デザインフェスタは無事終了いたしました。
おかげさまで大盛況でした。
同時開催だった我が「渋谷クラフト倶楽部」の静岡ホビーショーにおける展示も、大盛況のうちに終了することが出来ました。これらふたつの会場にご来場いただいたみなさんに御礼を申し上げます。
次は、浜松町の「インターナショナルミニチュアショー」に参加します。
——-詳細は左のインデックス「展示会情報」でご覧ください。
近況②「石の家制作記/パート②」
最初にフジからこのはなしがあったのは2003年の夏だった。秋には富良野に招待され、当時非公開だった実物の写真を撮らせていただいた。しかし制作費に関する合意形成に時間がかかり、実際に着手金をいただいたのは翌2004年の夏だった。
はじめっから納期はこの年の年末と決まっていたので制作期間は実質4ヶ月。かなり忙しいことはわかっていたが、トキワ荘も4ヶ月、伊東屋も4ヶ月で仕上げたので、ぎりぎりなんとかなると踏んでいた。ところがである。制作図面が遅れに遅れ、いつまでたっても上がってこなかった。
——-以下、2004年12月14日付け当欄の記事より、再収録。
現在、テレビドラマ「北の国から」に登場する石の家と、それにまつわる情景を制作中である。(石の家に関しては2004年8月23日と11月16日にも記事があります。)
大雑把に言うと、この作品を完成させるには
①丸太で組み上げられた風車を作らねばならない。
②流木で形成されたデッキを作らねばならない。
③建物全体と屋根を作らねばならない
④名物「石の壁」を作らねばならない。
⑤家の内部と建具と室内調度品を作らねばならない。
⑥全体を配置するための地面と草木を作らねばならない。
⑦作品の台枠を作らねばならない。
以上の元になるのは制作図面である。これは手付金が振り込まれた段階であるコンピューターの専門家に依頼していたが、難航を極め、遅れに遅れた。
もともとこの家はドラマの主人公、黒板五郎(田中邦衛)が自分で建てたという設定なので、全体が微妙に曲がっている。石や流木といった自然素材がふんだんに使われ、どこもかしこもふにゃふにゃだ。だからコンピューターでの作図が思うようにいかず、いつまで経っても図面があがってこない。図面がこなくちゃなんにも出来ない。しかし納期は年末と決まっているので、日に日に時間が消えていく。
仕方なくわたしはふたりのプロを雇った。
すなわち建物全体を覆っている石の壁は金子辰也(かねこ・たつや)氏に、そして机や椅子や台所用品といった室内小物は「よしだ・ともひこ」氏に、それぞれ制作を依頼し、それ以外のもの、つまり風車やデッキや地面はわたしがつくることにし、ひたすら図面のあがりを待った。
やがて10月20日、やっと図面が到着し、三者が一斉にスタートを切った。
この時点で納期まではもう二ヶ月しか残っていない。
パワー全開でぶっ飛ばしていたら、今度は金子氏の石の壁がまたもや遅れに遅れ、このところヤケクソ気分におちいっていた。
しかしである。やっと先週、待ちに待った石の壁が到着した。
(下の写真)。
壁というよりは、これはまるでアラモの砦。皆殺しの歌が聞こえてくるようだ。すばらしい出来栄えである。
さすがプロ!!
金子辰也というひとは「月刊アーマーモデリング」や「ホビージャパン」誌などの有名模型誌に、毎号「マル秘・製作技法」といった記事を連載している名うてのプロモデラー。きっとご存知の方も多いだろう。ちょっと「よんさま」に似たやさしい雰囲気で、女性にはかなり人気があるんじゃないかと思う。
ま、そんなわけで、模型界のヨンさまのおかげで、最初に掲げた7つのノルマのうち、5つまでを無事クリアーすることができた。これをもって、このプロジェクトも最終コーナーを回り、いよいよラストスパートになだれ込んだと言えそうだ。現在は、金子氏が届けてくれた壁の内部を制作中である。さっき言ったように室内調度品は「よしだ・ともひこ」氏がいろいろと作ってくれている。地面や風車など、その他の部分は既に終わっている。出来るだけ早く室内を終えて、屋根を張って、煙突を立てれば、それでおしまい。
ぴったり年末にはゴールインできそうである。
(以上2004年の記事より)
と、この時点ではまだまだ年末完成の希望をすてていなかった。
ところが、壁は届いたものの煙突(石の煙突)がなかなか届かなかったり、よしだ氏の担当である小物が、これまた遅れに遅れ、更には私の担当である全体構造にも思わぬ時間がかかったりして、けっきょく年末には仕上がらなかった。やがて年が明け、最後には上野シゲユキ氏(人形作家)にも手伝ってもらったりしながら、2005年の1月20日、やっと完成にこぎつけることができた。
へとへとのゴールインだった。
納期に間に合わなかったのはこのときがはじめてである。
が、さいわいペナルティーはとられなかった。
———作品は現在㈱フジテレビの「湾岸スタジオ」に展示されているが、残念ながら非公開につき、一般には見ることができない。
http://www.ichiyoh-haga.com/jp/stone/opening.swf
2013年5月25日