつくったわけではない。練馬のS.U氏(通称シゲちゃん)がつくったクマのドクロである。(以下つげ義春のマンガ「ねじ式」の映画化にまつわるなしです。8/8日、10/10日付けの当欄に先行記事がありますので、そちらから先にお読みください)。
  「ねじ式」冒頭からふたコマ目に、下のようなドクロが、写真とおなじように、流木に引っかかった状態で晒されている絵がある。ところがマンガに描かれたそのドクロは、顎(あご)から下の部分が欠落した「不完全なドクロ」なのだそうだ。なのでシゲちゃんは欠落部分を復活させた、顎や歯や牙もついた状態での「完全なドクロ」を、最初はつくっていた。
 わたしが見に行った時点では確かに顎がついていた。
 しかし原作の絵に顎はない。
 「顎はいらないよ‥」
 彼のスタジオで作品を見るなりわたしはそう言った。そのときシゲちゃんの心がキレたのかもしれない。わたしが帰ったあと、顎つきのドクロはコナゴナにたたき壊され(ツイッターに映像あり)、その一週間後に、今度は顎のない、マンガとおなじ「不完全なドクロ」が完成した。
 さっそく監督(才谷氏)の元へ送ったところ「監督的にはOKのようです!」という、悪くないコメントを頂戴した。
 これにてねじ式一号作品の終了だ。
 次は「ダグラスDC-3」である。

ウエノ・シゲユキ氏作「骨と枝」(1/7)。ドクロは、真鍮製骨組みの上にエポキシ系樹脂を盛り、さらにその上に樹脂粘土(スカルピー)を盛って整形した。枝は本物の枝を利用して整形し、着色した。なおシゲちゃんは20年前からずっと「渋谷クラフト倶楽部」の会員です。