岩瀬さんのこと

 ぼくの作家としてのデビューが1996年で、その翌年の97年に、岩瀬勝彦さんが「日本ドールハウス協会」を起ち上げた。それから少し経ったころ、ぼくの作品をテレビで見たといって電話があり、彼はその日のうちにイタリア製のスクーターでやってきた。
 このときが初対面だったが、岩瀬さんは遠慮なくビンビンしゃべった。
 米国のミニチュア業界にはトムビショップという帝王がいること。彼が主催するミニチュアショーが全米一だということ。そのビショップ氏と日本ドールハウス協会との提携が成立し、日本で初めての本格的なミニチュアショーを開催することになったこと、などを一気にしゃべり、ついてはどうしてもHagaの協力がほしいという。
 で結局、1999年の春、東京浜松町で開催された第一回ミニチュアショーの会場には拙作10点ほどが展示されることとなったが、ビショップ氏も来日していたので、ぼくの作品が帝王の目にふれることになった。えらい褒められ「あなた一度アメリカへ来ませんか…」と誘われ、西暦2000年の春、ぼくと岩瀬さんは、初めて本場アメリカのミニチュアショーへと出かけた。そのときぼく50歳、岩瀬さん44歳。まだまだ元気いっぱい。互いにやる気マンマンだった。
 その岩瀬さんが1月27日に亡くなったそうだ。
 かねてから病気療養中だったと聞いてはいたが、こんなにはやく逝ってしまうとは。
 なんという運命か。
 病名肺がん。享年60歳。
 ただただご冥福をお祈り申し上げます。

左が岩瀬さん


2014年2月15日