こんどはガラクタ屋です

 この仕事をはじめたばっかりのころ、1990年代の後半は、今から考えるとまだまだ元気だった。時間もたっぷりあったので、次から次へと作品をつくった。やがて今世紀に入ると特別注文品の制作や、クラフト教室、各種催事への対応に多くの時間を費やさねばならぬようになり、のんきに自作をつくるなんてことはほとんどなくなってしまった。
 そうなるといつのまにか新作をつくるというモティベーションがすっかり枯渇してしまうらしい。2009年に月刊美術誌からなにか一点つくってほしいといわれたときには丸3カ月考えて、なんのアイデアも湧いてこず、真っ青になったことがある。
 ところが今年はどういうわけかひまで、おかげでこのところ次々と新作をつくっている。ついこのあいだは「ルイブラン通り五番地」という作品を仕あげ、いままた別の作品を手がけている。(下の写真)。
 こうしてつくっていると脳が活性化されるらしく、次の作品のことも、そのまた次の作品のことまでも、どんどんイメージが湧いてきて、まるで90年代に戻ったような気分である。いまならばまとめて10個ぐらいダーッとつくれそうな気がする。
 ちなみにこの作品、ご覧のように店の外装はほぼ完了している。
 だがここはガラクタ屋である。店内にごっそりと商品を詰め込まねばならず、完成までにはまだちょっと時間がかかる。

2012年8月18日