ひさしぶりの「WC物語り」

 むかし非常にぼろいトイレの作品をつくった。
評判がよかったので、そのあと教室の課題作として同じものをもう一個つくり、それらに「WC物語り」というタイトルをつけてイエサブの棚に並べた。
 するとスグに売れしまい、慌てて追加で3個つくったが、それもやがて売れてしまった。
 2003年か4年ごろの話だ。
 その後しばらくのあいだ、「アレ、またつくりませんか…」的なメールが、ときどき届いていたが、それも途切れて10年数年——-。トイレ作品のことはすっかり忘れていた今年の2月、大阪から来たというファンの方がどうしてもぼくのギャラリーを見たいとおっしゃるので、閉館中ではあったが特別にお見せし、あとで食事に出かけた。ぼくにとっては初対面の方だったが、彼はむかしからぼくのことをよく知っていると言った。
 カンパーイのあと
 「これ自分がつくりました!」
 と、いきなり彼はカバンの中から作品の写真を取り出し
 「東京に来るたびにラジオ会館へ寄り、いつもイエサブの棚ではがさんの『WC物語り』を眺め、真似してつくったトイレの作品です」と説明してくれた。スケールこそ違うが確かにそっくりな、とてもよくできたWCだった。ぼくに見せるためにわざわざ大阪から写真を持ってきたのだという。
 ——–いい、はなしだなぁ~。
 というわけで、このとき急にむかしの作品を思い出し、ひさしぶりにぼくもつくりたくなって、彼が帰ったあと、13年ぶりに3個の「WC物語り」をつくった。
 それらは既にイエサブの棚に並べてあります。
 是非ごらんになって下さい。
 (イエサブの棚とは、秋葉原ラジオ会館6階「イエローサブマリン秋葉原本店★ミント」の店内に設置されたショーケース「はがいちようのミニチュアコレクション」のことです)

「WC物語り」(1/80)


2017年4月9日