アルルの乳搾り女

 以前当欄に「白いダノンをリフォームしました」という記事を書いた。(5/22日付)。コロナ禍でヒマになりダノンという作品をリフォームしたところ、だいぶんよくなったが、店頭に掲げた絵が、まだイマイチなので、将来第二波でもくれば、そのときには絵も直したいという内容だった。この記事を書いた当時、緊急事態宣言の只中で正に第一波の渦中にいた。その後コロナのはなしにはすっかり飽きてしまい、第二波が来たのかこないのか知らないが、絵のほうは予告通り描き直した。
 牛乳メーカーが当時の取引先に配っていた宣伝看板=タイル絵である。なんといってもむずかしいのは乳搾り女の顔と、最下段の牛乳瓶の周辺だ。ヘッドルーペをつけて、5本程度しか毛のない極細の筆で、息を凝らして描いた。穂先が細いので掬(すく)い取る絵の具の量もほんのわずか。水彩だとすぐに乾いてしまい仕事にならぬので油絵の具を使った。油だと乾燥を気にせずにゆっくり描くことができる上、もし失敗しても布で拭き取ってしまえる。その一方、乾きの速度が遅いので、ちょっと描いたら2〜3日乾かしてからまた描くを繰り返さねばならず、やたらと時間がかかる。
 なにしろタイル絵なので、このあとタイルの溝(碁盤の目のような溝 )を彫らねばならない。絵が完全に乾いたことを見極めてから、絵の上にデカい定規を当てて、アクリルカッターで一気に彫る。こわいのでまだやってはいないが。

これを描くのは5回目だ。もう描けないかと心配していたが、なんとか描き終えることができた。絵の幅42ミリ、天地190ミリ。厚さ1ミリのベークライト板の上にジェッソを塗ってから油絵の具で描いた。