模型の家の殺人

 むかしお世話になった模型雑誌の元編集長が最近執筆したミステリー小説「模型の家の殺人」がやっと手元に届いた。なにやら葉田一洋(はだいちよう)なるミニチュア作家が作中重要なキーパーソンを演じていると聞き、かねてより読みたいと願っていた一冊だ。
 しかし届いたその日には読む気がなく、焼酎片手に表紙を眺め、一体どこに自分がでてくるのかとパラパラっとページをめくってみた。すると前半127ページに、なんと模型教室の講師として登場する。
「頭に赤いバンダナを巻き黒いエプロンをした背の高い老人が教室の前方に立ち、皆に声をかけている。多分彼が講師の葉田だろう—–」
 な〜んて、かっこいいフレーズとともに現れたものだからつい気分を良くして、そのまま2〜3ページ、ふらふらっと先を読んでしまったのがいけなかった。その日は結局予定を変更し、朝までかかってぜんぶ読み通すハメに陥った。ややこじつけ的な箇所も多く、また随分と荒唐無稽なストーリーではあるが、それでもグイグイ引っ張られた。そして葉田一洋の態度や、しゃべり方などは、まるで自分を見ているようで気持ち悪くなった。
 ぜひお読みください。
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 (2019/10/6日と12/15日付け当欄にも本件に関する記事があります)

「紙鑑定士の事件ファイル 模型の家の殺人」
(最初の題は「模型の家/紙の城」でしたが、このたび改題して出版されました)