重実(しげざね)さんからのメール

 ご無沙汰しております。
 いっとき暑い暑いでどうなることかと思いましたが、この数日はいくらか過ごしやすいようです。
 もっとも本格的な夏はこれからでしょうから、油断してたら思い切り足をすくわれそうですが今月はじめに、時間を見つけては少しずつ作っていましたものの作業が一応終りました。一週間ほど放っておいてから確認しましたところ、いつものように 反省点がいくつも出てきましたが、許容範囲のような気がしましたので、仕上がりとしました。その後、念のためにさらに一週間ほど放っておいて、あらためて見たところ反省点や「ちょっと違うかな」という違和感のようなものは、その まま残りましたがそこら辺は、つぎに作るものの参考にするということで「これで本当におしまい」ということにしました。あとは先生への報告が残っておりまして、それが済めば「了」の印を気持ちよくポンと押せますので、お忙しいことと思いますが、以下に写真を十 枚ほど並べますので、ちらっと目を通していただければうれしく思います。
 タイトルは「巴里の空の下」(「巴里の屋根の下」を改題)、縮尺は60分の1くらいです。
 空ははじめはこれほど大きく取るつもりではなかったのですが、「このくらいはなけりゃ、おかしいだろ」と思いましてこのくらいになりました。広くなった分、仕上げるのにああだこうだと時間がかかりました。ユトリロとかルソーのぼんやりとした、どことなくもの哀し気な巴 里の空なんかどうだろうと思いましたが、思ってもなかなかそうはなってくれません。何度もやり直して、なんとか納得できる仕上がりになったかなと思っています。
 建物部分の手前には鏡を貼りましたが、これは土台からニョキっと 建物の上層部分が生えているようなのはいかがなものかということで、下方への広がり、奥行きを感じてもらうために貼ったものです。が、「?」という留保がいまだ付いています。
 建物の内側は床と壁、それにドアだけを作りました。このあとはランボオの詩から借用した「酔いどれ船 le bateau ivre 」というタイトルでなにか作ろうかと、参考になる建物や風景を写真や絵で探しながら、ああでもないこうでもないと楽しんでおります。夏の暑さもまだまだこれからですから、熱中症で搬送されましたなんていうことがないように、気をつけたいと思っています。
 先生もお大事にしてください。重実。
 (以上、原文のまま)

 屋根にはやっぱり泥棒が似合います。江戸の屋根なら鼠小僧治郎吉。パリの屋根ならさしずめアルセーヌ・ルパンあたりでしょうか。
 むかし「パリの大泥棒」(監督ルイ・マル)という映画がありました。燕尾服に身を包んだジャンポール・ベルモンドが実にいい泥棒っぷりを見せてくれました。重実さんの作品を見て、わたしはこの映画の屋根のシーンを思い出しました。
 Good Job!!
 「優」です!

重実作品/巴里の空の下


2013年8月10日